「さよならミニスカート」第1巻感想 歴史に残ることを予感させる禁断の物語に震えた

この記事は

「さよならミニスカート」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

久々に「ららぽーと東京ベイ」に行ってきました。
「俺ガイル」でマッカンだけの自販機があると知って、一度見てみたかったのです。
残念な事に去年の8月に撤去されていて見られませんでしたが、収穫はありました。

本書に出会えたことです。
「さよならミニスカート」。

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©牧野あおい

「くまざわ書店」に立ち寄ったら、目立つスペースに大々的に置かれてたんですよね。
力の入れように目を奪われて、側に置かれていた1話の試読冊子をパラパラと捲って、惹かれるように購入。
絵が綺麗だな~と物語や話題性よりも先行して気に入ったので、買ってみたのですが…。

これはヤバい作品に出会ったと。
先程読み終わって、ちょっと震えてます。
りぼん編集長の少し大げさではないかという内容の宣言文が売り場スペースに掲げられてましたが、成程ね。
きっと、勘違いとか間違い、実はのどんでん返しもなく、ただ実直に「第1巻で示された衝撃の事実」通りに進んでいくのでしょう。
展開によっては十二分にセンセーショナルなメッセージ性を持たせられそうです。
それ故に、語り継がれていく、「残っていく」作品になりそうだなと感じました。

今回は、未読読者にこそ読んでもらいたいという想いが強いので、直接内容に触れるような記述は無くしますが、それでも想像による補完によって把握出来る恐れがあります。
「何も知らないで読んだ方が面白い漫画」であることを理解した上で、この先に進んでください。

「恐れの根源」に一石を投じる作品になりそう

人間は何を恐れるのか。
どうして恐れという感情を抱くのか。
色々と研究がされているようですが、分かりやすく納得出来る答えを僕は知りました。
簡単なのです。

「理解出来ないこと」
人はこれを恐がるのだと。

通り魔殺人が起きたと仮定します。
そこでこんなストーリーがあったとします。

真っ昼間、往来の激しい場所で、何人もの通行人が被害に遭った。
犯人はその場で取り押さえられ、証拠や凶器は疑いようがなく、残る疑問は動機だけになった。
裁判を進めるうえで必要な情報である為、警察・検察がやっきになって捜査に当たった。
しかし、目に見える動機は浮かんでこない。
どれだけ洗っても、容疑者と被害者を結ぶ線が見つからない。
完全なる「無差別殺人」。

動機解明は暗礁に乗り上げ、そこで検察は容疑者の精神鑑定を依頼。
裁判者はこれを認め、直ちに鑑定が行われた。
しかし、結果は正常。
常人と変わらずという判定だった。

「正常な判断」で常人には理解しがたい「異常な行動」に出た容疑者。
マスコミが食いついて、連日報道がなされた。

恐くないですか?
「なんで?」ってなりません?
白昼堂々、理由もなく突然刺されてしまうのだから、他人事じゃないですよね。
世間の関心はどうしたって動機に向かうでしょう。

何故、そんなことをしたのか。
それが分からない・理解出来ないから、恐いんです。

この手の「動機が不明瞭」または「動機が理解しがたい」事件が起こると、マスコミは「分かりやすい紐づけ」を行うんですよ。
そこでよくターゲットにされるのが漫画やアニメ、ゲームですね。
猟奇ものを好んでいた。
顔立ちが幼い少女ばかり出てくるアニメに嵌っていた。

繰り返し繰り返し洗脳のように結び付けられてきた「分かりやすい紐づけ」のお陰で、納得しちゃう人が多いんでしょう。
ああ、やっぱり…と。
だから犯罪を起こしたんだなとなる。

勝手に紐づけて、考えも無く「納得出来るストーリー」をでっちあげて、理解した気になる。
そうやって恐怖を取り除いて、心の安寧を計る。
悪いこととは言いませんが、愚かな思考停止ですよね。
(悪い以上に酷いこと言ってる自覚はあるw)

「理解出来ない」から恐い。
だから、分かりやすい解法が提示されると人は安易に食いついてしまう。
仕方ないのかもですが、ちょっと…ね。

アイドルが握手会で殺傷事件に合う。
「は?」
ってなりません?
「なんで?」
って思いませんか?

現実でも2014年5月にAKB48握手会に参加していた入山杏奈さん、川栄李奈さん、スタッフの男性1名が負傷させられる事件が起きました。
こちらは記憶に新しい事件ですよね。
僕にとってはセンセーショナルな事件として記憶に残ってます。
「なんで?」ってなったからです。
理解出来なかったんです。
芸能人に対して、斬りつけるほどの動機を抱く理由が分からなかった。

この手の事件の犯行動機は、大抵は逆恨みとか拗らせてたりとか、思い込み、そして、無差別(誰でも良かった)。
件のAKB握手会事件の犯人の動機も「テレビで見かけた」とか「なんとなく」というただただ無責任かつ身勝手なものでした。
誰もが聞いて「それは仕方ないね」と納得出来る動機であることはほぼ無いですよね。

納得できない、恐いから、だから、自分が納得出来る理由を作っちゃう。

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「さよならミニスカート」第1話より(©牧野あおい)

CDに握手券を付けて、大量に買わせてたのがいけない。
女使って(きっと「性」って意味なんだろうな)儲けてたんだから自業自得。

犯人は一言もそんなこと言ってないのに、勝手に動機を作って納得してる若い男達。
僕としては彼らの言説は一切理解出来ないんですが、彼らにとっては「恐れを払拭できるほど納得出来る動機」なのでしょう。

好奇心も根源には、恐れを取り除きたいという欲求があるのかもですよね。
「何故女子なのにスカートを履かずにスラックスを履いているのだろう?」
「何故アイドルは彼氏を作っちゃいけないんだろう?」
「何故ヘイト吐かれて平気な笑顔で対応できるのだろう?」
「何故私はこの人に握手会で手首を切られたのだろう?」

なぜなぜなぜ

1巻には「何故」が繰り返し提示されていました。
その度に「提示者が納得出来る答え」が示されます。
(一部示されないものもあります。)
何故か分からないから恐い。
人はそれを払拭する為に、身勝手になりがちな、されど、自分が納得出来る理由を作ってしまう。

では、その「理由」が他者からそれとなく伝えられたら?

相手の顔を見て、相手の想いを知って、相手の言葉に励まされる。
相手が「どんな人なのか」が見て、聞いて、感じて、考えた末に分かってくる。
理解出来てくる。

ある程度理解が進んだ末に「その人物が、今まで貴方が怖がっていた人よ」と言われたら…。
理解出来てる分、恐さは和らいでいて、故につい周りが驚くような対応を取ってしまっても不思議じゃないのかなと。

マスコミが犯罪の動機とオタクを結ぶ付けてる時のような思考停止に似てるかもです。
冷静では無いのかもしれません。
けれど、彼女の一連の行動には納得出来る過程がありました。

この先、サラが理解出来ない・納得できない展開になる可能性があります。
きっと読者にもサラの視点に立てる人が出てくるはずです。
けど、光に理解を示せる読者も絶対出てきます。

「そんなこと有り得るの?」
「理解出来るでしょう」
読者の反応が真っ二つに割れる禁断の愛の物語が紡がれる可能性が高いです。
高いんじゃないかというのが、読後の僕の感想。

主人公2人の立ち位置がやや一般人からすれば特殊なため、自分に置き換えることは難しいかもしれません。
けど、リアルに同様の事件が起こってる事もあって、考えやすいシチュエーションです。
本書を切欠にして、「無理解からなる恐怖」について考えてみるのも楽しみ方の1つなんじゃないかなと思いました。

終わりに

こういう考えさせられる系は、バズりますよね。
SNSで火が着いたのも納得出来ました。

取り敢えず、買って良かった以上の満足感。
1話でラストが仄めかされてますので、そこへどう着地するのか。
ハラハラしながら読んでいきたいです。

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