この展開は想像の埒外を行く!!笑撃作「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」第1巻感想

この記事は

「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

「エアマスター」、「ハチワンダイバー」でお馴染みの柴田ヨクサル先生の最新作は仮面ライダー!!
あまりにもショウゲキ的な内容で二度ビックリしました。

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©柴田ヨクサル/石森プロ/東映

今作のレビューです。

丹三郎の1号への愛情が深い

「月刊ヒーローズ」で告知があった時は、一体どんな漫画なんだと思いました。
タイトルから中身が想像出来なかったんです。

仮面ライダーになりたい男の物語…。
それって漫画として成立するの?という素朴な疑問があったのです。

仮面ライダーになりたい。
大人になっても内面でそういう気持ちを持ち続けてる人がいてもおかしくはないです。
例えば、今「U.S.A.」で再ブレイクしてる「DA PUMP」リーダーのISSAさんなんかは想ってそうですよね。
子供の頃の憧れを抱えた大人の心は、今も熱く燃え滾っている。

でも、彼らは一般人です。(ISSAさんは芸能人ですが、そういう意味では無くて)
普通の人間。
改造人間でも無ければ、当然仮面ライダーでは無い。
「仮面ライダーになりたい」という気持ちを持ってるだけで、どこにでもいる普通の人々です。

そんな1人にスポットライトを浴びせて、どう漫画として成り立たせるのか?
ただただ疑問でした。

そうして手に取った第1巻。
本誌の方は未読でしたので、成程なと。

主人公の丹三郎は「仮面ライダーになりたい大人」。
但し、彼は本気だった。
誰よりも本気で仮面ライダーを目指していた。
40歳になっても定職に就かずに山籠もり。
ライダーの素体に見合う強靭な肉体を作り上げる為に修行に明け暮れていた。
こりゃ、普通じゃないわ。

素手でクマと互角にやりあって、しかも割と余裕で勝っちゃっている。
そこいらの格闘家よりも強いんじゃないかな。
日々鍛えては、ショッカーが現れて自分を改造してくれることを願う日々。

ただ、悲しいかな。
ショッカーはいないんだな。
仮面ライダーもショッカーもあくまでもフィクションの中のキャラクター。
どんなに願っても丹三郎の前には、クマしか現れない。

そんな折、しかし、普通じゃない人は他にもいて。
ショッカーを猛烈に愛するヤクザが舎弟にやらせたのが「ショッカー強盗」。
目だし帽を被っただけの似非戦闘員の格好で暴行強盗を働く事件が立て続けに発生。
一躍世間の注目を浴びるようになった。

ある日、丹三郎が趣味の縁日に繰り出すと、そこに例のショッカー強盗が現れて…。

身体も心も本気の仮面ライダーごっこ。
良い大人が全力全身で「ごっこ遊び」に興じる。
そんな姿を時にシニカルに時に熱く切り取った漫画。

もうね、本当に笑えます。
ショッカー強盗をやらされてる舎弟達は、「仮面ライダー」に思い入れなんて無い人間だから、丹三郎との温度差が凄いw
丹三郎の魂の慟哭にも冷静にツッコむ。呆れる。

きっと心では「オッサン、なにしてん?イタすぎるやろ」とか思ってるんですよ。
それが透けて見える「は?」。

でも、相手が悪すぎた。
丹三郎は屋台で売ってるライダーのお面を被ってなりきってるだけのイタいオッサンじゃない。
クマをも倒せる実力者。

「エアマスター」描いてたから、アクションシーンの作画がやっぱり巧いです。
ライダーキック1つを取っても、素人の「動き」じゃない。
理想的なフォームから放たれる”ようにしか見えない”完璧な構図と身体の描写。
作画の力で「ごっこ遊び」を熱いバトルに昇華してるので、無駄に熱い。

笑えて、熱くなれる不思議な漫画です。

ユリコのタックルへの愛情が深い

成程、理解した。
ライダーに憧れる人間たちが繰り広げる様を本気で描いたアクションコメディ。
そんな風に理解しました。

早速2話で、丹三郎以外の「ライダーに憧れる人間」が登場します。
岡田ユリコ、24歳。職業高校教師。
彼女は生粋の「タックルオタク」。
ストロンガーの相棒・岬ユリ子が変身する電波人間タックルに心酔する女性。

「仮面ライダー」として一躍有名となった丹三郎にショッカー強盗退治を先越され、怒りをあらわにする彼女。
まぁ、気持ちは分かります。
折角待望の「ショッカー」が現れたのに、お面被っただけの「偽物」に先を越されたんじゃ、同じオタクとして憤慨するのも無理もないかも。
特にユリコは、自作のタックルコスチュームを揃えるほどのガチ勢ですからね。

この時の為に幼いころから、格闘技も身に着けて来た。
ボクシング、柔道等々。
キックボクシングに至っては、これアマチュアかプロかは分からないけど、そこそこな規模の試合のリングに立ってますよね(汗
この1コマだけで、ユリコが丹三郎並に強いことが窺えます。

タックルとして栄えあるデビューを飾りたい気持ちと偽ライダーへの怒り。
悶々とした思いを抱える中、ある日、やっぱり偶然にショッカー強盗の皆さんとお会いして…。

もうね、本当に笑えます。
ショッカー強盗をやらされてる舎弟達は、「仮面ライダー」に思い入れなんて無い人間だから、ユリコとの温度差が凄いw
ユリコの渾身の名乗りにツッコむ。呆れる。
「電波な奴か」と上手いこと言いつつ、納得する彼らw

きっと心から舐めてたに違いない。
「電波なカッコウした巨乳のお姉ちゃんが、歯向かってくるから、ちょっと軽く相手したろか」と心から思っていたに違いない。
でも相手が悪すぎた。

ユリコはガチ勢だ。
あっさりとショッカー強盗その1の足をいなして、体勢を崩すと、そのまんまの勢いを活かして軽々と投げる。
ちょっとでもショッカー強盗にタックルの知識が有ったら「それ、電波投げちゃうわ」とツッコめたものの…。
残念です。

仕方ないね。
本物の電波投げは真似できないからねw

やっぱり笑える。
笑えるんだけれど、熱いんですよ。
公衆の面前で下着姿になって、タックルのコスプレをして。
全力でタックルを演じる。
それを微塵も後悔してないし、恥てもいない。

「心から愛してることを表現して、何を恥ずかしがることがあるのか。」
世間体を気にしつつ、素直に慣れない自分が逆に恥ずかしくなりますね。
熱いです。
熱すぎるメッセージです。

笑えて、熱くなれる不思議な漫画です。

あまりにも予想外。

第3話。
遂に素顔で邂逅を果たす2人のオタク。
ショッカー強盗相手に笑えて熱くなれるドラマを魅せてくれるという期待感が高まる中、物語は想像の埒外へと向かいます。

まじか、これ。
あまりにも、あまりにも衝撃の展開。
そんなことってありなの。

どうなるんだ、この漫画。
この先一体どういった方向性へ行くのか。
ワクワクしかないんだけれど。
続きを渇望する漫画に出会えたことが嬉しすぎる。

大満足な第1巻でした。

終わりに

ところで、V3は変身時に「ぶいすりゃぁぁ」とは言わないよね。
確か。
V3の真似する人の9割以上がこうやって叫ぶけど、これ出自は素人さんのモノマネらしいですよ?
僕自身が確認できたわけでは無いので、断言は出来ないですけれど。

柴田先生は多分そこまで理解した上で、取り入れてるんじゃないかなという想像。
同じ「モノマネ」として、敢えて「ぶいすりゃぁぁ」を採用した気がしますが果たして。

ああ、でも今後どうなるんだろ、ホントに。
展開次第では充分「あの人物」が出て来る事も有り得るんですよね。
もし、もしですよ。
「あの人物」が出て来た日には、丹三郎はどうなっちゃうんだろ。
そのリアクションを見たくて見たくて仕方なくなってます。

うん。
なんにしても2巻に大期待。

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