この記事は
「SHIROBAKO」20話の記事です。
ネタバレ満載です。
はじめに
気付けば1週間更新してない(笑
感覚的には2,3日放置してるだけって感じなんですが、う〜みゅ。
時間が過ぎるのは早いですね。ホント。
光陰超サイヤ人3悟空の全力舞空術の如し。(意味:矢なんて目じゃない程時が経つのは速い)
えと。
前回に続きまして、「SHIROBAKO」の感想です。
第20話「がんばりマスタング!」
「これってメタファー(暗喩)なんじゃないかな?」という小さな妄想を積み重ねてみました。
ぶっちゃけますと暗喩とか正確に理解してないんですけれどね…。
だから、「強引」というか「無理矢理」というか「こじつけ」というか。
…すみません。
3つの暗喩があって、それらに対する答えが丁寧に語られていた。
そういう構造の回だったという解釈です。
1つ目の暗喩 「コーヒー」
「このデブ」と監督に毒づいちゃう舞茸さん。
初登場時から今まで全く見られなかった一面を覗かせた舞茸さんに思わず笑っちゃいました。
そんな舞茸さんに弟子入りを志願するも、断れてしまった”りーちゃん”こと今井みどり。
ただ、弟子入りは無理でも課題は出してあげようという事で、「コーヒーのあるシチュエーションを20個」が出されました。
そんな訳で、20話はコーヒーで案出しするみどりから始まりました。
最初に割と長めにコーヒーだけが映し出されていました。
さてさてさてと。
コーヒーが何らかの暗喩なんでは?という最初の妄想。
「20話の物語」をコーヒーで比喩的に表しているのじゃないかという出発点から考えていって、出た答えが「泥」でした。
トルココーヒーはまるで泥のようなコーヒーだと言います。
飲んだ事無いですけれど。
そこまで極端じゃ無くとも、色といい、味(苦み)といい、泥を連想できる飲み物だと思うのです。
ここから20話が「ドロドロの物語」であろうと予想が立てられそうです。
実際に人間関係的にドロドロな面が表面化した回でしたからね。
そんな泥を連想させる(?)コーヒーについて考えるみどりが、ドロドロ人間関係に巻き込まれるという暗喩にもなっているのかなって。
「雨降って地固まる」という言葉もありましたが、固まるのは泥という印象なので、コーヒーと喧嘩は簡単に頭の中で結び付いちゃいました。
物語が進むと、舞茸から2つ目の課題が出されてました。
そのままズバリ「喧嘩」。
1つ目で喧嘩を暗示する課題を出して、2つ目で明示する。
これが1つ目の暗喩とその答え。
そうそう。
アバンでみどりが「コーヒーとめんつゆを間違えてお母さんと喧嘩」と言ってますね。
喧嘩というワードが既に出ていたというね。
関係無いですが、これ思い出しました。
センター試験会場に家からコーヒー持って来たと思ったら冷しゃぶのつゆだった…助けて URL
2つ目の暗喩 「一丸となってる」
Aパート。
「第三飛行少女隊」最終話の脚本打ちの中で、「何故アニメを作るのか」という話が出ます。
あおいはその「何故」に応えられないものの、皆の意見が次々と語られていきます。
その流れの中で、最も印象的な見せ方だったのが佐藤の時でした。
佐藤の「アニメを作り続ける動機」が語られている中、画が動き続けてるんですよね。
基本は動機を語ってるキャラのバストアップを中心にそれを聞く周りの人の表情を映すという画作りの中で、佐藤の時だけ別の演出論で画が作られているように感じました。
「こうやって一丸となってアニメを作ってる」という佐藤の言葉とは裏腹に画で「そうじゃないよ」という事が描かれているんですよね。
あおい達の会話に興味無さ気に席を外し、外に出ていく平岡。
窓から逃げ出そうとする池谷。
こういう描写の積み重ねで1つの暗喩があったと解釈。
平岡というキャラが分かっていれば、「平岡が部屋から出ていく」=「団結出来てない」という意味で捉えることは十分可能ですけれど、そうじゃないと難しい。
ただ単に席を外しただけと見た目通りに解釈するのがベターでしょうし。
ただ、池谷の事を何も知らなくとも、この20話のこの時点までで彼が仕事から抜け出そうとしている事は明白です。
Aパート冒頭でも脱走しようとしたところを捕まってましたし、その後も「護送」されている画もありましたしねw
そんな池谷のカットを平岡の直後に持ってくる事で、「平岡も団結出来てない」という連想はそう難しくありません。
寧ろその為に池谷の逃亡シーンを重ねて、平岡の退席直後にも同様のカットを持ってきてたんだと思います。
あくまでこの20話”だけ”のここまでの描写”だけ”で考えれば、視聴者に「決して一枚岩じゃなく、平岡という”異分子”がいる事」を直接語らずに画で表現するという暗喩になってた気がします。
この2つ目の暗喩の答えは、あおいが出してました。
平岡を目で追いつつ「一丸かなあ?」と明示的に言い表してましたからね。
3つ目の暗喩 「お茶」
Bパート。
2つの暗示が示していたように平岡が喧嘩を起こします。
円さんマジGJとか思ったのは僕だけじゃ無いはずです(笑
さてこの喧嘩を収めたのが丸川社長。
平岡を呼び出して、お茶と御茶菓子を振る舞っていました。
で、これが最後の暗喩。
お茶はお茶でも社長が出したのは抹茶。
抹茶は点てるもので、もてなすもの。
そこから転じさせて社長は「人(客)を立てた」=「平岡を立てた」と。
平岡の行為を否定するのではなく、面目を立てさせた。
この「人を立てる」というのは、意味を調べると3つ出てきます。
そのうちの1つが、
自分は退いて人の面目を立てる
です。
「自分は退いて」とあるので、例文では
人を立てて自分は縁の下の力持ちに徹する
とあります。
抹茶は「制作進行」という仕事はこうあるべきという事を表していたんじゃないでしょうか。
3つ目の暗喩ですね。
お茶の暗喩に対する答え
制作の表舞台に立つ円と対立してしまった平岡。
喧嘩両成敗的な描かれ方がされていた一方で、平岡の「制作進行」の在り方は間違っているとも描かれていました。
ぶつくさ文句を零す平岡に向かって、久乃木ちゃんが「ちっ!!」と言ってます。
舌打ちしてる訳では無いです。
平岡の「画面外の視聴者の見えない部分で手を抜いた作画でも問題無い」という意見に対して「違う」と反論してる訳です。
絵麻もこれに同意するのですが、ここで面白いのがこの役どころに絵麻と久乃木を持ってきたところ。
仲の良い姉妹の様で実に微笑ましい2人ですが、正直何故に会話が成立しちゃうのか不思議でなりません。
基本一語しか発しない久乃木の言いたい事を絵麻はどうして理解出来てるのかと。
これに関しては、もう以心伝心だと解釈するしかないんでしょうね。
以心伝心
文字や言葉を使わなくても、お互いの心と心で通じ合うこと
佐藤の言葉を借りるならば、まさに「一丸になってる」んですよ。
同じアニメーターとして、何となく久乃木の言いたい事は絵麻も分かるんじゃないかな。
(間違うことだって当然あって、その様子も描かれてますしね)
2人の関係が「一丸」であり、だから「ちっ」だけで伝わるんならば、それを理解出来なかった平岡は「一丸で無い」となる。
そんな平岡と対照的なのがあおい。
「第三飛行少女隊」最終話のシナリオをあおいに読ませているのが、何ともニクイ演出でした。
「私には」
アリアに主語だけを読ませて、あおいに続きの台詞を言わせている。
「やりたいことなんてない。
これから見つけられるかどうかも分からない。
でも、皆がやりたいことがあるなら、それを援護する事は出来る」
あくまでも脚本上の台詞を読み上げているだけ。
だけれど、あおいの「何でアニメを作ってるのか分からない今」と「制作進行の正しい在り方」がこの台詞とダブるんです。
敢えてあおいにこの台詞を読ませる事で、今後の決意を語らせているかのような演出。
「アニメを作り続ける動機」を宣言させていたかのような締めでした。
これが僕の考える3つ目の暗喩に対する答え。
青空を背景に、背中で語らせる。
こういう画は、確固たる決意を語ってるように僕は解釈してるんですが、まさにそういう終わりで話の流れの綺麗さにゾクゾクしました。
終わりに
前回で「こういう生き方もあるんだよ」と提示して、改めてあおいの動機作りに焦点が当てられていた。
そういうある種まとめの回だったと思います。