「甘々と稲妻」は料理と食事の大切さを描いた素敵な物語でした

この記事は

「甘々と稲妻」感想です。
ネタバレあります。

はじめに

「甘々と稲妻」の最終第12巻を読みました。
改めて素敵な作品だったなと。
ちょっとだけ感想を記します。

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©雨隠ギド

素敵すぎた最終巻

食事漫画が大流行してますが、あまり食指が動かないんですよね。
読みたいって思えなくて。
どこに面白さを求めていいのだか分からないのです。
漫画のキャラが食事してる風景を延々と読んでも、なんとも思わないので。

でも、この漫画はちょっと違っていて。
始めは「マンガボックス」で第1話を読んだことが切欠ですが、そもそも読んでみようと思えたのは、コンセプトに物語性が現れていたからです。

母親を亡くした小さな女の子とそのお父さんの物語。
もうこれだけで「食事を描くこと」の意図が見えて来るじゃないですか。

子供にとって、食事って本当に本当に大事です。
家族と食卓を囲んで、楽しく美味しく過ごす時間は、掛け替えのないものです。
そして、古い考え方ではありますが、台所を司るのはお母さんなんですよ。
少なくとも犬塚家ではそうでした。
お父さんが外で稼いで、お母さんが家を守る。
小さな1人娘は、お母さんの作る愛情いっぱいのご飯を食べてすくすくと健やかに育っていた…のに…。

お母さんは病気で亡くなってしまった。

仕事ばかりで料理もままならないお父さん。
食卓からは家庭料理が消えて、冷めたコンビニのお弁当だけになってしまって…。

うぅ辛い。
最近はコンビニ弁当も美味しくなってきてて、健康志向にもなってきてます。
昔ほどイメージ悪くは無いんですが、それでも手料理には敵わないかな。
特に子供にとってはなによりも「おふくろの味」が恋しくなるものです。

そんな状況から始まったこの漫画。
小鳥と出会って、少しずつ料理を覚えるおとさん。
拙いながらも愛情のこもった家庭料理を食べる度につむぎにも笑顔が戻ってきて…。

温かいお話が多かったですよね。
家庭料理を食べて、健やかに真っ直ぐに育っていくつむぎの姿がほっこりとしたタッチで紡がれてきました。
料理が、食事が、つむぎの人生にとってどれだけ大事な位置を占めているのかが伝わってくるには十二分な時間がありました。

そして、最終回です。
父と娘と小鳥の物語は、これからもまだまだ続きます。
おとさんと小鳥には新しい関係も匂わせてくれていて、幸せな未来が待っている予感いっぱいです。
続けようと思えば、まだまだ続けられたのでしょうけれど、一先ずの区切りなのでしょうね。

その区切りに選ばれたのが、病だったのは、あぁ成程な~という感じでした。

恐いよね。恐いよ。
普通の人にとっても病気は恐いのに、まだ幼かった頃に大切な大切な人を奪われたのだから、つむぎにとっては人一倍恐いに違いありません。
おとさんも若しかしたらって考えると、心配で心配で仕方ないのも納得出来ます。

お母さんを病気で亡くした事。
おとさん達大切な人を病から遠ざけたいという気持ちの萌芽。
医食同源なんて言葉があるように、食べることは健康に繋がるというのも知識では無くて経験で学んでいたのかもしれません。
だって、毎日美味しいご飯を食べて、笑って元気に過ごしてきたんだから。

つむぎの「将来」に繋がるであろうピースが全て詰まった最後のエピソード。
だからこそ、最高だったんですよ。

そんで、そんな大事な女性の遺した1人娘におとさんが残してあげられた想いでもありますよね。
将来を持たずになぁなぁで生きる人間なんてごまんといます。僕とか。
それがダメとは言わないけれど、夢はあるに越したことありません。

おとさんはつむぎに夢を与えてました。

彼が頑張って一生懸命に手作りのごはんで育てたのです。
何も出来なかった料理をゼロから学んで、一生懸命やってきたこれまでが、ちゃ~んとつむぎに届いていて、彼女は「美味しく食べて健康になる超ハッピー」を叶える職業を志す事になった。
おとさんがつむぎに残した立派な夢です。

最終回、その後の番外編で描かれたつむぎの成長は、これまでの全てを糧とした最高にハッピーなストーリー。
まさに万感のラストという言葉で締めくくりたいものでした。

食事を通した素敵なドラマを読ませて頂いて、非常に非常に感激しております。
とっても良かったです。

終わりに

つむぎのおとさんの呼び方が成長と共に変わっている所だけで、来るものがあるよね。
最初は舌足らずな感じで「おとさん」。
小学校に上がって「おとーさん」。
もう少し成長すると「お父さん」になって、大学進む頃になると「父」になってる。

うぅ立派になって(/_;)

誰目線だよって自分でツッコみたくなりますが、彼女の成長を約6年追ってきた身としては、胸がいっぱいになりますね。
読み続けて来て良かった。ホントに。

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