「その着せ替え人形は恋をする」原作完結記念感想

この記事は

「その着せ替え人形は恋をする」原作漫画の感想です。
ネタバレあります。

嵌ったのが遅すぎた

友人の1人が劇ハマりしてた。
そうなんだ~という感じで聞いていて、実際に僕が見始めたのはアニメの1期の放送が終わってから。
dアニメストアで1期を見始めて、そうしてようやく「面白い!!!!!」となって、原作コミックスを買い始めました。
なので、気分的には「もう終わっちゃったのかぁ」。

気分的には「まだまだ読んでいたい」って感じですが、物語としては綺麗に畳まれているので、作品的にはここで終われるのがベストなのかもですね。
最終巻のという訳ではなく、作品全体についての感想です。

女性作家特有の笑いがツボだった

筒井旭先生
高津カリノ先生(がはこ)
宮原るり先生
椿いづみ先生

パッと思いつく限りの「ギャグセンスが好きな女性作家」さん達。
それ以上の共通項は特にないんだけれど、会話劇が抜群に面白くて、何気ないセリフで笑わせられるんですよね。

今作の福田晋一先生も同じ感覚。
会話が図抜けて面白い。笑える。
突飛な事を喋っているわけではない。日常の会話。
けれどその中にキャラクター自身の個性が滲み出ているから、笑いが生まれる。

最初の一撃(ファーストインパクト)は、1話最終ページ。
「コスプレをしたい」という宣言からの迸るオタク魂こそ溢れさせてるけれど、この時点ではまだまだ「普通のギャル」。
好きな事に正直で、漫画とかアニメが好きで、好きなキャラのコスをしたいという願望があるのは分かる。
読者の海夢への理解は、程度の違いこそあれ、こんなものだったはず。

新菜じゃなくとも真顔で聞き返すわ。

どう聞いてもエロゲのタイトル。
知らんのに中身を薄っすら想像できちゃうタイプの秀逸なエロゲのタイトル。

海夢のオタ度の深淵さが垣間見える一言。

同じセリフを「どっからどう見てもエロゲをやってそうなオッサンオタク」が発してたら、この面白さは出ない。

「会話劇が面白い」という例えにはなってないけれど、会話で笑いを取るスタイルだとはっきりと分かるシーンだと思う。
こんな感じで、最後まで駆け抜けてくれるから、本当に読んでいて笑ってばかりいた。

好きなことを好きと言い、自分と大切な人の気持ちを大切にして生きる。
単純だけれど、だからこそ難しい。
最終巻のあとがきにあるようにファンタジーだと思う。
けれど、漫画だからこそそのファンタジーはアリにもなる。
終始一貫して”ファンタジー”を描いてくださったからこその読後感の良さであり、読んでいて楽しい気分にさせてもらえた。

なんたって海夢。
彼女のキャラが、この作品の陽の部分の全てでしょう。
ひたすらに明るくてハイテンション、真っすぐで好きに一直線な海夢が大好きです。
最高のヒロイン。

「自由でいいんだよんっ」

ファンタジーなんだけれど、色々な意見を否定しないバランス感覚にも秀でていたなと。
あとがきにあるように新菜の生きざまもそうだし、最終巻での「趣味と仕事」に関しての考え方もそう。
「趣味は趣味、仕事にすると雑念が入るから切り離す」というあまねのスタンスを打ち出しつつ、「(海夢とあまね)2人”には”合わなかった」だけと、あまねの否定したスタンスが合っている人だっているとミヤコに語らせている。

人の趣味を笑ったり、バカにすることは明確に否定しつつ、そうではない範囲に於いては「自由でいいんだよんっ」と結ぶ。

この精神よね。
ミヤコのこのセリフが作品全てを表現していて、シンプルに素敵な名台詞だと思った。

何度も言うけれど、本当に気持ちの良い作品でした。
僕の大好きな漫画の1つになりました。

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