「綺麗にしてもらえますか。」第1巻 感想

はじめに

「ケンコー全裸系水泳部 ウミショー」や「さんかれあ」のはっとりみつる先生の新作です。
コミックス発売1月前くらいにヤンガンの公式サイトで1話を読んで購入を決めました。
感想です。

大人と子供が混じったヒロイン像

連載作品一覧の金目さんのイラストに一目惚れでした。
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吊り目がちの大きな瞳に、頬を朱に染めた童顔。
幼い顔立ちと反するようにキリッとした凛々しさを印象付けるポニーテール。
大人と子供が同居するような見た目に、ビビっときました。

ポニテ良いですよね。
「女の子の戦闘態勢」みたいで。
垂らしたままだと何かと邪魔になるので、女の子は作業の前に髪を結わえます。
そんな時にパッと出来るのがポニテ。
働いてる女の子という印象が前面に出ます。
同時に高めに結わえられたポニテと大きな赤いリボンが「元気で活発」というイメージを抱かせます。

その印象通り、金目さんは、「少女」と「女性」が入り混じったような女の子。

彼女は熱海で小さなクリーニング店を営んでいます。
温泉と花火と海辺の町・熱海。
坂が多くてなかなかに大変な土地なんですが、そんな中、1人駆けずり回る金目さん。
クリーニングが大好きで、出来る範囲で集配に回るほど。
とても真摯に、それでいて、楽しみながら仕事に向き合っています。
自分の仕事に誇りを持っているんです。
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「金目にお任せください」。
難しいクリーニングを頼まれた際の彼女の口癖です。
なかなか言えることじゃないですよね。
「お任せください」って。
よほど自信と誇りが無いと言えません。
ましてや仕事として引き受けるのですから、尚更です。
失敗したら、自信の高さが裏目に出て、信用を失いかねませんからね。
それだけに、自信と誇りを持っているという証左でもあります。
大人の女性らしい一面が、仕事に対する姿勢から窺えます。

そんな金目さんですが、幼さをも持ち合わせてます。
一旦仕事を離れると、「好きなモノへの誘惑が弱い」一面を覗かせます。
道端でお腹が空いたら、人が居ない事を確認しつつ、パンをかぶり。
集配帰り(仕事終わり)に温泉を勧められたら、抗えずに一浴び。
焼きたてアツアツのアジの干物を差し出されると、ついついパクり。
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そしてこの笑顔である。
純真な少女のような無垢な表情を魅せてくれます。
端的に言って可愛いです。

キリッとした顔と可愛らしい少女のような顔。
2つの顔を持つのが金目さんの魅力です。

彼女の性格を決定づける過去

少女の様であり、大人の女性の様でもある。
境界の曖昧な混ざり合った個性が、彼女を際立たせています。

そんな金目さんは、では、何故このような女性になったのか。
それは彼女の過去にあるようです。
いや、正確に言うのであれば、”過去を失っている”からですね。

金目さんには、2年より前の記憶が無い事が明かされています。
唯一覚えていたのが、クリーニングのこと。

まだ”生まれて”2年しか経ってないので、少女然とした一面がある。
しっかりとした技術と知識を覚えているので、立派なビジネスウーマン的な格好良く凛とした女性としての一面がある。

彼女の性格付けにしっかりとしたバックボーンが存在しているので、あたかも金目さんが実在するかのような存在感があります。

変わらないでいて欲しい日常

今作は、金目さんのお仕事風景や暮らしぶりを見守る物語です。
ゆっくりと穏やかに流れる彼女の日常を温かい眼差しで愛でる漫画。

故に、変わらないで続いて欲しい日常風景が続きます。

然しながら、変わらない日々なんて在り得ませんよね。
時間が経てば、確実に何かが変わってしまいます。
そういった「変わってしまう恐怖」は本作にも内在しています。
それが金目さんの過去です。

2年前の彼女に何があったのか?
一瞬彼女の脳内にフラッシュバックした”2年より前の金目さん”から想像するに、過酷な出来事があったことが想像されます。

今を受け入れ、楽しく過ごしている金目さんには「思い出して欲しくない記憶」が有りそうなことを臭わせているのです。
思い出したら、確実に今が変わってしまうような過去が。

漫画の論法として、何れ過去が判明する出来事が起こるかもしれません。
金目さんが金目さんでなくなってしまう可能性があります。

想像するだに恐怖ですね。
穏やかな日常が崩れるなんて考えたくないです。

彼女の今の穏やかな日々を楽しんでいる身としては、このまま記憶を思い出すことなく過ごして欲しいと思ってしまいます。

この先、どのような展開があるかは分かりません。
ただ、僕としては、変わらない日常を読んでいきたい気持ちがあります。

終わりに

本作を好きになれるポイントは、ズバリ、金目さんを好きになれるか否かです。
もしも1話を公式サイトで試読してみて、彼女の日常に寄り添えるようであれば、コミックスを手に取って下さいませ。
金目さんが好きになれれば、きっと満足できるはずです。

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