「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」で考えさせられたRPG世界の常識

この記事は

「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」感想です。
ネタバレあります。

はじめに

ずっと気になっていた「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」のコミックスを買いました。
長い!!
タイトルがめっちゃ長いよ。
覚えられる気がしませんが、くっそ面白かったので感想です。

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©臥待始/サトウとシオ/和狸ナオ

面白い

うぅぅぅむ。面白い。
原作はGA文庫のラノベのようですが、原作の構成力の高さが窺えますね。
第1話の何気ないセリフ「試験に落ちても主ならなんとかしてくれる」が重要な設定の前振りになっていたり、第2話も1話での「古代ルーン文字の掛かった布巾に纏わるギャグシーン」が伏線として終盤で回収されたり。
「ラストダンジョン前の村の人々は強いのではないか」という疑問から出発したであろうワンアイディアだけで推す事はせずに、しっかりと世界観を構築し、巧みに物語を作っている所に好感が持てます。
様子見の1話から、ベルト姫の物語を簡潔に纏めてキャラをしっかりと立てた納得の2話でググッと期待値が膨らみ、第3話以降の設定を踏まえたギャグの応酬で腹筋を持ってかれて…。
すっかりと嵌っちゃいました。

いや~、これは面白い。
原作イラストの和狸ナオさんの絵柄も見た感じ柔らかなタッチで可愛らしい感じですが、コミカライズ担当の臥待始さんのタッチも可愛らしくて物語の雰囲気にマッチしています。
話がとても面白くて、絵も申し分ない。
これまた良いコミカライズに出会えたこと、神に感謝ですね。
あぁエリス様、ありがとうございます。(最近「このすば」にも嵌ってる)

にしても、あれですね。
ラストダンジョン手前の村人の強さについては、面白い解釈だなと思いました。

「モンスターに襲われない村」の謎

古典的なRPGの七不思議の1つが「モンスターに襲われない村」です。
村や街の中に入ったら不思議とモンスターとエンカウントしなくなって、世界が魔王の恐怖に脅かされているとは思えないほど呑気な風景が広がっています。
暮らしてる人々もボーっとしてて、話しかけても「ようこそ、〇〇の村へ」しか言いませんしね。
勇者パーティが家に不法侵入して、引き出しの中調べたり、壺を割ったりしてても気付かない程防犯意識の低い彼らが、どうしてモンスターがうろうろする世界で平気な顔して一般の生活を送れているのか。
寧ろ、それ程ボーっとしてるからこそ、モンスターの存在にすら気づいてないんでしょうか。有り得ますね。

例外があるとすれば、勇者の生まれ故郷でしょうか。
割と高い確率で、モンスターに滅ぼされます。
寧ろこれが普通なんじゃないのかなと。

それ以外、極稀に勇者がたまたま立ち寄った城下町がたまたま魔王軍の襲撃に合ってしまうこともあったりしますが、殆どの街や村は「ようこそ、〇〇村へ」と呑気に勇者を出迎えてくれます。
ま、謎と言えば、確かに謎ではあります。

今作では、その点を「歴代の英雄の子孫が住む村だから」という理由で解決しています。
これは納得感高かったです。
英雄の子孫とはいかずとも、強いモンスターが跋扈する地域の集落に住む人々は、自分達の領域を守れるくらいには強いと考えたら、すーっと胸のつかえが取れました。
魔王が産声を上げた直後から暫くは苦杯を嘗めさせられたでしょうけれど、段々と対抗できるようになって、勇者がのこのこと訪れる頃には均衡を保てる程度までは押し戻せているとすると納得です。
モンスターの多くは知力が低いですから、そういった点も人間が有利に運べている点なのかもですね。
つまりは、魔王やそれに連なる幹部が本気を出して、攻めてこない限りは野良のモンスターの侵入を阻止するくらいは出来ている…と。
然程無理のない穴埋め理論なんじゃなかろうか。

とまぁ、勝手に納得出来ちゃったんです。
歴代の英雄の子孫だけの村なら尚更ですね。
その中で最弱っていっても、世間に出ればメッチャ強いというのは道理。
「お前は弱い」と言われ続けて育って、実際周りが自分よりも強かったならば、ロイドのような無自覚で無敵な純朴な少年に育ちますよねw

RPGの世界観のお約束を逆手に取って、理論的に納得感が高く分かりやすい設定を持たせた主人公ロイドは、「俺TUEEEE」が苦手な僕にも抵抗感なく受け入れられました。

終わりに

原作も読もうかな。
間違いなく面白いはず。

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