「えいがのおそ松さん」は紛れもなく「おそ松くん」との橋渡しとなる映画だった【感想】

この記事は

「えいがのおそ松さん」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

テレビシリーズ未見でも躊躇なく見に行くオッサンがここに1人。
子供の頃「おそ松くん」を見てたので、何の問題も無く鑑賞出来ました。
ネタバレありで感想を書いていきます。

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©「おそ松さん」製作委員会

橋渡しとして最高の物語だった

「おそ松くん」の松野兄弟は、見分けがつかないレベルで同じ顔で、同じような性格をしていました。
それが「おそ松さん」では、個性的な性格になっていて、1人1人が明確に区別できるようになっていました。
この間に何があったのか?

その答えとしての映画だったのは、事前に入手していた情報通りでしたが、ここまで納得感満載で深く掘り下げて描かれているとは予想外でした。
これは良い意味で裏切られた格好でしたね。
先程書いたように、テレビシリーズを一切見て来なかった僕としては、ちょっとした時間潰しくらいの感覚で見に行ったのですが、見終わったらすっかりと満足していました。
いや~良かったです。

他人が見て、見分けがつかない六つ子でも、当人たちからしたら全然違くて、見分けだってしっかり出来ている。
「個人」としての確固たるアイデンティティを持っていたはずで。
しょっちゅう名前を間違えられたり、一括りにされたり。
ましてや気持ち悪いとか中傷されれば、そりゃ「他とは違うんだ」ってなるのかもですね。
他の5人を憎むようになって、何故六つ子なんだという疑問だって生じる。
それが高校時代なら尚更かな。
少し遅いですが、反抗期と重なったというのもありそう。
六つ子それぞれが個性的になった動機としては、とても自然で納得出来る流れでした。

六つ子にとっては忘れたいほどの黒歴史でも、「見分けのつかなかった頃の六つ子」をしっかりと見ていた同級生も居て…。
高橋さんの存在は、紛れもなく六つ子にとって感謝を述べるに相応しい同級生でしたね。
他の同級生が、一緒くたにして「松野」としてしか見てなかったのに、彼女だけはちゃんと名前で呼んで区別していた。
これは、穿った見方になるのかもしれませんけれど、制作スタッフが「おそ松くん」を否定している訳じゃないんだよというメッセージになってる気がしたのです。
全く見分けが付かなかった「おそ松くん」時代の六つ子を肯定して、あの頃も個性があって良かったんだよと。

高橋さんは六つ子にとっては、存在すら忘れていた同級生というのも良い方向で活きていましたね。
六つ子と仲が良くて、よく喋ったり遊んでいたのならば、見分けがついていても不思議じゃ無いじゃないですか。
いくら似てるとはいえ、別々の人間なのですから。
でも、高橋さんはそうじゃなくて、喋ったことすら無いクラスメイトで。
遠目から見てただけで、六つ子1人1人をちゃんと区別できていた。
見た目も性格も同じようでも、全然違ったんだよと言うメッセージとしてしっかりと響きますよね。

彼女の描き方は絶妙で、彼女の目を通す事で「おそ松くん」と「おそ松さん」という”別作品”を正しく繋ぐことに成功していたと思います。
2つの作品の間を繋ぐものとしては、これ以上無い出来でした。

高橋さんの後悔

あの世界が誰の後悔から生まれたのかを暈していたのも良かったですね。
僕としては、これもまた高橋さんの後悔が見せた世界だった気がしました。

彼女は間違いなく後悔していたと思うのですよ。
出来れば、直接六つ子と話をしたかった。
それが出来なくて手紙と言う形を取ったのだし、実際その後悔を認めていましたしね。
んで、手紙自体も手渡ししようとして、結局出来なかった。
勇気を出して家の前で待っていても、誰1人として現れずに、最終的には玄関の扉に挟んで立ち去ることにした。

彼女が遠い場所に行くことになったのは何故なのか。
彼女の意志と言うよりも止む無くといった雰囲気を強く感じました。
ベッドの中で動けないような描写からして、(深刻な)病気の治療の為なのかな?
なんにせよ、彼女にとっては六つ子と喋る最後の機会も失敗に終わった訳です。
後悔があっても不思議じゃないです。

六つ子が忘れていた(覚えてすらいなかった)高橋さんの顔がしっかりとしていたことからも、彼女の後悔が生んだ世界だったという考えを補強してくれます。
(それにしては、手紙が白紙だったりと説明出来ない点も多くあり、「彼女だけの後悔」では無く六つ子の誰か(カラ松が有力か)と高橋さんの後悔が混ざり合った世界と考えるのがベターなのかも)

兎も角ですね、あの世界でちゃんと六つ子と話せて、記念に写真も撮れた。
割と切ない演出で纏められていた高橋さんの「今」でしたが、きっと元気になる明るい未来が待ってるんじゃないかなと。
哀しい別れはギャグアニメには存在しませんからね。
きっとそうであると信じております。

終わりに

エンディング前まででしんみりとする終わり方しておいて、最後の最後でやっぱり笑いで落とすのねw
そういうところもまたらしいというか、決して悲しいエピソードでは無かったんだと思わせてくれました。

おまけの前説で長編は保たないと自虐してましたが、そんなことなかったです。
とても良い映画でした。

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