傑作中の傑作
どんどん先が読みたくなって止まらないマンガって滅多に出合いません。
「SLAM DUNK」、「H2」、「DRAGON BALL」くらいかな。
面白いマンガには山ほど出合ってきたけれど、その中でもページをめくる手が止まらない作品は早々ない。
「響 小説家になる方法」は、そういう類のマンガです。
なぜか?
基本はシンデレラストーリーなんでしょう。
2巻まで読んで、そう感じました。
女子高生の響が、たった一本の投稿作で、出版不況ど真ん中の文壇に風穴開けていくという。
その「触り」が圧倒的に面白い。
響って、なんていうか、得体の知れない女子高生。
自分の芯を曲げないから、ある意味痛快。
気に入らなければ相手が誰であろうと容赦なく楯突く。
蹴りを見舞う。
とんでもない性格してるんだけれど、だからこそ、彼女の言動が痛快なんです。
冒頭2巻までは、そんな響が編集者である花井ふみと「出会うまで」が描かれている。
応募要項も読まずに投稿しちゃったものだから、名前しか書かなかった響(それにしても抜けてるけど)。
花井はそんな「読まれもしない落選原稿」を読んで、その圧倒的な才能に打ちのめされるも、個人情報が抜けてるから連絡が取れない。
響もこの辺彼女の心情描写が抜け落ちてるので、想像でしかないんだけれど、「送ったこと」で満足しちゃってる。
「送って、読まれればそれでいいや」くらい。
一度編集部に電話して「読んでもらえた」、しかも絶賛されたから嬉しくて、それで満足して電話を切っちゃう。
そんな2人がどうやって巡り合うのか。
響のサクセスストーリーの始まりがどうなるのか。
気になって気になって、どんどんページを汲んでいく。
読み進む手が止まらない。
体現する爽快さ
僕はこういったサクセスストーリーが大好きです。
圧倒的な才能・センスに万人が驚いて、その才能が花開く物語が痛快で、読んでいてスカッとするから。
何も知らない桜木がそのセンスでバスケットマンになるまでを描いた「SLAM DUNK」。
誤診で大好きな野球から遠ざかっていたサッカー部員と水泳部員がサッカー部をとっちめる「H2」。
どっちも読んでいてスカッとするんです。
「響 小説家になる方法」は、花道タイプですね。
気に入らない相手はとりあえず頭突き。
稚拙ながらも、圧倒的なセンスでバスケでも驚愕させる。
響は、とりあえず蹴り。
本当に痛快だった。
ムカつく小説家のオヤジに浴びせた蹴りに拍手。
そして、稚拙で粗があるけれど、圧倒的な文才でひれ伏すという展開が目に見えていて、痛快そのもの。
この響が個性的な先輩やどこか憎めない気の強い女性編集者たちとともに、文壇を変えていく様を追っていきたい。
そう思わせてくれるには十二分な面白さが冒頭2巻にぎゅっと押し込められていました。
終わりに
マンガ大賞を受賞したから面白いといってるわけではないです。
でも、マンガ大賞があったから知れたマンガ。
そういう意味では関係大有りですね。
ともかくとして、今作は本気でお勧めできるマンガです。
- 作者: 柳本光晴
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/05/15
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