「パパのいうことを聞きなさい!」 第9話 リアリティが無いからコメディとしても楽しめる

この記事は

「パパのいうことを聞きなさい!」に関する考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

バランス感覚が上手いのかもしれないというお話。

以前のエントリーでも書いたのですが、この作品は只管重く・暗いお話だと感じています。
本来僕は、暗く気分が凹むアニメはあまり見たいと思わないのですが、ですが…。
このアニメだけは実はこっそりと楽しみに視聴していたりします。
シリアスな鬱アニメだと思っている反面、ちょっとしたコメディアニメだとも思っているからです。
なんだか矛盾しているのですが、きちっと僕なりの理由がありまして。

OPが無駄に明るいというのも理由の一つですね。
更にいうと、リアリティが欠如している点もでしょうか。
今のこの極貧ギリギリ生活が許されている事についてなのですが。

叔母さんが祐太達の生活を監視しているのは、既に描かれていますよね。
つまりは叔母さん含め親戚一同が居る限り、最悪の結末というのは有り得ないのです。
空ら3姉妹にとっては、離れ離れになるというマイナス面があるものの、生活苦の末でどうにかなるという事はありませんから。
最高のエンドとは言えないものの、最低でもハッピーエンド寄りの「結末」が用意されている時点で、話の重さは随分軽減されています。
そして同時に、これこそがリアリティの無さを僕が感じている最大の理由でもあります。
親戚一同が力尽くでこのエンドに持って行かない…祐太達の生活を許している点が不自然なのですよね。
本当に彼らの生活を憂いでいるのならば、姉妹がバラバラになったとしてもそれぞれで引き取ってあげるべきで。
そうはせずに、何故か親戚一同祐太達の意見を最大限に(必要以上に)尊重しているからこそ成り立っている物語なんだと思っています。
このように切迫感もリアリティも感じて無いから、実は言う程シリアスな物語とは捉えていないのです。
まぁ、それ以上に幼いひなが突如両親を喪ったという点が重く圧し掛かって来て、僕は暗い作品だと感じてしまっているのですが。

2点ほど、重いのに重くない…コメディとしても見ている理由を書きましたが、コメディとしても見ている最大の理由はそこではありません。
キャラクターの描き方にあります。
このバランスが素晴らしいので、コメディとしても見れているのです。

路上観察研究会3人の描き方が素晴らしい。

さて。この作品、親戚一同を「無かった」事にすると、祐太らの唯一と言っていい頼れる助っ人が仁村ら路上観察研究会のメンツですよね。
可愛いモノ好きの、天然美人の織田莱香。
祐太の同窓で女好きの軽薄な美少年・仁村浩一。
ロリコン変態こと、研究会の会長佐古俊太郎。

この3人が居るから、祐太はギリギリながらも何とか頑張っていられていると思うのですよね。
彼らが居なかったら、この作品は成り立っていないでしょう。
それ程重要なキャラの彼ら。ですが、実際の描写量は驚くほど少ないです。
祐太ら家族が中心の物語なので当然と言えば当然なのですが、それにしても少ないと感じます。

例えば今回の9話で良い男ぶりを魅せた仁村。
女好きでイケメン。料理が出来る…という分かりやすい記号こそ紹介されていますが、それ以外が一切不明。
何処に住んでいるのか。家族構成は。等々。
特に不明なのが彼のお財布事情。

オムライスを奢ったり、靴を買ってあげようとしたり。
美羽にポンポンとお金を使ってくれていました。
勿論一般的な感覚で言えば、これくらいの事は訳無いかと思いますが、それにしても謎です。
若しかしたら良いトコのお坊ちゃんなのかもですが、描写が無い以上平凡な家庭で育った青年だと思っていた方が良いのでしょう。
だから、彼だって当然バイト等で生計を立てている筈で。
大学にも行って、サークルに顔出して、女の子とのプライベートを愉しんで。
そして一生懸命働いて生活費(遊行費)を稼いでいる。
その上で祐太らを助けている。

祐太程では無いにしろ彼だって十分大変な日々を送っているのではないでしょうか。
莱香と佐古も同様ですよね。
それぞれの生活があるにもかかわらず、それをおくびにも出さずにいる。
まるで窮地を救いに来たヒーローのように飄々と苦も無く助けてくれています。

僕はこのバランス感覚が凄いなと思うのです。
仁村らのそういうプライベートを描くことは可能であって、それをすればよりリアリティが生まれると思います。
ですが、それをせずに敢えて生活臭を描かない事で、わざとリアリティを削いでいる。
上にも書いたように、まるで架空のヒーローのように描かれている。
そういう風に感じます。

特に佐古先輩のキャラは物凄いですね。
空気を読まずに美羽、ひなに発情する無類の変態さん。
彼のお陰でシリアスな空気は一蹴されるようです。

最後に

僕はコメディにはリアリティなんて不要だと考えています。
勿論最低限は必要ですが、それ以上のモノは無くても良いとも思っていて。
祐理達の死(本当に死んでしまったのかは不明ですが)、金銭的に厳しいその日暮らしの日々。
これらの暗く重たい要素をリアリティの無さが打ち消し合っているんじゃないかな。

と、散々リアリティが無いと書いちゃいましたが、これはあくまで僕の一意見です。
作品にリアリティを感じている方を否定している訳ではございません。
御了承下さいませ。

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