「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第6話 障がい者視点での感想

はじめに

「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第6話の感想です。
ネタバレあります。

特例子会社ってご存じですか?

隙あらば自分語りを差し込んでいく。
ということで、アニメの感想とは関係のない話から始めさせていただきます。

章題にも書きましたが、特例子会社ってご存じでしょうか。
民間企業には、障がい者(障害者手帳所有者)を全従業員の2.2%以上を雇用しなければならないという決まりがあります。
これを破ると、管轄のハローワークから行政指導が入ります。
(毎年6月1日の就業状況で判断されます。)
それでも改善がなされないと、最終的には企業名が公表されてしまうので、障がい者雇用が満足で無い民間企業は春先に採用活動を活発化させています。
世間が企業を見る目が厳しくなっている昨今、企業名が公表されたら大いにマイナスでしょうからね。
また、この法定雇用率は数年に一度見直され、徐々に高まってきています。
(令和3年3月1日から2.3%になるようです。)

とはいえ、障がい者の雇用って大変らしい。
特に精神障がい者の雇用は、国全体の課題と言っても過言じゃないのかもしれません。
統計では、およそ50%が1年以内に離職してしまうという結果が出ています。
雇ってもすぐに辞めてしまうのだから、なかなかに雇用率を安定させにくい。
だからと言って、精神障がい者を無視するのは、それもまた難しい。
平成30年版の障害者白書によれば

身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、各区分における障害者数の概数は、身体障害者(身体障害児を含む。以下同じ。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。)108万2千人、精神障害者392万4千人となっている

とあります。
割合の高い精神障がい者を雇用しないという方針だと、2.2%を上回ることは大変なのです。

若干話が逸れましたので、軌道修正すると、大変な障がい者の雇用を促進し、安定させることを目的とした会社を「特例子会社」と言います。
障がい者の仕事上の支援を行う職場適応援助者(ジョブコーチ)が居たり、特性に合った支援をしたり。
基本的に障がい者のみを従業員とした、障がい者にとって働きやすい会社なのです。
特例子会社は親会社の法定雇用率に算定出来るため、企業、障がい者双方にとってメリットがあります。

ざっとの説明なので、一部正確ではない文言があるかもですが、詳しく知りたい方はご自身で調べてみてください。
大分長くなりましたが、つまりは、僕自身、この特例子会社の社員をやっています。
5年ほど前にうつ病に罹患し、手帳を取得。
数年前から働かせてもらっています。

そんな立場からの天王寺璃奈編感想になります。

失感情症

精神障害って色々あって、僕自身まだまだまだまだ知らない事ばかり。
同僚たちの抱える障害を理解しているとは言えません。
同じ会社で働く僕がそうなんだから、健常者からするともっと分からないと思う。
もしかしたら、変な偏見を持っていらっしゃる方もいるかもしれない。
「普通の人とは違うんでしょ」とか差別的な考えを持ってる人もいるんじゃないかな。
でもね、それだけは「そうじゃないよ」と僕にだって言えるんです。

はっきり言えば「健常者と何が違うのかが分からないくらい一緒」です。
でも、だからこそ、理解が難しい。
彼らは、健常者とは違う苦手なことを何かしら持っていて、「同じに見える」からこそ「何故苦手なの?」という疑問を持ちやすい。

その中で「自分の感情を表に出すことを苦手」とする人もいます。
ネットで調べると、そういう性格特性を「失感情症(アレキサイミア)」と呼ぶそうです。
璃奈がそうであるとは言いません。
というか、違いますね。
性格特性でも障害特性でも無く、自分の気持ちを素直に出せない「無表情な子」なのでしょう。

それを理解した上で、それでも「失感情症」の子と重ねて璃奈を見てしまいました。
そうして、彼女の苦しみを理解し、同好会メンバーたちの励ましに救われました。

苦手な面は得意な事でカバーする

「特性があるから働けない。」
障がい者がそう落ち込んでいるならば、「それはサポートするから一緒に頑張ろう」と支えるのがジョブコーチ。
なれば、ニジガクメンバーは璃奈にとってのジョブコーチ。
個人的に特に刺さったのは、愛の行動とかすみのセリフ。

段ボールごと璃奈を抱きしめる愛。

twitterのTLに流れてきたのですが、「段ボールごと抱きかかえることで、璃奈のすべてを受け入れている」という解釈が凄く好き。
「感情を言葉に出来ない」「表情が作れない」という璃奈のコンプレックスごと「そこも含めて璃奈でしょ」と認めてくれているところ。
これは愛だからこそ出せる説得力ですね。

かすみの「ダメなところも武器に変えるのが、一人前のアイドルだよ」も凄く良い。
先の話に戻りますが、結局ジョブコーチや会社がいくら歩み寄っても、本人に働く意思が無いと続けられないんですよね。
璃奈としても、愛を筆頭にニジガクの皆がどれだけ今の彼女を受け入れても、璃奈自身が段ボールから出てこないとスクールアイドルは出来ません。
段ボールから出る最後の一押しとなったのが、かすみの言葉なのだと思う。

苦手な部分を武器に変える。
それも得意を活かして。

ずっと、「璃奈ちゃんボード」って誰が作ったんだと疑問でしたが(スクスタやってない)、なるほどですね。
これは非常に上手い処理。
情報処理科という情報を出した上で、前半で璃奈の得意なことを説明したところが伏線になってるのですね。
しかも、彼女のコンプレックスがあったからこその特技というのも、高い納得感がありました。

ボードで顔を隠すスクールアイドルというのは、個性を主張する大きな武器です。
(リアルで言えば、「仮面女子」を初めて知った時の衝撃に近い。当時「アイドルなのに顔隠しちゃうの?」と大変驚いた)

苦手を武器にするのは、障がい者にとってはハードルが高い。
だから、この辺を重ね合わせて見ることはできないけれど、とはいえ、苦手な面を得意な事でカバーするというのは大事なこと。
璃奈が培った技術を使って、自らの足でスクールアイドルとして舞台に立った。
それだけで感動しちゃうのです。

終わりに

愛との思い出の場所。
璃奈が初めて変われた場所。
だから、もう一度変わるには同じ場所にしたいというゲン担ぎ。
ステージの舞台選びから、璃奈の勇気が見て取れた気がします。

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