「映画 ゆるキャン△」感想 ファンタジーいっぱいの夢物語

この記事は

「映画 ゆるキャン△」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

アニメ第2期、「へやキャン△」、そして映画と。
まとめて発表されたあの日から、どれくらいの月日が経ったのか…。
遂に映画版の公開です。

感想を書かせてもらいます。

「映画で何をするの?」

映画化が発表された時、僕が真っ先に思ったのが、まさにこれでした。
一体映画になって何をするのだろうか…と。

いや、違う。
正確にはそうじゃない。
「何をするか」ではなく、「リン達のゆるいキャンプを延々と大スクリーンで見るだけ」で果たして映画として面白いものになるのだろうか。

勘違いしてもらいたくないのですが、僕はアニメ1期に嵌り(残念なことにリアタイでは無かったけれど)、原作にまで手を出したくらいこの作品が好きです。
のんびりとした自然の中でのびのびとキャンプをする彼女達の物語を楽しんでいます。
されど、それを真っ暗な劇場の中で長時間目を開けて見ていられるかと言うと、甚だ疑問だったのです。

一体どうするのだろうか?
その疑問が本日ようやく解けました。

結論から言うと、無理やりに引き延ばしたような感じもあり、うとうとと舟を漕ぎそうな映画ではあったと思います。
然しながら、寝不足気味の中にありながら、しっかりと起きていられたことも事実。
原作やアニメのゆるさをしっかりと残しつつも、ファンタジーに両足を突っ込んだ夢のある物語になっていたのではないでしょうか。

よもや、リン達を大人にして、ゼロからキャンプ場作りという驚きの物語を用意してくれているとは。
流石に予想外でありました。

夢物語

原作から時間軸をググっと未来に飛ばしているので、この時点で敬遠するファンも多かろうことが想像される中、敢えての冒険をしたのは、「自分のキャンプ場作り」がキャンパーの1つの憧れであるからなのかなと思う訳です。
例えば、後続の作品である「ふたりソロキャンプ」(講談社「イブニング」連載。原作:出端祐大先生。こちらも面白いよ)の主人公である巌は、自分のキャンプ場を持つことを夢に掲げていたりします。
それにキャンパーで無くても、子供なら「自分の部屋」であったり、少年時代には「秘密基地」であったり、大人になっても「自分の持ち家」など「自身の理想を詰め込んだスペース」を欲するのは誰しもあるんじゃないでしょうか。

「ゆるキャン△」という作品がいずれ「描く可能性のある物語」であるし、かつ、映画版に相応しい大きな題材とも言えます。
ファンあってのアニメ映画のセオリーに敢えて土を掛けることになっても、挑戦しがいのある題材であったのかなと邪推するわけです。

そうはいっても簡単にキャンプ場を作りましょうっていうのは、あまりにもファンタジーが過ぎる。
5人組の中に飛びぬけた大金持ちがいたら話は別ですけれど、そうじゃないですしね。
であれば、お話にリアリティを付加するためには高校生のままだと都合が悪い。
「子供がキャンプ場を作りました」。
最初からそういう作品ならギリギリOKだけれど、そうじゃないからね。
故に大人にした。

とはいえ、大人になればキャンプ場を作れるのかと言えば、やはりNOです。
そこで、まぁ、誰でも良かったのでしょうけれど、一先ず千明が「地元の観光推進企画の一環」として動機と場所を提供するに至ったのかと。
うん。
ここまでは、あり得る範囲の物語だ。
人材難だからとボランティアを募る予定であって、そこにかつての仲間であるリン達を引っ張り込むというのも筋が通っている。

けれどさ、ボランティアがリン達4人だけ。
いや、そこはまぁ、スクリーン外に映ってないだけの「多くのボランティアさん」達がいたのかもしれない。
(終盤は近所の農家さんたちなどが実際手伝っていた様子が描かれていましたが)
なのであり得ないけれど、あり得ないけれどこの点はまだまだ擁護の余地がある。

ファンタジーなのは、メインどころ3名の生活だよ。
リンは愛知県、なでしこは東京、恵那は横浜から休みの度に山梨までキャンプ場作りに無償で参加するって超人かよ。

いやいやいやいや。
リンはギリギリ。ギッリギリでセーフと言うことにしよう。
ローカル誌の連載企画の取材の一環で参加してるという事だったから、時間的融通が利いたのでしょう。
けど、なでしこと恵那はアウト。完全にアウト。
フルタイムで働きつつ、(恐らく)シフトの休みの日の度に山梨へ帰っては、キャンプ場作りで汗を流すって過労死するわ。

短期間と言えど絶対無理だから。
とまぁ全力で突っ込んでみたものの、野暮と言えば野暮なのでしょう。
そもそもが(ほぼ)5人だけでキャンプ場作りをしてるわけですからね。
大本からファンタジーなお話なので、なでしこと恵那の生活がファンタジーなのだとしても些細な事とも言えます。

 

つまりはさ、この映画の物語って完全に映画の為の物語なんよね。
長編で、大スクリーンで鑑賞するに堪えうる物語として、「キャンプ場作り」という壮大なテーマを与えた。
そこまでは良いとしても、どうこねくり回したところでリン達5人がキャンプ場を作るのは無理だから、その辺のリアリティは敢えて排除した。
細かいところは考えないでください、夢を見てくださいという物語。
そういえば作中でリンが不思議な夢を見ていましたが、この映画自体も「1つのあり得るかもしれない未来の夢物語」として捉えれば、大人になったリン達(の設定)にカッカすることも無いかもしれませんね。

終わりに

これまで実際のキャンプ場や観光地を作中に登場させていたから、映画全体を包むリアリティの欠如には、大きな違和感を持つかもしれません。
けれど、大人になった設定も含めて「もしも」の夢物語の1つとして捉えて、ゆるい気持ちで鑑賞するのが正解なのかもしれません。
リアリティこそ無かったけれど、そこに生きるリン達は紛れもなくリン達だったし、彼女たちのゆるいキャンプはちゃんとありました。

多少の睡魔との戦いがあるかもですが、そこはしっかりと勝利しつつ楽しんで欲しいなと思います。
僕はしっかりと勝利して楽しめました。

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