「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」感想

この記事は

「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

なんとか初日に見てこれました。
「SPY×FAMILY」劇場版!!!

お互いの正体を知らない家族が1つのミッションをどうこなすのか。
やはりそこが見どころでしょう。
果たして、しっかりと3人の活躍を中心にした映画でした。

感想です。

秘密を公にすることが出来ないオリジナルストーリーのジレンマ

凄腕のスパイ「黄昏」のロイド。
超一流の殺し屋「いばら姫」ヨル。
超能力少女のアーニャ。
未来予知犬のボンド。

家族の秘密を知るのはアーニャだけ。
まさか秘密を公にすることも出来ないオリジナルストーリーのジレンマの中、どうやって全員均等に活躍をさせるのか。

ちょっと強引な部分もあったけれど、そこはご愛敬。
上手いこと家族を中心にした物語になっていたと思います。

それぞれのキャラクターに分けて感想を書いてみますね。

ロイドは失敗しない

これまで大きなミスというミスを犯したことのないロイド。
ロイドというキャラクターを動かす際に、ここは結構ポイントだと思うのです。
彼がミスを犯し、ピンチを招くという展開。
やろうと思えば容易に出来るでしょうけれど、そうすると、キャラの解釈違いというのかな。
よほど「仕方ないな」というシチュエーションを用意しない限り、納得できないと思うのです。
彼はこんな些細なミスは犯さないだろうと考えてしまうんじゃないか。

であるならば、どうすれば彼の活躍を描けるか。
スパイであるロイドを「スパイらしく」活躍させちゃうと、正直何も起こらないんですよね。

今回市場になかなか出回らない希少な材料を求めて、ミッションインポッシブルしてましたけれど、あんな感じで誰にも気づかれること無く目的を完遂しちゃうんでしょうね。
それこそテレビシリーズ第30話~第35話の豪華客船編みたいな感じ。
ヨルを派手に暴れさせて、裏側で人知れずロイドが活躍してる構成。
これはこれで原作長編(客船編のことです)でも採用されている構成なので、アリですけれど、既にやっているという理由でボツ。

ならどうするか…。
色々とやりようはあるのでしょう。(僕にはとんと思いつきませんが。)
その中で今回は敵を有能に仕立ててきた。

スナイデル大佐!!
なんといっても白眉だったのが、初登場シーン。
レストラン瓦礫と絆亭に部下と共に乗り込んできて、店のルールも無視して入店。
ロイド達が頼んだ最後のメルメレを横取りするという横暴振り。

悪役としてしっかりと観客のヘイトを集めつつ、「相当な美食家」という点を十分にアピール出来ていました。
まさかこの美食家という設定が、後々に活かされてくるとは、この時は思いもしませんでした。

任務の為ならば何でも一流にこなすロイドだから、以前シェフをやっていたという経験は、それだけで「かなりの味覚を有する」証左といえます。
事実これまでも彼は、プロ並みの料理の腕を披露して、アーニャ達の舌を楽しませてきました。
今回も「お菓子に使われている砂糖の種類」を見事に看破してのけました。
常人には出来ない業です。

そんなロイドを上回る味覚と嗅覚を披露したスナイデル。

変装したロイドを匂いだけで看破し、ロイドを追い詰めるというのは、非常に綺麗な筋書きでした。

「ロイドは失敗しない」。
この点をしっかりと守りつつ、敵のキャラクター性を伏線として見せて、クライマックスで追い詰めるための手段として活かす。
表立ってロイドを活躍させるための手法として、上手いなぁと感嘆いたしました。

殺し屋ではなく女性としてのヨルを描く

殺し屋としてのヨルは、もうね作中最強と言っていいよね。
とんでもない身体能力、類稀な運動神経、格闘家も逃げ出す筋力。
ヨルを活躍させるのはとっても簡単だったりする。

ロイドのいないところ、見てないところでバトルさせれば良いのだから。

適当に強敵を宛がっておけば、それなりに苦戦はするかもだけれど、まぁ普通に勝つ。
雑な言い方かもだけれど、動かすのには楽なキャラだと思うの。
少なくともロイドよりよっぽど楽に見える。
元々の性格が天然入ってるから、割と簡単にピンチに落とせるしね。

だからまぁタイプFとのバトルについては、多くは語りません。
ヨルに関しては、1人の女性としての魅力をいっぱい見せてくれたので、そっちが大事。

豪華客船編でも描かれてましたけれど、フォージャー家を「偽装家族」としてではなく、本物の家族のような絆や愛着、自分の居場所として認めつつあるヨル。
打算は無くなりつつあるんですよね。
故に「ロイドが不倫してるかも」という疑惑を持って、慌てふためく。
本物の妻のように「あの野郎許さん」とはならないけれど、不安で仕方なくなってしまう。
普通の1人の女性になってるんですよね。

元々コロコロと表情を変えるヨルだけれど、この劇場版は、さらに乙女なところも見せてくれて、一層可愛かった。
早見さんの声で、表情豊かに動き回られると、もう本当に可愛いとしか言えなくなる。

少しだけバトル面に言及すると、この「乙女ヨル」の中でロイドに買ってもらった口紅が勝負を決した点は途轍もなく素晴らしかったです。
普通の口紅ではなくて、プレゼントされた口紅。
ヨル自身を守ったという意味でも、家族の為のバトルで勝つ為という意味でも、大事な口紅を失ったことは惜しくは感じません。

コメディリリーフとして完璧すぎたアーニャ

最後はアーニャ。
あれボンドは?と思われるかもだけれど、彼は置かせてください。ごめんです。

アーニャは、今作に無くてはならないキャラクター。
主人公以上に大事な存在。
やはり彼女を中心に回していかないとだし、彼女を中心に置けば、大概「SPY×FAMILY」らしくなる。

そういった意味で今作のアーニャの立ち位置はまさに完璧でした。
家族が旅行するための動機を作り。
軍情報部に誘拐される理由を自ら招き。
敵に誘拐させるチャンスまで自ら作り。
超能力でロイドを助けようと懸命にもがき。
いついかなる時でもコメディリリーフに徹する。

まさにパーフェクト。

ともすればどこまでもシリアスに出来るドラマを、しかし、アーニャが出てくるだけでコメディ映画に早変わりする。
これだけで物語に起伏を産んで、飽きさせること無く物語を牽引できるんですよね。

ファミリー向けにも完璧だ。
お子様大好きうんこの神を生み出す圧倒的な想像力で、子供たちの機嫌を独り占め。
勿論クライマックスでは、ちゃんと父を助けるために奮戦する姿を見せて、親御さん世代の胸を暖かくさせることも忘れない。

孤独すぎた過去があるからこそ「ワクワクな今」を全力で楽しむアーニャに、見ているこちら側も楽しませてもらえている。
そんなアーニャの活躍度合いは完璧でありました。

終わりに

興行収入は50億は手堅いでしょう。
十二分に大ヒットの括りに入るはず。
初めての人でも、お子様連れの家族でも、もちろんカップルでも気軽に楽しめる映画。
濃いファンにとっては多少物足りなさを覚えるかもだけれど、見て損したということは無いと思う。

個人的には満足でした。
非常に楽しかった。
これは第2弾も期待しちゃいたい。
来年…は無理でも、2年後とかで第2弾来て欲しいな。

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