シチュエーション別バトルシーンベスト選 集団戦闘編

この記事は

「シチュエーション別バトルシーンベスト選」1回目です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

連載するつもりは毛頭ないんですが、思いついた時にちょこちょこシリーズを重ねられたらいいなという薄い気持ちで始めてみます。

バトル漫画の花形。
肝となるバトル。
様々なバトルシーンを状況や読んだ時の想い(感想)毎に選別して、その中の個人的ベストについて書いてみようかなと。
初回(?)は、集団戦闘。

多対多。
多対一。

“集団”という言葉を使ってしまうと、どうしても前者だけのイメージを持たれるかもしれませんが、後者も含めました。
あくまで、僕がこれまで読んだことのある漫画のなかから選んでみました。

集団戦闘を描く2つの理由

「ドラゴンボールZ 復活の『F』」での悟飯ら地球側の戦士とフリーザ軍の激突。
非常に見応えのある集団戦闘シーンでありました。

もう大興奮。

で、漫画ではどんなのがあったのかなと。
ちょっと頭を巡らせると、時代物やヤンキー漫画ばかりが思い浮かびました。
戦闘というよりも戦争という言葉の方がしっくりくる。
人間同士の合戦・戦争・喧嘩(抗争)は集団戦闘そのものですよね。
安易ですが、その手の作品ばかりがパッと出てきちゃいました。

それこそ人知を超えた漫画ならではの”超人”同士の戦いを主としたバトル漫画に於いては、一対一が基本となっている気がしますね。
集団戦闘ってそんなに数は無い気がします。
「ONE PIECE」の魚人島編は、そんな少ない集団戦闘の1つですね。

ルフィ達の前にずらりと居並ぶ敵の海賊団。
ホーディ率いる新魚人海賊団の構成員である魚人を中心に囚われた人間の海賊共、総勢10万。
ホーディの号令の下、10万の海賊がルフィ達に襲い掛かるというシーン。

しかしこの戦闘は、わずか3ページ程で大勢が決します。
ルフィが”覇王色の覇気”を放ち、半分近い敵海賊が失神させられちゃうのです。

僕の選んだベストはこのシーンではありません。
では、何故わざわざ取り上げたのかと言えば、僕が考える「集団戦闘を描く2つの理由」のうちの1つがこのシーンに込められているからです。

「集団戦闘を描く2つの理由」の1つ目。
「主人公(勢)の圧倒的な力を描写する為」。

多勢に無勢ということわざがあります。
どんなに強くとも、数の暴力には勝てないという意味。

麦わら海賊団+ジンベエの10人に対して、新魚人海賊団は10万。
いくらルフィらが強いと言っても…というシチュエーションです。

だからこそ、「一瞬で倒す」という描写に強い意味が生まれるんですよね。
数の暴力をものともしない程の圧倒的な力量差。
それを「2年間の修行の成果」=「”覇王色の覇気”」で表現する。
空白の2年でどれだけ彼らが力を付けたのかを読者に示すという意味でも、この集団戦闘は活きて来てます。

「ONE PIECE」では、このバトルシーンに至るまでにとことんホーディの残虐性を読者に植え付けています。
どれだけ嫌な敵なのかを丹念に訴えて来るんですよね。
読者をムカムカさせてイライラさせて。
こんな奴ら、倒されちまえと想わせる。
そうして、バトル開始早々にルフィに”瞬殺”させる。
スカッとするんですよ。
大きなカタルシスをも生んでいる。

カタルシスを得られるので、集団戦闘の中でも好きな部類には違いない。
でもベストではありません。
やはり、ハラハラドキドキもしたいじゃないですか。
主人公勢が勝つのは分かりきっちゃいますが、とことんまで追い込まれた後の逆転劇こそ、バトルの醍醐味だと思うのですよ。
そういう意味では、「主人公(勢)の圧倒的な力を描写する為」の集団戦闘では、ちょっと弱いんです。
集団戦闘を描くもう1つの理由。
「敵勢力の圧倒的な力を誇示する為」。
この理由を込められていた方が好きなんです。

「ONE PIECE」のケースとは真逆ですね。
それこそ数の暴力で味方勢力の戦力を削いでいく。
やはりベストはこれっきゃない!!ですね。

「DRAGON QUEST列伝 ロトの紋章」!!
獣王グノン戦!!!!!
「DRAGON QUEST ヒーローズ」発売の折、様々な場所でグノン戦を引き合いに出していたのを見かけましたが、そのグノン戦です。

獣王グノン戦の圧倒的な絶望感が凄い

ゲーム「DRAGON QUEST」シリーズに登場する数多のモンスター達。
その中でも動物をモチーフとした全てのモンスターを統括するのが獣王グノン。
クロコダイルじゃないです。グノンです。

ラスボスである大魔王・異魔神の配下である四大魔王の一人であるグノンが、たった1人の勇者を斃す為に10万の獣兵団を率いて乗り込んでくるんです。
しかも、力を持たない人々を人質に取り、勇者アルスだけを戦場に誘います。

この圧倒的な絶望感たるや、筆舌に尽くし難い。

ゲームが原作なので、ゲームをイメージすると分かり易いです。
例えば、プレイヤーはLV99の勇者1人のパーティを操作してるとします。
マップを歩いていると、当然のようにエンカウントする訳です。

聞きなれたBGMと共に、姿を現すモンスター共。

あばれザルAが現れた。
あばれザルBが現れた。
あばれザルCが現れた。

取り合えず通常攻撃。
あばれザルAを斃す。
敵のターン。
1匹は攻撃してきて、勇者のHPを削ってくる。
1匹は嫌らしいことに仲間を呼ぶ。

ゾーマが現れた。

なんか雑魚がボス呼んじゃうというバグが発生。

あれれ?と思っても仕方ない。
ボス戦強制突入で逃げられない。
当然9回連続で逃げるを選択しても、相手がデスピサロじゃないから意味が無いゾ。

勇者は攻撃するしかない。
こうなるとあばれザルが邪魔なので、複数攻撃の呪文で蹴散らす。
バギマ。
効果は絶大だ。
あばれザル達を斃した。

これでゾーマに集中できると思いきや、ゾーマは仲間(部下)を呼んだ。

バラモスブロスが現れた。
バラモスゾンビが現れた。
やまたのおろちが現れた。

まあ、有り得ない例えですけれどね。
呪文無しでマドハンド8匹と戦ってたら、どんどん仲間を呼ばれて、気づいたら10分以上延々と戦ってました的な。
思いがけずに経験値を稼げて、想定外のレベルアップしちゃったみたいな。
誰しもそんな経験位はあると思うのですが(僕はあるw)、それの「もっと大変版」。

作中でもMPは有限なんですよ。
体力だってどんどん削がれていく。

いくら一撃で屠れるとはいえ、ダメージは受けていく。
呪文で蹴散らしても蹴散らしても、10万のモンスターは死を恐れずに次々と襲ってくるし、MPが減っていく。
孤軍奮闘にも限界はあり、アルスは消耗戦を強いられていき…。

戦い始めはまだ夕方だったのに、決着は明け方。
詳細な時間は不明ですけれど、ざっと計算しても半日ほどは戦っていたように見えます。
休み無しで襲い来る10万ものモンスター。

雑魚モンスターを統率する4体の中ボス・獣兵団四天王。
更にはその四天王の頂点に君臨する魔王とも戦った。

キラが戻って、ボロンが覚醒し、3人のケンオウが揃ったとはいえ、犠牲は大きかった。
アルスの応援に駆け付けたアリアハンの罪も無い人々が死んだ。
アルスを幼い頃から育ててきたタルキンがメガンテを使って死んでしまった。
ポロンの仲間のモンスターも殺られてしまった。

圧倒的なまでの魔王軍の力が分かるし、どうしようもない絶望感を味わえる。
深い悲しみのドラマがあって、熱い逆転劇を愉しめる。
勇者だから人々に裏切られたが、勇者だから皆から力を貰って、巨悪を討てた。
ミナディンの使い方が王道とはいえ・王道だからこそ熱いんです。
一昼夜に亘る激闘は、漫画史に散々と刻まれるべく「名集団戦闘シーン」ですね!!

終わりに

改めてグノン戦を読み返しました。
ついつい違う所に目を奪われて、気づいたらヤオの成長記録を追ってしまったのですが…。

グノン戦、何度読んでも熱いです。
凄まじいです。
漫画でしか表現できない圧倒的なまでの迫力がそこにありました。
個人的には集団戦闘と言えば、このシーンですね。

それにしても、今見てもヤオが可愛い。

ジパング編の髪型が至高。

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