「DRAGON BALL Z 復活の『F』」 感想

この記事は

「DRAGON BALL Z 復活の『F』」感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

3日連続更新、最終日は「DRAGON BALL Z 復活の『F』」の感想です。
パワーバランス崩壊?
気にしちゃアカン!!!

感想…!?

鳥山先生が脚本を初めて担当されたという事で、前作同様「龍拳爆発」以前の「DBZ」映画と趣を異としたものになっていたなと。
前作はギャグを基調とし、バトルシーンも少なく、何より初めて敵を倒さずに終わるという異色異彩を放つ物でした。
加えて17年振りということもあってか、ネットを軽く見て回っても今までと違くても受け入れつつある様子があったみたいですが、今回はやや否定的な意見が多い感じでしょうか。

バトルに比重が置かれて、「龍拳爆発」以前の「DBZ」映画と比較しやすくなったというのもあるのかなと勝手に分析しちゃってますが…。
これはどういうことなのか。
個人的な感覚で考えてみます。

前作の感想でも書いたことなのですが…。
東映アニメフェアで上映されていたこれまでの映画は、1つのテンプレの上に成り立っておりました。

悟空よりも強い敵が出てくる事。
その敵に圧倒的な力で追いつめられてしまう事。
それでも最終的には悟空が勝つという事。

1本あたり正味40分から50分程度の短い尺の中で、これだけのものを毎回毎回詰め込む訳ですから、決着のさせ方もやや強引になりがちです。
修行もパワーアップもした訳では無いのに、仲間の協力(元気玉)だったり、謎のパワーアップだったりで、それまで劣勢だった展開をいっきに力技で覆す。
説得力と言う点に於いては欠けてしまうというのは致し方ないかと。

こう書くと、なんだか僕は今までの映画を否定してるような感じになっちゃいますね。
ごめんなさい、そうじゃないです。
やはり幼少期から見て来たものなので、思い入れもあってか、「これぞDBの映画!!」という刷り込みがあります。

だから、今回も前回も「旧来の展開」とは決定的に異なる…しかも今回はバトルがメインに来てるからその違いがよりくっきりとしているので、何とも言えないもやもや感が残ったりもしてます。

でもね。
鳥山先生が関わって、「ブウ編」後の世界での戦いを描かれると、自然とこうなるんだろうなと思えてくるような内容なんですよね。

強さというものに限界を感じている

「DB大全集」第6巻で鳥山先生はインタビュー内でこのような主旨の発言をされております。
奇しくも「劇場版についてのインタビュー」での発言。
これについてはアニメスタッフ間でも認識を共通としていて、例えば「GT」で悟空を小さくした理由について「大人のままだと敵を創れなかったから」という旨の発言を残されています。

僕としてはこれらの発言は、「旧来の映画のテンプレで作り続けていく事の限界」を意味しているのではないかと解釈しています。
(発言の経緯や時期を考えると、今回の映画と結び付けるのは無理なのですけれど、このような考えをずっと持ち続けていたと考えられそうなので)
噛み砕くと、「修行もパワーアップもした訳では無いのに、仲間の協力(元気玉)だったり、謎のパワーアップだったりで、それまで劣勢だった展開をいっきに力技で覆す」事に無理が生じて来たと。
「龍拳爆発」までのようにパラレル世界の物語では無く、正史の続編であるというのも大いに関係してるのかもしれません。

今までよりも強い敵を、映画という短い尺の中で勝たせる限界。

「龍拳爆発」まではこれに加えて「悟空達をパワーアップさせられない」という制約が付いていたので、更に困難を極めたことでしょう。
鳥山先生が脚本をされる事で、この制約は解き放たれてました*1が、それでも短い時間内で決着させるのは難しい。

だからこそ、単純な戦闘力の大きさだけで勝敗が決するような形にはなっていないのでしょうね。

「神と神」にしたって、戦闘力で言えばビルスの方が圧倒的に上。
だから、結果的に悟空は負けたままで終わった。
今回も戦闘力の最大値だけで言えばフリーザの方が上だったようです。
が、「パワーアップに身体が付いていけず体力の消費が激しい」という理由を作って、悟空の方が勝つという見せ方になっている。

これについても、原作で散々描かれてきてた点ですよね。
「超サイヤ人は体への負担がでかいから、それに慣らしていこう」(悟空)。
「超サイヤ人は邪道。通常状態が理想」(老界王神)。
「超サイヤ人3は下界だと体力の消費が激しく、時間制限がある」。
今作の悟空もこれに近い主旨と思われる発言がありました。

フリーザ「おや、超サイヤ人にならないんですか?…」
悟空「今じゃ、そこまでならなくてもいいんだよ」

そもそもフルパワー状態のフリーザがそうでしたよね。
体力消費の激しい100%の状態になって、結果的にはそれが原因で悟空に敗北したのですから、同じ轍を踏んでしまったと。
フリーザが負ける理由は「DB」ファンにはお馴染みだし、故に納得しやすい。
悟空を窮地に追い込む手段にしても、油断と言う弱点を突いた不意の一撃という戦闘力とは無関係な点にしている。

勝てない敵には勝たせない(「神と神」)し、どうしても勝てない敵は出さない(「復活の『F』」)。

「今までよりも強い敵」というのは守りつつも、しかし、「悟空以上に強い敵」は出さない。
出しても悟空は勝てないようになっていて、今回は「悟空よりも弱かった」事がちゃんと示されている。

ここら辺がこれまでのテンプレと決定的に違っていて、もやもやの原因になってたのですが、考えてみれば納得。
最後はあっさりでしたが、それまでで悟空との一対一の対決に決着が着いていたので、さもありなん。

それにしても、バトルシーンは圧巻でした。
ちゃんと殺陣を描いてくれていたので、実写の良く出来たカンフー映画を見た様な興奮がありました。
鳥山先生の脚本にもありましたが、確かに悟飯ら地球軍とフリーザ軍との戦いが大きな見せ場でしたね。
光線技や「目にも止まらぬ激突音だけで演出されたバトル」に頼らない、アニメーターさんが超絶大変そうな渾身のバトル描写に大興奮。

悟空とフリーザにしても、それは引き継がれていて、「これぞ肉弾戦」という描写は映画ならではの贅沢なのかもしれませんね。

パワーバランスについて

さて、パンドラの箱的戦闘力について少しだけ言及しておきます…。

正直な感想を言えば、今までのパワーバランスでは説明がつかない描写だったなと。
映画本編だけで拾える情報では、どうしたって解釈に無理がありました。

いやだって、ヤムチャ、チャオズが戦力外なのに、2人より圧倒的に劣る筈の亀仙人が戦力になってる時点で…ねえ(汗

ただ、特典の「F巻」でこの印象が大分補正されましたので、僕の考えを書いてみます。

先ずはフリーザ軍の映画時点の強さについて整理しておきます。
フリーザ。
こいつについては、強くなったことに凄く納得しちゃいました。
「今まで鍛錬などしてこなかった天才が、半年近くの修行で強くなった」。
まあ、アリですよね。

ではその部下であるフリーザ軍はどうか。
シサミは、タゴマと渡り合う実力の持ち主で、そのタゴマはザーボンやドドリアに匹敵する力を持つらしいです。
早い話雑魚です。
そんな弱いはずのシサミよりも更に弱そうな一般兵士。
実際弱いはずです。

正直フリーザ以外は「今の悟飯たちからすれば」相手にならない敵ばかりなんですよね。
でも、本編だと苦戦してるように見えました。

どういう事かなと。
脚本に答えの一部がありました。
抜粋します。

フリーザ軍といっても、ほとんど2級戦士達の寄せ集めだ。
強さでは地球軍が圧倒し、どんどんその数を減らしていく。
しかしかなり強い者もいる。
特に傭兵はやっかいだ

雑魚の中に混じって、かなり強い傭兵がいたようです。
だから、苦戦していた。

でも、まだまだ説明としては不十分です。
それでも悟飯達の方が圧倒的に強いはず。

そこで、こう解釈。
「悟飯達は弱体化している」。

その筆頭が悟飯だと考えられます。
悟飯が今回超サイヤ人になったのは実はオカシイんですよ。
「GT」でもなってて当時から違和感を持っていましたが、今になって思えばこれが弱体化の根拠になるのかなと。
老界王神によって潜在能力を限界以上に引き出された状態を「超悟飯」とすると、悟飯にとっての変身によるパワーアップの順位としては、大体こんな感じでしょうか

1 超悟飯
2 超サイヤ人2
3 超サイヤ人
4 通常状態

修行を怠っていた悟飯は急激に力が衰え、先ず超悟飯状態を維持できなくなってしまった。
悟飯にとって超サイヤ人は、その「下」の変身であり、今作では

「超サイヤ人にはまだなれますよ…たぶん」

と発している事からも、超サイヤ人への変身すらギリギリの状態と想像出来る。
超悟飯と超サイヤ人悟飯では、パワーに圧倒的な開きがある筈ですから、これはもう大幅なパワーダウンと言えます。

ピッコロやクリリンにしても、日頃修行はしてなさそうですから、悟飯同様にパワーは落ちているとみなす。
天津飯は修行してそうなので、キープ。
問題の亀仙人は「その気になりさえすれば元々あれくらい強い」と鳥山先生自身が仰っているので、もうそう見るしかない。

両軍のパワーは、このようにある程度近い状態にあったのかなと。
数で押され、また、時折強い傭兵と戦う事で、クリリン・天津飯は体力を削られ辛勝。
悟飯、ピッコロは単純に数の暴力に押されていただけ。
亀仙人は、たまたま弱い2級戦士しか相手取ってなかったのかなとw

こう考えても、ピッコロがザーボン級のシサミ如きに苦戦する訳は無いので少々苦しい面もありますが、これについても殺さない様手加減をしていたのですから、「苦戦してるように見えただけ」とも。

やはり「過去の敵」…しかも雑魚相手に苦戦してるような描写があると疑問を覚えてしまいますが、そこはもうね。
最初にも書きましたが気にしちゃアカン!!!と。

迫力あるバトルがたっぷり見れたので、細かい事は気にしません。

終わりに

なんか眠いので取り留めも無い文章になってしまいましたが…。
推敲もせずに、このままの形で残しちゃいます。

最後に感想を纏めますと。
「DBZ」の映画らしくは無いけれど、漫画「DB」の続編を見れて満足。
そんなところでしょうか。

あとはそうですね。
もし次回があるならば、次回こそ作画スタッフでは無く、キャラデザか総作監で参加して下さい、中鶴さん。
お願いします。
(携わって下さってるだけで嬉しいんですけれどね。
一度で良いから総作監・中鶴さん、作監・山室さん、前田さんという夢の布陣の映画が見たい)

*1:これについては特典「F巻」冒頭で先生自身が言及されてますね

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