「HELLO WORLD」は果たして考察厨を刺激する映画だったのだろうか?

この記事は

映画「HELLO WORLD」感想です。
ネタバレあります。

はじめに

エンドクレジットで勝手に驚きっぱなしでした。
中鶴勝祥さんが作画で参加されていたり、藤田和日郎先生がデザインワークスとして参画されていたり。
「世紀末オカルト学院」の名前もあって、懐かしさがこみあげてきたり。
誰も意図しないところで驚いてしまい、肝心の本編は「?」という感じでした。

その為、見終わった直後は「考察のしがいのある映画なのかな」と思ったのですけれど、一度冷静になってみると違うのかなと逆の感想を持つようになりました。
もっと直感的に・頭を使わずに楽しむ映画だったのかもなと。

ラスト1秒で世界はひっくり返る

印象的なフレーズで締めくくられていた今作の特報。
どんでん返しを前提としていただけに、その意識を持って鑑賞していましたけれど、特には驚けなかったかな。
あまりにも謎に想うことが多くて。

結局、二重構造だったということですよね。
ちょっとややこしいけれど、北村さん演じる高校生時代を直実、未来から来たと名乗る青年を先生、現実の「堅書直実」をナオミとすると…。

現実世界でナオミが脳死(?)状態に陥っていて、それを瑠璃がカラスのアバターを使って蘇生させようと試みていた。
先生は、過去の記憶なのかプログラムなのか。
詳細は不明ですけれど、自分自身の正体を知らなくて、「現実と思わされた世界」で瑠璃を救おうとしていた。
直実は、そんな先生のいる「現実世界」で作られた「仮想世界」の住人だった…と。

救う側と救われる側がラストで逆転するという構造を描きたかったのでしょうけれど、やや不親切な設計でしたね。
説明不足でしたし、「答え」に至る取っ掛かりも特に無く。
唯一大きなヒントと言えるのは、先生の認識する「現実」に狐面が侵食してきたことですかね。
あれは、本来の現実では絶対に起こり得ない事象でしたので。
ついでに言えば、「現実世界」で直実がグッドデザインを使えていたこともヒントではありますね。
先生と直実が同じような存在であることは、作中のヒントだけで察することが出来るのですけれど、もう少しラスト…カラスの正体に繋がる説明やヒントは欲しかった。

ヒントの出し過ぎは、ラストの驚きを削ぎかねないので、匙加減が難しいところだとは思うのですけれど、とはいえ、少しは伏線を張っておいても良かったのかなと。
見終わって、振り返ることで「あの描写はそういうことだったのか」と膝を打てるようだとどんでん返しの効果も良いほうに出ていたのですが。

僕が見逃しているだけな可能性も高いので、強くは言えないのですけれど、そういう点で少し残念ではあったのかなと感じました。
という訳で、記事名の問いに対する答えとしては、「考えるな感じろ」系映画だったのかなと。

ハローワールド

言語に関係なく、プログラミングを少しでも齧ったことがある人にはお馴染みのフレーズですよね。
Hello World.
大抵のテキストでは、まず最初に簡単な一文を画面に表示させる例題が載っています。
そのどれもが、この一文なのですよね。

誰も知らない新しい世界に直実が瑠璃と共に行けたことと彼らがプログラミング世界の住人であることを指しての「Hello World」。
もう1つの意味としては、先生が蘇生して、改めて世界にこんにちはをしたということを指していたのかな。

こう考えてみますと、タイトルはしっかりと作品世界の全容を表現されたものだったのかもなと思えました。

3D作画について少しだけ

予告段階では、気づけなかったのですけれど、確かに3Dでしたね。
驚きでした。
動きがやっぱりまだまだ手書き作画とは異なっているので、動くと分かりますけれども、止まってると見分けが付きにくいのは確か。
2Dアニメーションとの融和も、凄い高いレベルにまで来てるんですね。

ただ、キャラデザの堀口さん繋がりで「22/7 計算中」を見てる気分にもなりました(笑
あの番組のCGもレベル高かったんだなぁ…。

終わりに

物語については、宣伝戦略上のミスだったように思うのです。
特に何も考えずに、フラットに見ていれば、ラストでしっかりと驚けるんじゃないかな。
ヒントが少ないので、「良く分からなかった」で終わる人もいらっしゃるでしょうけれど。

その他は特に気になる点も無く、寧ろ、映像の面白さやキャラの可愛さで楽しめました。

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