「友達の妹が俺にだけウザい」第9巻感想

この記事は

「友達の妹が俺にだけウザい」第9巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

修学旅行編の後編。
終始ラブコメ展開かと思いきや、終盤にジェットコースターの如く急展開を見せてくれて、「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」って絶叫してます。
物語がドッと動いてくれると、やはり楽しい。
感想です。

乙羽の強敵っぷりが磨かれた9巻

いきなりその終盤の展開から感想を始めます。
文字通り「役者が揃った」。

前回のラストでの真白の攻勢が、こういう形で波及していくのね。
これまでバラバラだった各自の思惑が、「彩羽を女優にする」ことに一点集中するのは面白いし、ラスボスが乙羽になったのも分かりやすくて良し。

勿論キャラクターそれぞれが別々の目的を持って動くと物語的にも予測を裏切る展開を作りやすく、それはそれでハラハラと面白く読めるのだけれど、今回のような形に成ったらなったで、1つの目的に集中出来るじゃないですか。
今回で言えば先ほども書いたように「彩羽を女優にする」ことであり、これについて読者があれやこれやと想像することになる。

先の読めない展開に翻弄される楽しさは味わえないけれど、その代わりに「予想を覆される楽しみ」はある。
想像することが出来るからこそ、その想像を超えた展開が来るとアドレナリンが大量に分泌されるじゃあないですか。

もう1つ、ラスボスをより強く見せることも出来ますよね。
9巻を読んで、改めて僕が感じたのがこの件でした。

彩羽を女優(声優)に仕立てたい「権力者」達。

1人目が月ノ森海月。
ブロードウェイの第一線で活躍するミュージカル女優。
正真正銘の大女優で、今回の騒動の火付け役。
乙羽の過去を知り、彩羽の資質を確かに認めている存在。
簡単な推測ですが、乙羽とは同じ夢を志した良きライバルだったのでしょうね。
誰よりも近くで、乙羽が大人達に裏切られ女優業を諦めざるを得なかったことを見てきたのかなと。
下手に事情や乙羽のことに精通している分、「どうにか出来る」と過信していたようですが、大きく読み違えていたと分かりました。
大女優すら敵いませんでした。

2人目が綺羅星金糸雀。
チュンチュン煩い人。
超敏腕編集者で人気ネットアイドル。
ビジネスマンとして有能だし、変な話「お金」という力も持っている。
ン十億までの賠償ならポケットマネーで解決できるとか、一流企業の社長以上に持ってるんじゃないかい。
個人的には9巻で株が爆上がりしたキャラなんですよね。
普段他人を振りまわす系キャラが逆に翻弄されている姿、マジ面白いw
翻弄されっぷりが面白すぎたので、好きになりましたw
と同時に有能さの片鱗も知れたので、やはり敵に回すと厄介と言うかラスボス並みの強キャラだとも分かって。
そんな彼女が味方に周りそうになる。
逆説的に、味方に周っても乙羽が簡単に崩せないということでもあります。

3人目が月ノ森真琴。
天地堂と競い合っているハニープレイスワークス代表取締役。
ここに来て伏線回収とばかりに彩羽の秘密に接近遭遇。
カナリヤを巻き込んで、彩羽声優デビューを画策してきました。
と同時にその難しさも仄めかしていて。
海月と乙羽の繋がりが見えてきたことで、真琴も乙羽の過去を知っているということが自然と描写されていました。
夫婦だしね。
で、基本的には「権謀術数に長けた悪の親玉」のような振る舞いを見せてきた彼が難し気にしているところが既に「乙羽の強敵ぶり」を高めてますよね。

てっきり真琴が物語の(恋愛面ではないもう1つの)ゴールを切るための最大の障害だと思っていたのが、ここに来てそれ以上の壁が判明した…。
そういう気分なのです。

ただの大人では無くて、それぞれが強大な力を有した3人の大人。
彼らが束になっても一筋縄ではいかないことが、この9巻で描かれた最大のトピックだったのかなと。

つーか、彩羽と乙羽の過去がお預け食らって、蛇の生殺し感が凄い。

終わりに

過去が気になって仕方がないけど、結構ダークな感じの雰囲気が強くて、ちょっと怖気づいてるw
乙羽の過去と「子供にエンタメを禁じている理由」は大体読めてはいるんだけれどね。
ただ、そこにどう「乙羽が考えを変えない強固さ」を足してくるのかが想像できなくて。

それ1つでも乙羽のラスボスとしての強さが左右されると思うので、どういう演出がされるのか想像しつつ10巻を待ちます。

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