「シャーロック+アカデミー」Logic.1 ネタバレガッツリの感想

この記事は

「シャーロック+アカデミー」第1巻の感想です。
ネタバレ満載です。

本作が気になっている方へ。

どうも8月には2巻が出るようです。
異例とも言える超速ペースでの発売です。

ラストの引き的に、2巻の書影が1巻の盛大なネタバレになる可能性もあります。

最近はネタバレを敢えて踏んだ上で作品を楽しむ方もいると聞きます。
中には、内容をある程度把握出来てないと、手に取れないという強者もいるとか。
そういった趣向に否を唱える気は毛頭ないのですけれど、やっぱりこの手の物語は、ネタを知った上で読むのと、知らずに読むのとでは楽しさに天地の差があると思うのです。

何も知らずに、楽しんで欲しい。
だからこそ、本作に注目してるけれど、手を出し切れてない方。
わざわざこんなアクセス数底辺のブログの感想にまで辿り着いている貴方様。
貴方様がもしも本書を未読で、どういった作品なんだろうと書評を漁っているのであれば、僕から1つお願いがあります。

こんなブログの感想でネタバレされるという愚行を犯さず、つまりは、この先を読まずに、本作を読んでください。
ネタバレ食らって後悔しないで欲しい。
そう切に願います。

それでもまだまだ踏ん切りがつかないなぁ、どういった趣向の作品だろうなぁと思ってないと、こんなところまで辿り着けないですよね。
ならば、僕なりの本作のネタバレ無しの書評を。

頭脳戦を売りにしてるラノベはいくつもあります。
その中で、僕が個人的にも人に強く推せる作品群を挙げてみます。(順不同、作者名は敬称略)

「バカとテストと召喚獣」井上堅二(ファミ通文庫)
「ノーゲーム・ノーライフ」榎宮祐(MF文庫J)
「ようこそ実力至上主義の教室へ」衣笠彰梧(MF文庫J)
「ライアー・ライアー」久追遥希(MF文庫J)
「スパイ教室」竹町(富士見ファンタジア文庫)

どれもこれもストーリーテリング、構成力が図抜けています。
下手な推理小説よりも万倍面白いし、あっと驚かされる作品ばかり。

僕の中でこの並びに今日新たに「シャーロック+アカデミー」が加えられました。

貴方様がもし、上記作品のどれか1つでも好きなのであれば。
迷うことなく本作を手に取ってください。
ほぼ間違いなく貴方様の感性に嵌り、琴線に触れることでしょう。

 

という訳で、ここから先は既読の方のみの感想になります。

想定以上の大技来た。

何が悔しいって冒頭(プロローグの後、本編の直前)に、このような宣言文が載っていたにも関わらず、コロッと騙されたことよ。

嘘偽りなく大切な伏線は太字で書かれてました。
だから、本書全体を使った大掛かりのトリックの正体看破…とまではいかなくとも、何かおかしいぞ、何かあるぞという程度は勘付きたかったところ。
いや~あかんかった。

ロリ先輩との交流エピソードが少なすぎて、彼女を犯人にするなら2巻以降の方がインパクトあって物語的により効果的だったんじゃないの?
とか全く持って見当違いなことばかり考えていて、先の先にまで想像すら出来なかったのです。

更に悔しいことに、今作の構図が僕にとっては「初見」では無かったところ。
「金田一少年の事件簿」でお馴染みの原作:天樹先生、作画:さとう先生のコンビが描いた傑作漫画「探偵学園Q」。
オマージュかなってくらい酷似してるのに、どうして気づかなかったかなぁ。

あっちが「人体切断トリック」という漫画として絵的なインパクトを狙ったのに対して、今作はロジックで「違和感を積み重ねた」小説の特色を活かしたものだったという最大の違いはあったんだけれどね。
それでも、気づきたかったなぁ。

あ、でも1つ、ニアピンはしたんです。
不実崎くんの捜査過程について、あまりにも都合が良すぎるぞと。
それは、50円玉から闇ゲーセンの場所を突き止めたところです。

「不実崎くんが尾行授業中に自販機の下を覗いて、複数の50円玉を見つけた」ところから、その自販機の近辺に闇ゲーセンはあるのではと展開するのですけれど、かなり作為的なロジックです。
このロジック、あまりにも偶然の上に成り立っているじゃないですか。

不実崎くんが、祭舘さんと件の自販機の近くで休憩したのも偶然。
さらに不実崎くんがその自販機の下をさもしく漁ったのもまた偶然。

この2つもの偶然が無ければ、不実崎くんが闇ゲーセンに辿り着けることは出来なかったよなぁと。
ならばこそ、祭舘さんがスパイで、不実崎くんを恣意的に誘導してたんじゃないかと勘繰ってました。
勘繰ったのですけれど、不実崎くんが闇ゲーセンに辿り着けなくとも、本筋には何の影響もないなと思い直したのです。
「偶然が重なってたまたま辿り着いた」ことは本当に偶々だったということで処理してたのですけれど…。

きっと、これは本当に偶々だったという事なのでしょうね。
祭舘さんがヒントを出せてなかった「ifの世界線」、つまりは、本当の計画では、全く別の導線から不実崎くんを闇ゲーセンに「潜入」させていたのでしょうし、彼の近くに黒幕がいたのですから、それは十分に可能だったと推測も立ちます。

何はともあれ見事なまでに騙されちまいました。

続刊もこのレベルを維持してくれるのであれば、上で挙げた名作達に名実ともに名を並べる日もそう遠くないと思いました。

終わりに

初報での期待値をグッと上回る出来で、嬉しくて仕方ありません。
8月の2巻も期待値マックスです。

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