「るろうに剣心‐明治剣客浪漫譚・北海道編‐」第7巻感想

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「るろうに剣心‐明治剣客浪漫譚・北海道編‐」第7巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

「北海道編」第7巻は札幌編。
全編新選組で、剣心たちは各話の表紙のみの登場www
(1コマだけ回想で出てきたけど)

長いシリーズで役者が揃ってるからこその贅沢なお話ですね。
感想です。

史実と虚実と

色々と調べて驚いた。
阿部十郎、加納鷲雄、前野五郎のこと。

3人ともちゃんと明治時代に北海道に居たし、前野五郎に関してはマジで札幌で遊郭を営んでたのね。
阿部十郎にしても札幌で林檎農園を経営していたそうだし、相も変わらず見事に史実を物語に落とし込んでますね。

ただ、阿部十郎が御陵衛士時代に油小路にいた記録は無いそう。
この辺りは創作で、故に今回の行動動機に繋がってるということですね。
いくらフィクションでも作中で犯人にしたり犠牲者にしたりは出来ないので、活躍させるにはこういう手法がベターになるのかなと。

とはいえ、阿部の大活躍は想定外と言うか。
内通者ではないだろうとは思ってはいたけれど、元組長2人を囮にして銃で戦いを仕掛けるとは。
「敗者」が「勝者」に牙を剥く。
幾度となく描かれてきた構図だけれど、新選組側も敗者だからこそ、余計に際立つというか。
維新政府(最上位の勝者)が敵わず、新選組(政府の敗者で御陵衛士に対しての勝者)が敵わない敵に立ち向かう最弱の敗者。

戦争に正義も悪も無く、あるのは勝者と敗者だけ。
この論理に当てはめれば、くっきりと分かれた元新選組の3人ですけれど、此度の戦いではどう勝敗が分かれるのでしょうね。

ところで、内通者は誰????
加納かなと思ったけれど、実在の人物だし。
(恥ずかしながら知らなかった。阿部は知ってたのですけれど)
じゃあ、前野かなと思えば以下略。
(恥ずかしながら以下略)

他に容疑者居ないんだよね。
誰なんだろう。

内通者

と言いつつ、阿部の線も完全に消えたわけでは無いのかな。
彼の目的って「平和な世」だと思うのですね。
林檎を育てる理由を語る彼の奥さん。
仲睦まじい家族。
そして、三島に「明治に生まれた以上は、軍人など止めて、文明開化を満喫しろ」という。

ならば、もし彼が間者で、雹辺に情報を流していたのならば、理由は「浄化」だろうね。
伊知川とか私怨で動いてるし、作中の描写だけ見るに「小悪党」だもの。
国の為とか民の為とか全く感じない。
なら、死んでくれって感じなんじゃなかろうか。知らんけど。

阿部の考える平和な世になるには、今の役人がのさばってるようでは永劫に来ない。
だからこそ…と。
やり方は激しく間違ってるけれど、そこに「阿部自身」を含めているのなら、実に日本人的な行動美学になるのかなと。

ま。
あくまでも阿部が内通者だったらの仮定の妄想ですけれども。

終わりに

大河ドラマ「新選組!」で、そこそこ新選組に嵌った僕としては、油小路事件は嫌な事件の1つ。
仲間である藤堂平助の死は、当時ドラマ見ていて辛かったぁ。
逃がそうとしていた幹部の想いを知らない一般隊士に斬られてしまうというのは、本当に切なかった。
今回、そんな1シーンが再現されていて、あの時の辛さを思い返しました。

藤堂平助。
この先、「るろ剣」に関わってくるのでしょうか。
劍客兵器の新人で、斎藤を狙う者。
御陵衛士の裏切者」として憎んでいるのであれば、平助の死を悼み、平助の復讐の為とか。
そういった形で関わってくる可能性もあるのかな~と少し思いました。

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