【5代目道枝版】「金田一少年の事件簿」 FILE.04:トイレの花子さん殺人事件 感想 人間関係をギスギスにした意図が凄かった

この記事は

実写ドラマ「金田一少年」第5シリーズ第5話の感想です。
ネタバレあります。

初めての短編からの採用

堂本版から数えて、今シリーズの4話までおよそ34の事件を扱ってきた実写ドラマシリーズ。
内訳は、漫画原作30本、ノベライズ原作3本(「上海魚人伝説」は映画版の為の書下ろし)、ドラマCD原作1本。
媒体こそ違えど全て長編からのドラマ化でした。

だからこそ意表を突かれた今回。
シリーズで初めて短編漫画から選出されました。
しかも原作タイトル「亡霊学校殺人事件」から大幅にタイトルを変更して。
これまでもタイトル変更はありましたが、ここまでの大胆なアレンジは初めて。

果たして、その意味がきちんと出ていたように感じました。
感想です。

オカルトオチからの変更

そもそも舞台が廃校じゃないというねwww
今回タイトル変更したのは、「亡霊校舎の殺人」を映像化する為ではないかとのコメントを前回の放送終了後に見かけました。
なるほどね~と納得したものですが、舞台自体を廃校から廃病院にしたことからも、一層この説が濃厚になったのかもですね。

さて、それはひとまず横に置いておき、原作のオチを思い返してみます。
原作の犯人は「トイレの花子さん」に見立てて被害者の衣服を血染めすることなどしていないと述懐。
「誰が伊能の死体の服を血染めにしたのか」という謎が残り、オカルトを否定したいハジメが全力で謎解きに挑むというコミカルながらもホラーなオチが着きました。

「トイレの花子さん」の逸話は、事件の本筋には無関係で、あくまでも話を進めるためだけに用意されたプロットであったという訳です。
だからこそタイトルに「花子さん」の文字は入らずに「亡霊学校」の方にスポットが当たっていたのですが。

もしも「亡霊校舎の殺人」がラインナップに入ったとして、タイトルが似ている今回の事件名を変更せざるを得なくなった時、真っ先に行きついたのが事件を象徴する「花子さん」だったのでしょう。
しかし、タイトルに持ってくるには、あまり事件に関わらない花子さん。

だからこそ、原作のプロットも変更することになったのかなと。
「花子さん」を事件の中心に置いて再構成。
結果として、スッキリとした構成になっていたように感じました。

特に感嘆したのが、血痕に見立てたインクの小細工。
原作では、トイレで犯人自らがインクであることを暴露。
その場で「どうせ伊能の悪戯でしょ」という流れで解散となっていました。
ドラマでは、インクの痕を墓場まで誘導。
さらには花子さんのお墓(お墓自体は原作にも登場)にもインクをばらまくことで、より「花子さんの見立て」感を強め、かつ、「現場から全員を遠ざける」もっともらしさもプラスされていました。

犯人の苦労が倍増されて、あの短時間でよくそこまで出来たなというツッコミどころを産んでしまった気もしますが(笑)。
それでも「全員をトイレから遠ざけたい」という犯人の意図をより確実なものとし、さらには、ホラー感の高め、「花子さんの見立て」感まで強めていた良改変に感じたのです。

人間関係をギスギスにした狙い

原作からの大きな変更点として見逃してはならないのが、美大生4人の関係性。
ハジメ達に対して友好的で、4人の関係性も表立って悪く見えてなかったのが原作。
それが一転、伊能を中心にかなりギスギスした空気の重い関係になっていました。
特に犯人と伊能の関係は、パシリといじめっ子そのもの。
国枝、獅子島と伊能の仲も「三角関係」という分かりやすいギスギス・ドロドロしたものに。

あ~こりゃ伊能ってヤツが殺されるわってくらい分かりやすい位あからさまな描写になっていました。

何故このような変更がなされたのか。
時代背景を考えて、これだと思ったことがあります。
モバイルバッテリーです。

wikipediaによれば日本でモバイルバッテリーが普及の契機となったのが2007年。
その後2011年の東日本大震災の時に爆発的に普及したとありました。
原作である「亡霊学校殺人事件」が「週刊少年マガジン」誌上で発表されたのが1999年の夏ですから、当然当時はモバイルバッテリーのモの字も無かった頃。
まだガラケー(そもそもガラケーという言葉すら無かったと思った)だった時代。
充電するにはケーブルに繋いでコンセントからという一択でした。

しかし現代では、誰もがモバイルバッテリーを携帯しているから、「モバイルバッテリーでスマホを充電されてはトリックが成立しない」んですよね。
手元で犯人からの非通知を確認してたら、くじを確実に最後に引かせることが出来なくなるからね。

だからこそ「犯人と伊能の関係性」を「パシリといじめっこ」に変更したのでしょう。
毎度犯人が伊能のスマホを充電する役目を命じられていて、犯人自身がモバイルバッテリーを忘れたことにすれば、部屋の外にある充電できる場所に伊能のスマホを持って行く自然な理由が出来ますからね。
その辺の描写を自然に組み込んでいたこと、さらには、それを「森の中」に隠すために、徹底的に伊能を嫌われ役にして舞台を整えたと。

細かな事ですが、トリックを成功させる為の現代ならではの問題を解消すべく、容疑者達の関係性を変えることで対処した。
あまりにも見事な良改変でした。

次回は、あのドリフコント(笑

「ドリフのコントを見てトリックを思いついた。」
発想の切っ掛けをこのように天樹先生が暴露したことでも有名な「足跡消失トリック」をメインとした「金田一少年の殺人」がリメイク。
長島警部は出てくるのか?
明智警視は???
変なとこに注目して、待ちたいと思います。

珍しく公式の更新が遅れていて確認が取れてなかったのですけれど、長島警部も明智警視も出ないのね。
代わりにオリジナルの刑事さんが登場してるw
あと、いつきさんが!!!!!
初代では暗号が無理やりな肝心に変えられてしまってましたが、今回は原作通りっぽくてそこは安心。

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