「Re:ゼロから始める異世界生活」アニメ第29話 第一の試練の乗り越え方がメッチャ自然

この記事は

「リゼロ」第29話の感想です。
ネタバレあります。

そういえば

原作では第4章総括としてしか感想を挙げていませんでした。
その中で、スバルと菜月賢一について一切触れていませんでしたので、アニメの放映に便乗して感想を書いてみます。

少年漫画において主人公の絶対的なライバルとして登場することの多い親の存在。
様々な形で、親を超えることで子の成長を描いているわけですが、スバルの場合はどうだったのか。
試練という形で両親が登場した意図もあって、非常に分かりやすい構図になっていたと思いました。

父・菜月賢一が分かりやすく偉大

バトル漫画の主人公の父親宜しくスバルの賢一も超人的な強さを誇っているかというと、そんな訳は無く。
普通の人々が当たり前に生活する地球の日本で、ごくごく平凡で慎ましくも温かい家庭の大黒柱としてサラリーマンしている賢一。
どこにでもいそうなお父さんなのだけれど、スバルにとっては眩しい程大きな存在だということが十二分に描かれてましたね。

人見知りする僕のような人間には腰が引けちゃう人物なのだけれど、豪放磊落で誰に対しても好かれるような人柄であることは窺えます。
街を歩けば、多くの人から声を掛けられる。
おじさん、おばさんは殊更珍しくは無いけれど、女子高生から声を掛けられる中年男性って珍しいです。
不純異性交遊をちらつかせるような関係では当然無くて、気さくに話しかけられるような間柄なのでしょう。
若しかしたら、彼女が子供の頃から「近所の気さくなおじさん」として慕われているのかもしれません。

父親としての懐の深さもスバルとの短い会話から読み取れます。
引きこもってる息子に愛想を尽かすでも、怒鳴って登校を無理に促すでも無く、事情を斟酌して、態度を変えないで今まで通りに接する。
ちゃんと子供のことを見て、信じて、見守っている。
なかなか出来ないことな気がしますよ。
(菜月夫妻の引きこもりの子供に対する接し方が絶対的な正解とは言いませんけれど)

特別な能力こそ無いけれど、人として大きな存在である賢一。
そんな男を父に持った子供はどう思うのか。
劣等感を抱いたとしても無理が無い。

で、実際スバルは劣等感を抱き、引きこもることになるのですが。
スゲェ自然なんですよ。
スバルが引きこもるまでの過程って。

スバルが引きこもるまでが自然

父の遺伝子を持つから、勉強でも運動でもそれなりに出来ちゃう。
周りは褒める。
「流石、賢一の息子だ」、「流石、賢一の息子だ」と。
努力をしなくなり、やがて生来の能力だけでは立ち行かなくなり、小さな挫折をする。
褒められたくて、悪目立ちを始める。
悪い方向にエスカレートしていかざるをえず、1人また1人と周りからいなくなっていく。
やがて「なんとなく」学校から足が離れ、少しずつ距離が遠のいていく…。

なんか決定的な理由が無いから、余計に復帰しづらい。
切っ掛けが見出せない。

結局スバルの引きこもりは、両親以外の人たちとのコミュニケーションが無いと脱せない類いのモノなんですよね。
スバルが他人との関わりの中で「父・賢一への劣等感」を拭い去ることが絶対的に必要で、それなのに、その機会が部屋に引きこもっている為訪れようがない。
その上で、スバルは「今の」記憶が欠落している。
あくまでも「過去」だからです。
「今」だったら、スバルは既に「答え」を得てるのに、それが封じられている。

詰んでるんですよね。

試練の乗り越え方がスマート

如何にしてスバルは高校に行けるか。
試練としての難度は想像に難くありません。
クリア条件も明確です。
父への劣等感を拭うこと。
言葉で「もう父へ劣等感を抱いちゃいないぜ」とスバルに言わせても問題ないんでしょうけれど、
劣等感を起因とした引きこもりからの脱出=登校
として表現しても分かりやすいってことなのでしょうね。
実際、1話でコンパクトに纏まっていたので、非常に分かりやすかったです。

本来であれば相当時間が掛かった気がします。
というか、無理ゲーかもしれん。
「他人と交流しないといけないのに、他人と交流することのない引きこもり生活をしていた」のだから。
エキドナが驚いたのも無理ありませんよね。

「記憶が封じられていた」なんて軽く書いてますが、実際先ずもって「記憶が戻ることがあり得ない」レベルのものだったのかもしれません。
だって、過去だから。
それでもスバルは、エミリアのことを、レムのことを「思い出した」のは、もう魂に刻まれていたという超常的な解釈を採用すべきなのかもしれないですね。
兎に角、どういった理由で思い出したにせよ、思い出した以上は、試練は試練では無くなってるんですよ。

エミリアに感謝され、存在を認めれた。
レムに愛された。

2人の女の子によって、粉々になっていた自己肯定感が満たされて、「自分の存在」をスバル自身が認められるようになっていた。
結局劣等感というのは、自分に自信が持てないからであって、自信を取り戻した今、賢一に引目を感じることは無い訳です。

終わりに

実のところ、第一の試練に於いて、父への劣等感からの解放は、クリア条件の半分だったりします。
もう半分は母・菜穂子への負い目であると次回エキドナが説明してくれます。
(菜穂子に対しては既に「行ってきます」が言えなかったという後悔が語られているので、ネタバレにはならない…ですよね?)

母の方は、非常にシンプルなので感想は省きましたが、父の方は長いドラマになっていたので書いてみました。
原作から大分簡素化されていはいましたが、しっかりと重要な要素だけが取り出されたことで、より分かりやすい構成になっていたと感じました。

兎に角、スバルの述懐中の「流石賢一の子だ」の部分は、聞いていて辛かったですね。
繰り返される「賞賛」が「呪詛」となってスバルを追い込んでいったのだと十二分に伝わってくる演出でした。

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