「探偵犬シャードック」 1巻 感想

この記事は

「探偵犬シャードック」第1巻に関する感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。(ミステリーの内容に関するネタバレはしていません

待望の新作ミステリー漫画!

僕はミステリーが好きです。
このジャンルを好きになったきっかけは恥ずかしながら「金田一少年」ですね。
もう何年前になるのでしょう。
小学生?だったかな?中学生?忘れましたが、当時(今以上に)超ビビりだった僕は、身も凍るほど怖い経験をしました。
ドラマ「金田一少年の事件簿 学園七不思議殺人事件」を見た事で。
あ〜情けない。情けなさ過ぎて涙が出て来ますが、当時はマジでビビッていました。
怖くて怖くて仕方ないのに、何故か最後まで視聴して。
気付いたらコミックスにまで手を出していました。
妹と一緒になって少しずつ漫画を集め出し、ビビりつつも連ドラを毎週アホみたいに楽しみ。
すっかりと魅了されてしまったのです。

そっからはもう片っ端からミステリー漫画に手を出していきましたね。
「名探偵コナン」、「Q.E.D.-証明終了-」、「探偵ボーズ21休さん」、「秘密警察ホームズ」、「人形草紙あやつり左近」エトセトラ。
少年漫画から青年漫画まで、多分殆どに手を出しました。
まぁ、現在でも集めている・手元に残っている作品は僅かですが。

そんな大好きなジャンル。
しかも原作が「サイコメトラーEIJI」の…というか「金田一少年の事件簿」の天樹…じゃなかった安童氏です。
これを楽しみにしない方がウソってものですよ。
と、どーでもいい前置きが長くなってしまいましたが、待望の1巻発売という事で、早速感想です。

漫画としては最高の出だし

この漫画。結構前から天樹氏(もうこっちで呼びますw)がツイッターで仄めかしていた漫画ですよね。
「物凄く面白いアイディアを思いついた」とかとかそんなような事を連載開始の半年近く前くらいから仰っていました。
1巻のカバー折り返しのコメントでも、その気合が伝わってくるようなメッセージが載っておりました。
「金田一」、「EIJI」、「探偵学園Q」、「リモート」など。
長年ミステリーを描き続けた氏を推して…もちろん宣伝というか、そういった面があるにせよ…ここまで堂々と「面白い」と宣言している作品です。
最初の数話は実はマガジンで連載を読んでいましたが、まとめて読んでも成程面白かったです。
シャーロックとシャードックというギャグのワンアイディアで良くもまぁここまで「面白い漫画」に昇華出来るものだなぁと。

お話はもとより、画も良いですよね。
なんていうのかな。事件が起きる前の日常の楽しげで爽やかな描写と事件後の凄惨な場面描写の落差というのかな。
それがはっきりしている。
分かりやすいのが、犯人の描写。
今回の犯人の菊池先生。38歳とは思えない程可愛らしい初登場でした。
まさに漫画(絵)ならではの描写で、年齢を感じさせない程、それこそヒロインを凌駕しちゃうほど可愛らしく描かれていました。
ちなみにその時のカットが↓コレです。

これで38歳らしいですよ(笑)芸能人も真っ青です。学生にしか見えません。

んで、憎むべき相手を殺した直後の先生が↓コレ。

どこのホラー漫画ですか…ガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル

超怖いですよ、この表情。
主人公にちょっと追及されるだけで、こんな顔乱発しますからね。
一歩間違うとギャグですよ。
でも、ギャグにはならず(なってないと思うw)しっかりとシリアスなものとして使い分けていて。

このギャップが堪らないですよね。
ミステリー漫画にある根源的な恐怖を最低限持たせてくれている絵だと思います。

この1巻では、シャードックと輪島尊(ワトソン)少年の出会いを描いた1話完結のお話と上の先生が凶行に及ぶ第1の事件がまるまる収録されています。
ミステリー面でもトリックは流石の一言。
「絶対に不可能」と上手く思わせてくれる見せ方で興味を引いて、トリックは実にシンプルなモノ。
「困難の分割」という最近のお気に入りの台詞も使って、ミステリーとして楽しむには十分だと思います。
5月発売の2巻が待ち遠しくなります。
そんな訳で漫画としてはとても楽しめた1巻でした。

倒叙ミステリーとして見ると、ここからが本番

さて。
そうですね。
この漫画。倒叙ミステリーなのですよ。
倒叙ものというのは、「コロンボ」や「古畑」でお馴染みのジャンル。
上であげた漫画群の中では「21休さん」が倒叙ミステリーでした。
(余談ですが、この漫画、画に癖がありますが本格的な倒叙ものとして割と好きでした。)
「金田一」や「コナン」でも倒叙ものがたまにありますよね。

犯人の正体を最初から読者にばらしている為、犯人当ての面白みがありません。
ただその分探偵と犯人の1対1の対決をじっくりと楽しめる構図になっているのですよね。

普通のミステリーとは違って、犯人サイドから事件が描かれる事も特徴です。
犯人の目線から物語が語られるために、読者は探偵が何故犯人に目星をつけたのか。どうやってトリックを暴いたのか。証拠を揃えたのか。
犯人と一緒に驚く事になります。勿論読者自ら推理する事も可能なので、「犯人と一緒に驚けるかどうか」は読者次第ですが。

倒叙ミステリーってそういうものだと思っています。

でもですね。
少なくとも1巻収録のお話は倒叙ミステリーではありませんでした。
これはあくまで僕の感想ですが。

犯人の正体を事前に読者にばらしただけで、やっている事は普通のミステリーだったように思えます。
これはまぁ、仕方ないのかなと思うのですよね。
少年漫画で「コロンボ」や「古畑」宜しくエピソードの最初の数話に主人公が出て来ないとか有り得ませんしね。
どうしても主人公目線で描かざるをえない。
特に最初のエピソードならば尚更です。

なので、この漫画が本当に倒叙ミステリーなり得るのかは、今後次第かなと思っています。
ま、先にも書きましたが普通にミステリー漫画としては面白かったので文句は無いんですけれどもね。

あと、シャードックにもう少し縛りが欲しいかな。
尊に考えを伝達できなくするという縛りが。
一時的で構わないのです。
事件解明に重要な件を伝えたくても、何らかのアクシデントで伝えられなくなって。
右往左往しつつも、知恵を振り絞って「言葉以外の方法で」伝えようとする。
折角探偵役を犬にしたのですから、それくらいのハンディキャップ(とは言わないかな)は描いてくれても良いかなって。
それこそ4月から連続ドラマも放送される「三毛猫ホームズ」よろしく。

何はともあれ。
2巻が待ち遠しい事には変わりありません。

探偵犬シャードック(1) (講談社コミックス)

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