「弱キャラ友崎くん」第9巻感想 全てが覆った衝撃と「友崎、そうじゃないだろ」というもどかしさと

この記事は

「弱キャラ友崎くん」第9巻感想です。
ネタバレあります。

はじめに

テレビアニメがスタートしました。
キャラデザとしてはフライ先生らしさが行方不明で、矢野茜さんの画風になってますが、そこはなんだか許容出来ちゃってる自分が居ます。
なんにせよ毎週楽しんで視聴出来ています。
だからこその問題はBDをどうするか…なのです、悩ましい。
屋久先生書き下ろし小説というラノベ原作アニメ鉄板の特典を読みたい。
けれど、財布事情は厳しくて…。
こういう事本来書くべきではない(金が無いから云々は作者にとっては腹正しさを感じる方もいるようなので)と分かりつつ、ネタバレ防止の「前説」として書いちゃってます。ごめんなさい。

そうそう。前置きと言えば「七海みなみは輝きたい」第1巻も発売日に買っていました。
感想を書いてないのは、まだ序章の序章という感じだったから。
考え方がみみみらしいなぁとか、作画が良い感じだなぁという感想しかまだ持てずでした。
こちら2巻、3巻と物語がある程度進んだら感想をまとめて書けたらなと思っています。

はい。
という訳で、本編第9巻。
クライマックスが見えてきた気がするのは僕だけでしょうか。
いっきに話が進んだ感のある今回。
感想です。

全てが覆った衝撃

自己紹介欄で友崎の項が「弱キャラ?」になっていて苦笑していたら、本編からしてひっくり返されていました。
友崎は強キャラだった。
なるほど確かに。
彼を構成する要素を同じように並べ立てているのに、視点を変えるだけで結論がこうも変わってくるのかと驚きでした。

話は違うかもですが、環境変化に対するストレスを連想しました。
皆さんは環境が変わることにストレスを感じますか?
僕はと言えば、物凄く感じる性格なのです。

子供の頃から、学年が変わってクラス替えがある度に、熱を出して学校を休んでいました。
社会人になっても変わらずに、仕事のやり方が変わるだけでストレスで、漫然と単調作業をしていたい人生でした。
(そればかり続けていると「つまんない。暇」と文句を言う我儘人間でもあった)
このストレスが高じて、職場変化に対応できずにうつ病を発症したと自己分析していました。

何が言いたいかというと、先に書いたように「環境変化に弱い」のは「個人の性格」だと考えていたのです。
けれど実際はそうではなくて、人による大小こそあれ、誰しもが環境変化に弱いのだということです。
とある本で、当たり前のように書かれれいたこの事実に、当時の僕はハッとして、同時に「自分だけじゃないんだ」と妙に安心感を覚えました。

ま、僕がどう感じたのかはどうでもよくて、変化を恐れる人間がマジョリティなのならば、確かにそれを苦としない友崎はマイノリティなのかもしれないと思ったのです。
と同時に、変化を嫌うことが弱さであると僕自身自覚があったからこそ、正反対の友崎が「強キャラ」認定されて大いに納得しました。

タイトルが逆転してしまったことも衝撃でしたが、これによって友崎と葵の「立場」をも逆転したことも驚いたなぁ。
これまでは友崎と葵って、文字通り弱者と強者という印象しかありませんでした。
友崎はどうひっくり返っても葵に勝つことなんて出来ないだろうという。
葵が魔王過ぎたというのもありますが、勝つイメージがちっとも湧かなかった。
別にバトルものでも無いし、勝った負けたの世界でも無いのだけれど、それにしても「友崎が葵を論破する」という最終地点に辿り着く姿が想像できなかったのです。

けれど、「実は葵の方が、見方によっては弱キャラであった」と分かったのです。
絶対無敵と思われた魔王に付け入る隙が見つかったのですよ。
これは大きいです。

いよいよ友崎反撃のターンに入った!!
そう力強く感じたのですが…ですが…。
そうじゃないだろ友崎!!
と叫びたくなるような気持ちにさせられました。

「友崎、そうじゃないだろ」というもどかしさ

1つ僕の勘違いを改めなければなりません。
菊池さんとは、別れると信じていました。
言い方悪いけれど彼女は、友崎にとっての「経験値」に過ぎず、葵と結ばれることがゴールであると強く思い込んでおりました。
ごめんね、菊池さん。
そうじゃなかったね。

今回、彼女の可愛さに友崎と同様に僕も撃ち抜かれてしまった。
いじらしいなぁ。天使かよ。
あのシチュエーションで、あの流れで、唐突な下の名前呼びは反則だよなぁ。

菊池さんの天使さ加減は横に置いておいて、彼女が友崎と彼女でいることが重要なのだなぁと思ったのです。

何故そう感じたのかを話す前に、終盤の友崎の行動に「お前、そうじゃないだろう」ともどかしく感じた件に触れます。
物語に触れている時、それこそ神視点でキャラクターの行動や考えを見ていると、ふと「答え」のようなものを見つけることがあります。
必ずしも「正答」な訳では無くて、「誤答」であることも多いのだけれど、そんな時は、キャラの言動にもどかしさを覚えてしまうのです。

今回もまさにコレ。
言うまでもなく、当たっている保証なんてどこにも無いんだけれど、それでも無性に友崎の言動はもどかしく思いました。

グループLINEから抜けたり、みみみとお揃いのキーホルダーを取ってしまったり。
「何故そうなる」と訝しんだことは、今回みみみが救ってくれました。(みみみ、最高のヒロインだわ~)
挙句、菊池さんに別れ話を切り出そうとした時にゃ、「歯ぁ食いしばれぇぇぇ」って感じでした。
そりゃ、間違えずに正しい道を突き進むのは友崎らしくはありません。
そんな水沢のようなスマートさは期待してないけれど、いくらなんでも何故そうなるという選択肢ばかり選んでいて。

そもそも論として、友崎は自分と葵が「同じ」であると気づいたのです。
同じソロプレイヤーとしての考え方、生き方を曲げずに貫いている。
ただ違うのは、キャラクター目線なのかプレイヤー目線なのかというところだけ。

さらに、自分には「変化を恐れずに、実行できる」という強みがあることも教わった。

ここまで条件が揃っていて、どうして「ゲーマーとしての業」を変えようという考えに至らないのか。

自分が自分ではなくなるから?
信念として、そこは変えられないから?

考えてないというより、そこに関して変えるつもりは一切ないからかもしれない。
けれどさ、そこを変えないと葵に「人生の楽しさを教える」ことなんて絶対に出来ないよね。
同じ人生観の人間に「自分と同じ価値観」でモノを教えられたところで、「だからなに?」ってなるのは道理。

アタファミで言えば「ファウンドの良さを教えてやる」って言ったところで、同じファウンド使いの葵には「知ってる」とすげなく返されるだけ。
そうではなく「ジャックの良さを教えてやる」とジャックの魅力について滔々と聞かせればいい。
何故日本一のプレイヤーがファウンドを捨てて、ジャックに乗り換えたのか。
ジャックのどこにファウンド時代の強さを超える要素を見出したのか。
「(ジャックに変えるのは)無理」という葵に根負けせずに、熱意を持って、そして結果で以って葵を説き伏せればいい。

つまりは、友崎は菊池さんとの仲を深めて、自分の懐に菊池さんを入れられるようにならなければならない。
逆もまた然りで、菊池さんの内面の深いところに踏み込んで、支えて、支えられる関係を目指さないといけない。

「孤独でも大丈夫」なんて言ってられないくらい、「共依存」のような関係が素晴らしいと思わせないとならない。
葵にそう思わせることが「人生の楽しさを教える」ことになるんじゃないだろうか。

菊池さんと付き合うことで、先ずは友崎がそれを知る。
そうしてようやく彼は葵には無い価値観を手に入れ、対葵戦に臨めるのでしょう。

終わりに

とはいえ…葵は強敵だよね。

相手が知らないことを教えて、そこに納得させることって存外難しくは無い。
知らない感情を教えるのだから、その感情に対する忌避や嫌悪を持ってないから。

けれど、葵はそうじゃないはず。
友崎が得るかもしれない価値観は、葵はとうに知っていて、その上で拒絶している。
そこを受け入れさせる・考えを改めさせるのは容易では無いでしょう。

じゃあどうするか。
その時に菊池さんの「小説家としての業」が牙を剥くのでしょうねw
今の日南葵を構成する要因は何なのか。
居なくなったもう1人の妹との過去を暴き、菊池さんの観察眼で葵の胸中を曝け出す。

魔王葵討伐には、友崎だけでは無理。
菊池さんと一緒になって初めて成し遂げられるのでしょう。

その時は近い…と最後まで読んで感じたのですが、どうなのでしょうね。
一先ず第10巻を楽しみに待ちます。

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