この記事は
「負けヒロインが多すぎる!」第5巻の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
「マケイン」第5巻は、ラブコメ永遠のテーマについて語られていたのだと思うよ。
殆どの場合メインヒロインとしてどころか負けヒロインにすら分類されることのない実妹という存在。
兄を異性として好きになってしまった妹は、どう己の気持ちに向き合うのか。
…そんな重い話では無かったけれど、さらっとではあっても、確実に触れられていたテーマだったと感じました。
感想です。
感想?
佳樹は兄を大好きで、けれど、兄妹だから想いを告げられずにいて…。
アサミとの短い問答の中に佳樹の切実な気持ちが込められていました。
兄妹間の恋愛ごとについて私見をどうこう言うのは控えますけれど、佳樹のどうしようもならないって考えはそうなんだろうなと。
世の中がLGBTQの理解が必須だと叫ばれている中でも、肉親との恋愛だけは禁忌みたいな感じですから。
LGBTQに「+」を付けられることもしばしば見かけますが、やはりその中に肉親との結婚やそれに近いことは含まれてません。
故に、兄妹での恋愛はNGであるという見解を認めたところで、大きな批判を受けることは無さそうであります。
それでも、今回の面白いなってところは、それを作品として肯定も否定もしなかった点。
これに尽きるよね。
人間関係に正解なんてない。
間違いをお互いに積み重ねて、それを許したり許されなかったり。
そうして続けていくものだと思う。雨森たきび. 負けヒロインが多すぎる! 5 (ガガガ文庫) (p.249). 株式会社小学館. Kindle 版.
佳樹の親友の問題を主語にして、かなり迂遠な表現となっていましたけれど、確かに「兄妹間の恋愛」について許容するような考えを和彦が持っていると描写されていました。
いや、もしかしたら僕の解釈が飛躍してるのかもだけれどさ。
佳樹だって、兄のこういう考えを汲み取ったからこそ「もしかしたら」に賭けて、「諦めない」と言う気持ちを持ったんじゃなかろうか。
違うかもだけれど。
直接「できれば佳樹とも、このままでいたい」って言われたからかもだけれどさ。
佳樹がいじらしいので、せめて妹ではなく、ヒロインとして今後も物語に絡んで欲しいんだ。
こう書くと語弊を招くかもだけれど、負けヒロインって幸せな存在なのかなって。
少なくとも恋愛の対象者として、ヒロインの1人として舞台に上がれたのだから。
勝てなかったけれど、「戦うこと」は出来たのだから。
佳樹は、舞台にすら上がれない少女でした。
けれど、今回の件を切っ掛けに舞台には上げて欲しいなと思ったし、上がれたんじゃないかなと。
少なくとも佳樹本人はその気になってくれた気がして嬉しかったな。
終わりに
なんだかコメディとしても、巻を重ねるごとに笑えるようになってきました。
6巻にも期待して、発売を待ちます。