この記事は
「千歳くんはラムネ瓶のなか」第8巻の感想です。
ネタバレ満載
表紙が美しい。
第8巻の表紙は、今回の主役と言っていいバスケ美少女の七瀬悠月。
知的でクールな悠月らしい漆黒のドレス姿がとても映えますね。
チーム千歳の中では、最も「大人の女性」に近しい容姿なんだよな~と改めて思った次第。
ほら高校2年くらいの歳って、大人と子供の端境期じゃないですか。
少しずつ、しかし確実に大人への階段を上っている時期。
悠月はその中でも1人、皆よりも一歩か二歩上にいるような。
そして、今回だだだッと駆け上がろうとしてるような。
そういった雰囲気を醸し出すようなイラストで。
…すいません、嘘です。
完全に本編読んだから、こういった感想を抱いてます。
美しいイラストなのは読書前後で感想変わらないのですけれどね。
流石に「大人の階段駆け上がる云々」をイラストから読み取るのは僕には不可能です。
ネタバレ防止の紙幅は十分稼げたと思うので、感想です。
悠月の魅せた子供らしさ
先ほどは、悠月が最も大人だというようなことを書きましたけれど、実のところそんなことは無いんだよってお話だったかな。
個人的な見解だと、夏の失恋を経験した夕湖が一番上に居て、あとは皆似たり寄ったりなんだよね。
優空、明日風の「幼さ・脆さ」は7巻で書かれてましたし、陽は今回分かりやすく心の弱さを露呈していました。
チーム千歳の外側に目を向けると、今のところ夕湖の横を歩いていそうなのが紅葉なのかな。
彼女の内側がまだまだ見えてこないので何ともだけれど、こと恋愛に関しては「大人」よね。
子供っぽく無いというかさ。
自分自身と周囲の状況をしっかりと俯瞰で観測し、冷静に理詰めで進めているところが、実に子供らしくない。
驕りも油断もなく、自身の能力を完璧に把握・活かしているようにさえ見えます。
そんな紅葉に煽られて、いっきに階段を駆け上がろうとしたのが悠月だったのだけれど…。
相手が千歳じゃ無かったら落とせてたよね。
それで良かったのかは分からないし(作中の様子からしたら良くなかったのだろうけれど)、付き合ったところで長続きできたかも不明。
それでも夜の契りを結んで、男女の仲にはなれてたはず。
相手が千歳じゃ無ければ。
千歳って、本当に健全な高校生男子なのかね(汗
少なからず好意を寄せている女性に、あそこまで扇情的に迫られて落ちないとか。
だからこそ「ヒーロー」なんでしょうけれどね。
常人にやってのけないことをやってのける。それをヒーローと定義するならば、千歳は間違いなくヒーローだ。
話が逸れました。
僕が今回の件で、悠月に「子供らしさ」を見たのは、紅葉の真似事をしちゃったところ。
千歳の気持ちも考えずに迫ってしまったところではありません。
しっかりと千歳に見抜かれてましたよね。
「七瀬は夕湖じゃないし、明日姉じゃないし、優空じゃない。
もちろん陽でもなければ、ナナでもない」裕夢. 千歳くんはラムネ瓶のなか 8 (ガガガ文庫) 株式会社小学館.
簡単に見抜かれるくらいには、「七瀬悠月らしくない〇〇」を演じてしまった。
張り合ってしまったのか、無意識に同じことをしてしまったのか。
前者に近いのかなと解釈してますが、なんにしても悠月らしくないし、無茶苦茶子供っぽい対抗心に映りました。
ただ、この事で成長したのは確かだよね。
今度こそ本当に紅葉に立ち向かえるだけの女性になれた気がします。
この後の後編で巻き返すのか。
それとも…。
どう転んでいくのか楽しみで仕方ないです。
学校へ行こう
文化祭で紅葉は勝負に出るんでしょうね。
これまでも答えを先延ばしにしている千歳の退路を塞いで、自らの逃げ道も無くした上での一世一代の告白を。
でもね、成功する気がしないんですよ。
あまりにも、あまりにも紅葉という女の子が千歳の中に居なさすぎて。
悠月の”失敗”で分かったことがあります。
千歳は、自分の中でしっかりと咀嚼できている人物の事は、真意を見抜ける目を持っています。
それは「各ヒロインを演じている悠月」を見抜いたことからも明らか。
そしたら同じように「各ヒロインを演じている紅葉」を「紅葉の策略」と見抜けていてもおかしくないのに、そうじゃありません。
多分分かって無いよね。(若しかしたら見抜いているのかもだけれど)
分かって無いとして、じゃあ何故分かってないのかと言えば「紅葉を知らないから」に他ならないのかなと。
そのような状態で告白したところで、千歳が首を縦に振るとは思えません。
紅葉のことだから、それすら見越してかもだけれど。
終わりに
遂に文化祭本番ですね。
千歳を中心とした恋愛模様に進展がみられるのか。
楽しみにしております。