「サイボーグ009 完結編 conclusion GOD’S WAR」の展開がショッキングすぎて辛い

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「サイボーグ009 完結編 conclusion GOD’S WAR」の記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

「サイボーグ009」の最終章が今、「週刊少年サンデー」のwebコミックサイト「クラブサンデー」で連載中です。

クラブサンデー 『サイボーグ009 完結編 conclusion GOD'S WAR』

石ノ森先生が遺された構想ノートを元に小野寺丈氏が書き上げた「2012 009 conclusion GOD’S WAR」を原作としており、9話までを早瀬マサト先生が。
10話以降をシュガー佐藤先生が作画を担当して連載しております。

早瀬先生もシュガー先生も石ノ森御大のお弟子さん。
早瀬先生は平成ライダーでお馴染みですね。
「アギト」から「オーズ」のキャラクターデザインを担当。
シュガー先生は70年代から数々の石ノ森漫画の作画を担当しています。

んで、この最終章が衝撃的です。
原作となった小説を既読のファンからしたら今更感が強いんでしょうけれど、未読の僕からしたら衝撃なんです。

「サイボーグ009」

「サイボーグ009」と言えば、石ノ森先生のライフワークです。
もう1つの代表作として「仮面ライダー」シリーズがありますけれど、厳密には、そちらはちょっと意味合いが異なりますからね。
「仮面ライダー」は氏発案ではなく、毎日放送・東映サイドからの要請で原作として企画に参画したシリーズです。
だから萬画家としての代表作は、本作や「HOTEL」等になるのかなと。

そんな「009」ですが、僕は実は平成のアニメ版でしか知らなかったりします。
当時「サザエさん」の裏で放送されていた平成アニメ版は、色々な意味で衝撃的なアニメでした。
製作が間に合わなかったようで、紙芝居状態の回を見た時は本当に驚きました。
あれはシュールだったな〜(汗

でも、すんごく面白かったんですよね。
何といってもゼロゼロナンバーサイボーグ達が格好良かった。
同じスーツに身を包んだ9人のサイボーグ戦士がそれぞれの特技を活かして、強大な敵組織と戦うストーリーに毎週ハラハラドキドキしてました。

先ず主人公の009=ジョーが正統派ヒーローで、超絶格好良い。
櫻井孝宏さんの美声で「加速装置!!」とか叫んで悪を倒すんですよ。
格好悪いわけがない。

そんなジョーとお似合いなのが、紅一点の003=フランソワーズ。
お似合いというか原作だと結婚までするんですね。
平成アニメ版ではそこまでには至りませんでしたけれど、美男美女のお似合いのカップルに見えました。

他のメンバーも個性的で、008=ピュンマとか好きだったな〜。
001=イワンが赤ん坊だったり、40代のオジサン戦士が2人もいたりと、「少年漫画のヒーロー」としては異彩を放ちまくっていたけれど、そういうとこも魅力でしたね。
他には無い、今作だからこそのヒーロー像とでもいうか。

この平成アニメ版で、最終章の序章を映像化したものがラストに放送されました。
ただ、この時も中途半端な感じで(それもそのはずで、この時点では最終章の構想は固まっていなかったそうです)、非常に気を持たせる形のままアニメ版は終了。

最終章はどうなるんだろう。
天使編ということは、天使と戦うんだろうか?
色々と考えて考えて。
最終章が気になったりして。
兎も角、1964年の誕生から未完のまま半世紀近くも経っていた今作ですが、石ノ森先生の長男であらせられる丈氏の手により小説化されたのが今から7年前。
完結したのは、つい昨年。
遂に見たかった最終章が陽の目を見た訳ですね。
それなのに、何故小説に手を出さなかったんだって話ですけれど。

長くなりましたが、最終章です。
ちょうど、最終章も最終盤に入りました。
世界各地で神の存在を窺わせる事件に遭遇した9人のゼロゼロナンバーサイボーグ達は、日本に集結。
すると、超巨大地震が発生し、時を同じくして邪鬼と呼ばれる化物が人間達を襲い始めて…。

フランソワーズの悲劇が辛い

最終章最終幕はわりとグロイ描写で幕を開けました。
この邪鬼ですが、バリバリと人間を食べるんです。
頭から噛り付いたり、目玉を抉って食べたり…。
グロ注意という表記を付けると、やや大袈裟で多少マイルドな描写に抑えられていますけれど、行為そのものはグロそのもの。

こういう展開に弱い僕にはツライ展開。

それなのに…です。
邪鬼達にジョー達我らがサイボーグ戦士達が何の抵抗も出来ずに全滅させられちゃうんです。
身体を齧られ、手足を捥がれ、体を真っ二つに引き裂かれ…。
無残なまでにやられてしまいます。

これは衝撃でした。
ショックでしたね。

あんなに格好良かったヒーローが、ここまでやられていいんだろうか…と。

中でも一際ショックだったのが、ヒロインであるフランソワーズ。
彼女もまた同様に邪鬼に襲われてしまい、作中随一の美少女が無残にも…。

ぎゃああああああああああああああああああああああああ

目玉を抉られてしまう描写までしっかりとあり、非常に非常にショッキングでした。

ただ、このまま本当にやられてしまうと、この漫画が終わってしまいます。
バッドエンドです。
50年も続いたヒーロー譚がバッドエンドで終わりなんて誰も納得しませんよね。
当然助かる訳ですが、それがまた痛々しい。

眼は完全なる人造物であるメカを移植され、もぎ取られた部分もメカ。
これまではサイボーグとはいえ、外見的には普通の人間と大差ありませんでしたが、もう見た目からサイボーグ然としたモノに。
16歳から19歳という設定のフランソワーズとしては、死にも等しい事だったんではないでしょうか。
彼女の悲哀が痛い程伝わってくるんです。
この戦いの絶望感とサイボーグの悲哀が溢れている。

サイボーグの悲哀というのは、「仮面ライダー」でも度々テーマとして掲げられる程石ノ森イズムに溢れたヒーロー観の代表的なものかもしれませんけれども…。
日本で言えば女子高生位の年齢の少女に背負わせるには、あまりにも過酷だな…と。

正直この姿のまま、無事に敵を倒しラストを迎えても、僕はハッピーエンドとは思えないでしょうね。
だって、敵を倒して地球を救っても彼女の心は晴れないから。
戦いを嫌い、全ての人を救えない事に心痛める優しい少女には、起こってしまった現実は、当人の体の変化も含めて受け入れるにはあまりにも酷だから。

うううん。
どうなるんだろう。
漫画だけで追っている僕には、この先が気になって仕方ありません。

終わりに

1話でギルモア博士が石ノ森先生に願います。
「ハッピーエンドを考えてくれよ……」と。
ただ単に敵を倒し、地球を救った事をハッピーエンドとして欲しくは無い。

悪の手によって改造されてしまった9人を更に悲劇的な状態に追い込んだまま終わって欲しくない。
9人にとっても「ハッピーエンド」足り得る結末を。
僕は1人望みます。

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