深夜アニメ映画の「特典」の何がいけないのかが理解できない

この記事は

「特典商法」って言葉が好きじゃないんです。
深夜アニメ映画だって、ちゃんと中身で勝負して、評価を得たから今があるんですよ。

はじめに

ずっと書きたかった事だけれど、今まで書いてなかった事があります。
正直怖くて書けなかったんです。
でも、ネタがすっからかん状態なので書いちゃいますw

アニメ映画の特典に関してですね。
昔っからアニメ映画に特典は付き物でした。
「ドラえもん」、「東映アニメフェア(東映まんが祭)」等々。
アニメでは無いですけれど「ゴジラ」にも付いてましたね。
僕も子供の頃、「東映アニメフェア」に行っては、「DBZ」のでっかいカードダスとかの特典を貰ってました。
ただこれについての批判って聞いたことがありません。
かつてはネットが無かったし、子供だったからというのもあるかもですけれど、それにしても聞かない。
批判され出したのはつい最近。
といっても、こういう「子供向け」・「ファミリー向けアニメ」では無くて、「深夜アニメ映画」に…です。

多くの特典のお陰で好成績を上げたという論調が成され、「特典商法」と揶揄している。
そういう内容の批判。
何故批判の的にされているのかが不明過ぎて、理解が出来なかったり。

「映画けいおん!」を例に取って

記憶に新しい所ですと、やっぱり「映画けいおん!」ですね。
というか、今現在このくらいしか僕は知らない。
24個の半券が貼れるシートが配られ、半券3枚でフィルムが1枚もらえるというモノです。
他にも週替わり特典や多種多様な前売り券の存在もありました。
これについては当時、様々な雑誌や映画関係者から非難を浴びてました。

全く意味が分かりませんでした。

特に的にされたのがリピートポイントシート。
24回シートで煽って、ファンを何度も強制的にリピートさせているといういうんです。
意味が分かりませんでした。
このシートですが、コンプリート(つまりは24回映画を鑑賞)しても特典も何もありません。
これは映画公開時、少なくとも2011年12月2日(映画公開前日)の時点では、声明が出されておりました。

「けいおん!! ゆるやかスタッフブログ」より抜粋。

上映に先立ちまして、リピートポイントシートについておさらいです!
(中略)
【その3!】
シートは24回分の半券でコンプリートとなっておりますが、
シートをコンプリートしていただいても、特典等はございませんのでご注意ください!
ご無理なさらない程度に、よろしければご参加くださいねっ(>ω<;)

そもそもが、どの映画を何回見ようと個人の自由なんですよね。
至極当たり前のことです。
誰かに強制されている訳でも無いので、24回半券を貼れるシートがあろうとなかろうと、何度も足繁く通う人もいれば、1度しか行かない人だっている。
このような意志やリピート行為そのものを非難する権利は誰にも無いはずです。

ファンならばリピートポイントシートをコンプする為に何度も通ったという決めつけが理解出来なかったんです。
これをプロの評論家の方々が言っていたのですから尚更。
何を根拠に言っていたんでしょうね。

観客の立場、映画製作会社の立場

ここでちょっと視点を変えてみます。
観客、映画製作会社(当論考では配給会社、映画館関係者を含ませて頂きます)の2つの視点から「特典を付ける理由」を考えてみます。
勿論実際の所は分かりませんので、想像に過ぎませんけれども。

この立場に立つと、自分自身も含まれるので、僕の主観を書いていきます。
「特典を付ける理由」では無くて「特典の価値」ですね。

映画を観れるだけで嬉しいイベントなのに、それに来場者特典が付く。
嬉しいに決まってますよね。

そりゃ「特典万歳」ですよ。

「けいおん!」の場合ですと、僕は大好きな作品という事もあってか、フィルム欲しくて3回は行こうと決意を固めてました。
初日深夜の最速上映に早速行って、1枚半券をゲット!!
したものの、半券を失くすという大失態を演じてしまった為に、出鼻を挫かれ。もとい、派手に自爆して撃沈w
仕方ないので友人を誘い込み、その友人から半券を貰い受ける事で、僕自身は僅か2度の鑑賞でフィルム1枚をゲットしました。
が…。…あれもお目当ての唯が映って無くて落ち込んだな〜w
唯のドアップフィルムをゲットされていたアニメ感想ブログ「もす!」の神酒原さんが超絶羨ましかった(笑
その後もう1回見に行って、結局3回見に行きましたw
けれど、これは僕の自由意思。リピートポイントシートは勿論無関係です。

おっと脱線。
まあ、ファンは勿論どんな観客にとっても、時には「不要なもの」になる事こそあれ、基本的には「特典があった方が嬉しい」と感じるのではないでしょうか。
映画がお目当てで、そこにおまけの特典が付いてたら、尚嬉しい。
僕にとっての特典ってそんな感じ。
特典の為だけにリピートは出来ないかな。どんな好きな作品・欲しい特典でも。

ではでは、映画製作会社の立場ではどうなんでしょう。
ここでは敢えて極端な想像を書いてみます。
この立場の人達からすれば、商売である以上、1円でも多くの収益を上げたいと考えるものです。
当然ですよね。
それが自分の人生や映画製作の”次”に繋がっていくわけですから。

特に深夜アニメのファンは濃い人たちが多いです。
熱狂的なファンが多く、特典によるリピートが期待できる。

特典を付ける事で、興行収入が少しでも上がる可能性があり、かつ、特典制作費との費用対効果が十分見込めるのであれば、付ける方で意見が纏まるのは火を見るよりも明らかではないでしょうか。
営業努力を悪とするのは、ちょっと違うんじゃないかな。

一定の好成績を上げたからこその批判ではあるけれど

はい。
極論です。

製作に携わる人の中にも「お金より作品だけで勝負したい」という人だって大勢いるでしょうし、特典を付ける事に快く思っていない人も居る筈です。
観客側にしても、特典なんて付けて欲しくなかったという意見を持っている方だっているかもしれません。
特典を付けるかどうかに賛否こそあれ、特典が付いた事に対して批判を浴びせる理由って少ないと思うんです。
誰に迷惑を掛けている訳でも無いですし。

迷惑…かどうかは分かりませんが、近しい事例ならばありましたけれども。
先日「まどマギ」の映画の特典に関して、ネット上でちょっとした賑わいを見せてました。
この映画も週替わり特典などをしていて、それについて大分のとある映画館のスタッフが映画館公式ツイッターで「特典だけ貰って映画を観ずに退場しないでください」旨を呟き、その映画館が謝罪するまでに至ってました。

これも大袈裟になり過ぎてるというか…。
「個人の意見」としては真っ当だと思いますし、そう(発信者の個人的意見だと)明示していたのですが、逆にそれが拙かったのでしょうね(汗
映画館の公式な意見としては、そこは「一個人のファン」としてではなく「他の観客の為」ってすれば、ここまでの事態にはならなかった気がしてなりません。
「チケットを購入して入プレ貰ってそのまま出口から出て次の回を待つ」人が「まどマギ」のファンであれ、そうでないのであれ、この方のせいでその回の映画鑑賞を諦めた人がいたかもしれません。
特に都心の人気のある映画館(新宿バルト9とか)ならば、そういう可能性って高いですよね。

そういう「見るのを諦めてしまったお客様」の為に、そのような行為は止めて下さいとすれば反発も少な…………。
いや。反発はあるでしょうけれど、映画館側で謝罪するまでには………………。
どう転んでも謝罪することになってたかも…(汗
まあ、このように鑑賞を諦めざるを得なかった人もいる可能性ってあるし、そういう人からすれば「迷惑」にはなりそうです。

ただ、他にはと考えても思い浮かびません。
それでも敢えて「ケチを”つけられる”」立場の人を探すのであれば、他の映画の関係者でしょうか。

「けいおん!」が当時批判の的にされた最も大きな理由。
かつてないリピート特典を付けたからでしょうか。
かもしれません。
けれど、僕は他の要因がデカいと思ってます。
大作が目白押しの正月映画の中でもトップクラスの成績を上げたから。そう考えています。

こうなると、露出が増える訳です。
端的に言えば「ランキングの上位に顔を出す」。
しかも長い期間。

映画の場合、興行通信社が週末(土日のみ。祝日の月曜や金曜は含まない)の動員ランキングを発表しています。
(他にも週末の興行収入ランキングなども発表)
日本では主に週末動員ランキングが様々な媒体で紹介される訳で、上位にいればいるほど、それはそのまま宣伝になるんですよね。
「週末映画成績第1位達成」みたいに。
まあ、「全米1位」のようにネタにされる場合もありますけれどw
同時期公開の他の映画の関係者からすれば面白くないかもですよね。
「おまけで釣らずに、中身だけで勝負せんかい」と想っているかもしれません。
同業他社からすれば面白くないことで、故に批判する理由にはなるのかな…。
良い悪いは別にして。

出る杭は打たれるじゃないですけれど、目立ってしまったのかなと。
当時深夜アニメでは「涼宮ハルヒの消失」の8億がトップで、10億超えも初めてならば最終19億は未だに破られていない記録です。
(そろそろ「まどマギ」が抜きそうですけれど)
それ故に、批判自体も目に付きやすくなり、このような事になってしまったのかもですね。

それにしても…。
うううん。
やっぱり批判される理由が分からない。
僕が「けいおん!」が大好きで、どうしても贔屓目で見ちゃうからかもしれない。
でも、それを差し引いても…ね。
特典があったから好成績を出したと結論付けられちゃう点が特に納得いかないんです。

特典がどれほど影響があるのか、実際は誰にも分からないのに

特典の効果って誰にも分からないんですよね。
今公開中の「まどマギ」だって、例えば3週目にフィルム特典を付けて、週末動員前週比100%を超える高水位を示していました。
一見すると、特典による効果はあったといえそうです。
でも、実際の所は誰にも分かりません。
配給元でも分からない事です。
仮に高水位の原因が特典にあったとしても、多く見積もってもたかだか数千万円の世界です。
最終の興行収入から見れば、特典の効果なんて1割も行かない程度ではないでしょうか。

特典による興行収入・動員アップ効果は間違いなくありますけれど、どの作品も僅かだと思うんですね。
どれもこれも映画本編が支持されたから、好成績を上げられたんだと僕は言いたいのです。
「まどマギ」にしたって、映画本編が多くの人に支持されたからこそ、リピートしたいと思えるんでしょうし。

どんなに魅力的な特典が付いても、映画自体を見たいと思えなければ、大きな動員には繋がりません。
数字として前週比100%以上を見せた「まどマギ」は、特典だけで動いた人以上に「映画が良かったから」リピートしたいと考えた人の方が多かったんではないかな。
3週目にいきなり初見の人が大量に押し寄せたと考えるよりかはスマートですし。

と書くと、「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」はどうなんだという話になりそうなので、これについても言及しておきますね。
前作まで10億以下にまで落ち込んでいた成績が、尾田先生が初めて全面的に関わったこの映画では48億円という特大ヒットを飛ばしました。
これはこの年の邦画で4位という好成績。
入場者特典のゼロ巻の力ではないかというツッコミを受けそうです。

確かにゼロ巻の効果は凄まじかったんじゃないかな〜と僕も思います。
具体的にどれ程の効果があったかは知りませんけれど、この映画だけは特典の効果は絶大だったと認めるべきなのかもですね。
けれど、この映画もやっぱり中身が支持されたからではないかなと。
ファンの母数が違うとはいえ、後続の作品(同じように作者描き下ろしコミックを付けたアニメ映画)でヒットしたと言える作品が無いからです。

尾田先生が参加されていただけに、「映画ワンピ」の中では図抜けて「ワンピらしいワンピ映画」でしたもの。
「これがワンピースだよね」という映画だっただけに、ファンの間では評価は高いんじゃないかな。
調べたこと無いので実際どうなのかは知りませんけれど…。

まとめ

えと。
僕の意見を纏めます。

映画の特典は営業努力であり、これを非難する権利は誰にも無い。
強いて挙げれば、同業他社でしょうか。
映画の成績で飯を食っている人くらいにしか批判出来る理由は見つかりません。

また、特典による+効果って、言う程大きくないと思うんです。
特典だけ受け取って映画は見ないという客は全体の動員から比べれば、微々たるものでしょうし。
映画本編の出来が一番重要かなと。
「けいおん!」、「まどマギ」。
同じ深夜アニメで10億を超えた「あの花」もそうですし、特典が強かったから好成績を上げたのではない。
作品本来の人気も然ることながら、映画本編自体が支持されたからであって、僕は深夜アニメ映画の人気は特典ありきという考えを否定したいのです。

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