「義妹生活」第6巻までの感想

この記事は

「義妹生活」6巻までの感想です。
ネタバレあります。

最近読み始めました

「いもウザ」繋がりで前から気になっていた本作。
kindleで5巻までセールをやっていたのを機に全巻購入。
そして、今月25日売りの最新6巻まで読み終わりましたので、感想を書かせていただきます。

淡々と…いい意味で(5巻までの印象について)

「いもウザ」のテンションと全然違って、本当に同じ作者なのかとビックリしました。
これぞラノベと言う作りの「いもウザ」とは異なり、ラノベっぽさを徹底的に(どうやら意図的に)排している本作。
本当にラノベっぽくないんですよね。

とはいえ設定は、「ザ・ラノベ」なんですよ。
父親が再婚したら、再婚相手に同い年の…しかも、誕生日がわずか1週間しか変わらないし、同じ学校だしの女の子と「同居」することになって…。
こう聞くと、ラノベとか漫画のラブコメでは王道の設定ですよね。
突然同い年の美少女と一つ屋根の下で暮らすことになって、思春期特有のあれやこれやを妄想したり、ラッキースケベにあったり。
そういう類のお話は一切ありません。

スタートの設定だけはラノベや漫画に寄せて、それ以外の部分は徹底的に「リアル志向」。
wikipediaから引用しますと

極限まで日常に振り切った作品を書いてみたらどうなるのかについて興味を持ち、義理の兄妹関係を丁寧に描き切ることにした

そうです。
1日1日、「普通のどこにでもある日常」を掬い上げて綴られていく物語。
劇的な事件は一切起きません。
終始一貫して、淡々と義理の兄妹の心情に寄り添って書かれています。

なんだか日常系のアニメや漫画を読んでいるような感覚。
読み味は、あれに本当に近い。
小説では初めて触れた感覚ですけれど、なかなかどうして良いですね。

小説って元来登場人物の心理描写に長けた媒体だと思っています。
一人称なら尚更、ガッツリとキャラクターの考えていること、思っていることを描きやすい。
けれど、同様に「事件」の描写も必要なので、キャラクターの心情だけって訳にもいきません。当然ですけれど。

そこで、今作。
「事件」自体が無い。
全く何にも無い訳では無いけれど、ほぼ無いので、キャラ描写の割合が本当に大きい。
殆ど主人公の悠太と沙季が何を考えているかが書かれています。

面白いのは、「同じ1日」を悠太サイドと沙季サイドの両面から描いてくれていること。
それによって、同じ出来事でもそれぞれ何を考えて、どうしてそういう行動を取ったのかが分かるようになっています。
こういう構造は、確かに小説が得意としてそうです。
漫画とかだと、1回2回くらいは許容できても毎回だとしんどそうだし。

何が言いたいのか焦点がぼやけてますね…。
結論としては、個人的にアリだったのです。

2巻まではこんな感じで読んでいて、変化があったのが3巻。
(上で『「同じ1日」を悠太サイドと沙季サイドの両面から描いて』と書きましたが、この形式になったのは4巻からです。)
努めて「兄妹」であることを心掛けていたはずの2人。
そんな2人の関係に明確な変化が描かれたからです。

沙季が義理の兄の悠太を好きになりました。

僕のテンション爆上げwww
「うぉぉぉおきたぁぁぁ。」ってなりました。
丁寧に丁寧に2人の日常を紡いできたからこその「変心」に対する僕のリアクションも普段以上に高まったのかなと。

次、次はどうなるんだと4巻を読んで、更に「ぎゃあああああああああああ」ってなって、5巻では悶絶して…。
いやぁぁ、良い。実に良いです。
良き恋愛小説になってきました。

そんな状態で6巻を迎えました。

6巻、クリスマス、年末、お正月!!

6巻の主な時節は年末年始。
そうです。
1年の中で最も恋人たちが忙しくなる時期です。
イベント目白押しの年末年始。

初めてのクリスマス。
初めての年末。
そして、初めてのお正月。
さらには、12月生まれの2人は、自分たちの誕生日もある。

こんだけ盛り沢山で一体どうなってしまうんだぁぁぁぁと思っても、そこはそれ、特別なことはやっぱり無いw
でも、そこが良い。
いやさ、ここまで丁寧に日常風景を活写してきて、いきなりラノベのノリに戻ったら、その方が引くわ。

でも、何も無いながらにも「初めてのサプライズ」は最高でしたね。
好きな子の為に好物(ビーフシチュー)を聞き出し、「美味しいビーフシチューのお店」をリサーチし。
最高だよね、こういう作業って。
「喜んでもらいたい」って思ってるからこそ、厭わず面倒ごとを率先してやれるんだろうし、心情描写が無くとも悠太がどれだけ沙季を想っているのか伝わるからね。

忘れてはならないのが、今回の陰の立役者である読売先輩ね。
サプライズって仕掛けられる側も嬉しいけれど、僕は仕掛けることも大好きでね。
「どれだけ驚いてくれるだろう」「どこまで喜んでくれるだろう」とか考えるとワクワクするんですよ。
だからこそ、読売先輩には大いに親近感湧いたよねw
彼女が実際どういうつもりで映画のチケットを用意したのかは不明ですけれど、きっと当たらずも遠からずだと信じたい。
とっても良きサプライズでした。

最後まで読みます。

ちょっとだけ重いと言うか、現実的な障壁に触れていた今回。
なんとなくあの両親なら2人のお付き合いも簡単に認めてくれそうですけれど、親戚ともなると別だろうなぁと。
特に今回初登場の悠太の祖父ね。
大反対しそうだわぁ。

やっぱり落としどころとしては、成人してから「親の意志(ここでは祖父の意志)に関係なく婚姻を結べる」ことを盾に結ばれるってオチになるのかな?
今回そうとも取れそうな、布石になり得る仕込みがありましたし。

でもなぁ、それはそれで2人らしくないというか。
主に悠太らしくない。
そんな「逃げ」ではなく、真正面から毅然とした態度で以って祖父に臨んで、話し合いで認めさせるくらいのことはしてほしいですね。
というか、そういう未来の方が濃厚かな。
今回のそうしたようにね。

物語がどこまで描かれていくのかは分からないですけれど、最後まで2人の日常にお付き合いしていきたいですね。

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