「ひまてん!」 第61話:殿一、お前は一体何を言ってるんだ⁉

この記事は

「ひまてん!」の感想です。
ネタバレあります。

違和感

個人的に今「魔男のイチ」の次に楽しみにしてるのが「ひまてん!」。
1話掲載時は、久々に2度読みしてしまったし、ヒロイン3人とも可愛くて目の肥やしにもなっています。
なので、あくまでもファン目線としてなのですけれども、「No.61 ひめの休日」に強烈な違和感を覚えてしまいました。

久々の更新は、「ひまてん!」への違和感に関して書きます。

ひめののの立ち位置の謎

すわ第4のヒロインか?
現役トップアイドルだった姫野乃々華が殿一達の学校の教師になって現れた。

存在そのものが違和感の塊でした。

強烈過ぎるんですよ。キャラが。
本編でもヒロイン達自ら言及してましたが、ヒロイン3人全員の上位互換的な強みを有している。
美野妃眞理よりも世間からの人気・知名度を誇っている。
愛澤カンナよりも芸能界でも売れっ子。
叶穂乃花も憧れる「清純派トップアイドル」。

ヒロインレースのパワーバランスを崩壊させるジョーカーの登場に、「ひめののは何のために出てきたんだ?」と疑問しかありませんでした。

僕の中でこの疑問は、今回で氷解しました。
「殿一の恋の悩み相談に乗る相手」という立ち位置なのね。
これは穂乃花の悩み相談に乗っていたから自然とシフト出来ていたこともあって納得。
ヒロインとして出てきた訳では無いのなら、強烈個性持ちでも問題無しってことだったのね。

グループ卒業宣言からの芸能界引退しての即高校に着任という超絶スピード感の違和感は拭えてないけど、それは本稿とは関係ないので横に置くとして。
61話の主題として「姫野先生を殿一の相談相手に定める」があったことは受け取れました。

ただ、そこに持って行くまでの過程が違和感だらけ。

ぶれまくる殿一

違和感の小さいところからいくと、やはり現役時代のマネージャーの松丸。

芸能人のマネージャーとしての資質を疑わざるを得ないのも然ることだけれど、殿一への態度よ。
箇条書きで纏めると
1) 自分が殿一の部屋と姫野の部屋を間違えておきながら「お姫の家でなんなんですかー」と暴言
2) 姫野が殿一を名前で呼んでるのを聴いて「お姫とどんな関係なんですかー」と詰問
3) 姫野の水泳特訓に付き合えないとはいえ、殿一を姫野の特訓相手として認める
4) 溜息を零す殿一に「落ち込まないでくださいよー。姫野の水着姿が見れてるんですよー」

2)と3)の間の見事な掌返し。
「ただの生徒と教師」と理解したにしては、唐突が過ぎる。
一般人に戻った姫野に対する1)と2)のリアクションが過剰だったからこそ、違和感が残りました。

ただまぁ小さな違和感ではある。
松丸のキャラも漫画だからと流すことが可能なレベル。
問題はやっぱり殿一の心情よ。

誰もが突っ込んだことでしょう。

「俺なんかに他の二人を意識しないで…一人だけを好きになんてなれるのか…」

お前は穂乃花が好きじゃなかったんかい!!!!!

順番がいけなかった

物語開始時点から殿一の好きな子は穂乃花でした。
妃眞理が隣の席になっても、カンナが後輩に成ろうとも、殿一の気持ちは揺らがなかった。
ここまで一貫してきた彼に一体何があったのだろうか。

多分読者の誰も分からない。
だからこその強い違和感。

勿論好意的な解釈は出来る。
というか言葉通りに解釈してはいけないのだとも思っている。

恐らくだけれど、本来の意図は、
「俺に好意を寄せてくれているっぽい妃眞理とカンナの気持ちを無碍にしてまで、穂乃花だけを好きで居続けて良いんだろうか。」
ではなかろうか。

そうはならんやろという意見には、頷かずにはいられない。
かなり無理な解釈だとは思う。
強引なのは認めつつ、こうでもしないとちょっと辻褄が合わない。

ただね、「殿一がヒロイン3人の間で揺れ動いている」布石は一応打たれてはいた。
No.56、57では、カンナが殿一への強い想いをぶつけていた。
No.58で、妃眞理が「雇い主と家政夫」以上の関係性を殿一へ求めている節を見せた。
No.59と60では、本命の穂乃花も殿一と「遠慮の要らない関係」を願った。

姫野が波風を立てることで、3人ともが触発されて、それぞれが殿一への気持ちの一端を伝えたわけです。
一介の高校生男子が美少女3人からの好意(と思しき感情)をぶつけられて、揺れ動いてもなんら不思議では無い。
だから、今回の殿一の述懐も自然とも思える。

自然…かもしれない。
それなのに違和感が先だったのは、順番が原因だったのではないか。

人の記憶も印象も、直前のものが一番新鮮で強い。
カンナ、妃眞理、穂乃花の順番で気持ちを伝えてきたら、どうしたって穂乃花の記憶が一番鮮烈に刻まれてしまう。
読者がそうだから、当人の殿一だって同じなのではないか。
中学時代から好きだった女の子からのアプローチ。幸せな時間。
失礼ながら、カンナと妃眞理からのアプローチは霞んでしまう気がしてならない。

言葉通り3人の間で揺れ動いているとしたかったら、本命の穂乃花こそトップバッターに持ってきた方が良かった。
カンナと妃眞理は、どっちが先でも良い。
強いて言うならメインヒロインの妃眞理が最後か。
穂乃花⇒カンナ⇒妃眞理
の順番でお当番回で回していたら、まだ今回の「俺なんかに他の二人を意識しないで…一人だけを好きになんてなれるのか…」も受け入れやすかったと思う。

終わりに

「ひまてん」。
「妃眞理と殿一」。
タイトルから妃眞理エンドが濃厚な本作。

当初の構想通り(?)の結末となるのか。
はたまた読者の人気次第で他のヒロインもゴールできるのか。

どうなるにせよ、殿一が穂乃花以外のヒロインにも揺れ動くことは必須。
その過程をどう自然に見せてくれるかが大事だと思う。

殿一の気持ちの揺れ動きの「第一歩」に及んだ今回は、どちらかというと性急だった。
もう少しカンナと妃眞理の気持ちに揺らぐ殿一を描いてからが良かったかな。

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