この記事は
「少年ジャンプ」の感想ですよ。
個人の感想です。
若い連載陣がなかなかに豊作なのだ
2024年も看板作品が2枚、その幕を閉じました。
「僕のヒーローアカデミア」と「呪術廻戦」ですね。
そして今年に入っても「夜桜さんちの大作戦」が完結し、次号(1月27日売り2025年9号)では「アンデッドアンラック」が終わろうとしています。
連載陣の顔ぶれを見ると「ONE PIECE」に次ぐ2番目の古株が「僕とロボコ」。
(「HUNTER×HUNTER」は除いてですが)
「ロボコ」を含めて連載4年以上5年未満の作品が4本。
それ以下の連載陣が多数を占めている状況とかなりの「若返り」をしています。
こうなると「すわ暗黒期到来か」的な意見も出そうですが、個人的には全然そんな風には感じられないんですよね。
近年の連載陣が豊富だからです。
ということで、久々に「少年ジャンプ」の感想を書いてみます。
「あかね噺」(2022年11号~)
少年漫画としてはマイナーな題材(特に文科系)を扱った作品の場合、その道のおたくをも感服させるほどガッツリと濃密に描くよりも、あっさりとさせつつもテンポよくストーリーを進行させることを重視した方が、「ジャンプ」では良いのかなと思っている。
「ヒカルの碁」しかり、「バクマン。」しかり「アクタージュ act-age」しかり。
勿論打ち切られた作品も多いから、成功例はほんの一握りだろうけどね。
端から脱線しましたが、少しずつ面白く感じてきています。
噺の部分はあっさりと斜め読みしちゃってますが、テンポの良い成長物語が小気味よい。
師匠が大病を患い、一門離散という大事件。
それから数年経って…。
ここからどうあかねが盛り返していくのか。
ラスボス?として阿良川一生が控えているのも良い。
あかねに一生をぎゃふんと言わせてもらいたいと思わせる話作りが出来ていて、そこが先を読ませる原動力になっている。
「キルアオ」(2023年20号~)
連載開始時より個人的に推してるんだけれど、世間的な人気はそこまででは無いのかな?
巻末をうろうろしていて、危なっかしく感じちゃう。
コメディと学園アクションが良い感じでミックスされているので、非常に楽しく読んでいるのだけれど、最近の展開はちょっとなぁと。
元々一風変わった学園コメディを下敷きにして、「幻獣組」とのスポーツ対決と「JARDIN」との死闘の2軸を交互に描いてきた作風。
学生同士のスポーツアクションと殺し屋同士の殺し合いという相容れそうもないこの2つの軸の中心に、ヒロインである蜜岡ノレンを置くことで上手いこと両立させていたというのが、今作の大きな特徴であったと思うのです。
それを1つにしちゃったのが解せない。
なんでわざわざ特徴を自ら潰しちゃうかな。
早々に「JARDIN」を学校内から追い出して、なんならさくっと潰して、次なる展開に進んで欲しいところ。
「鵺の陰陽師」(2023年24号~)
独特なギャグのノリが若干肌に合わず、デフォルメ姿も多いなぁとか、まぁマイナスな見方をしながらも読んでいたのですけれど、そのノリにも慣れちゃえば、なかなかどうして良い感じ。
そんな中でラブコメ成分が増えてきたのが、個人的には〇。
七咲が可愛いわ。
初登場時はありふれた年上お姉さんキャラかと思いきや、天然・元気・実は初心とどんどん魅力的な面が見えてきて、いつの間にか嵌ってました。
シリアス100%は似合わない作風なので、今後ともデフォルメ姿いっぱいで楽しませて欲しい。
「カグラバチ」(2023年42号~)
「呪術廻戦」ほどではないにせよ、そこそこ難解なので、設定の何割かは理解できてないw
感情表現豊かな主人公像が好みなので、主人公の千鉱への感情移入度が低かったりと、世間ほど嵌れてない。
可愛いヒロインか「鬼滅の刃」の善逸のような煩い位の明るいキャラが欲しいと思いつつ、それでも何故か1話からしっかりと読んでいる自分がいる。
一因としては、情け容赦のないストーリーだろうか。
今後のメインキャラになるのかなという人物でも、割とあっさりと切り捨てるところは、先行きの見えなさやバトルの緊張感を高める要因になっている。
いや、まさか漆羽があの人に殺られるとはさ…。
個人的には張間梓弓。
↓このコね。
全滅しそうだなと思ってたら、本当にほぼ全滅したのは、流石に驚きました。
この子は生き残って欲しかった。
「願いのアストロ」(2024年20号~)
「新宿スワン」や「東京卍リベンジャーズ」の和久井先生が得意とするヤンキーものを「ジャンプ」のノリで「ジャンプらしい漫画」として連載している漫画。
絵柄とか能力バトルとか「ジャンプ風」を描けているのだけれど、なんていうか…。
簡単に言えばつまらない。
「東京卍リベンジャーズ」も同じように感じたのだけれど、「マガジン」十八番の「サスペンス漫画」要素をヤンキー漫画に絡めてはいても、活かし切れていないのよね。
最初の頃はタイムリープでのサスペンス展開にワクワクして読んでたのですが、途中で「これただ単に喧嘩の理由作りに使ってるだけだな」と感じてからは冷めてしまって…。
東リべは、それでもヤンキー漫画自体が「マガジン」伝統の芸風でもあったから問題無かったのかもですけれど、こっちはなぁ。
今時「任侠」やられても所詮ヤクザでしょとしか。
国を立て直す為に極道のトップに立つと宣言されても…。
「ONE PIECE」のルフィのように「海賊をヒーローって呼ぶな」くらい割り切って欲しい。
ジャンプ漫画の王道に寄せるのではなくて、邪道寄りの「DEATH NOTE」とかの作風に寄せた方が好みだった。
ダークヒーローとして単純に「極道のトップを目指す少年の能力バトル漫画」みたいな感じで。
変に「正義の味方」然とした部分は不要に思えます。
つーても相変わらず絵は本当に上手いんですよね。
能力バトルシーンも十分に迫力がある。
僕がヤンキーとか極道とか忌避してるだけと言えば、そうなんですけれどね。
「悪祓士のキヨシくん」(2024年30号~)
結構好き。面白い。
画風とかギャグがどことなく「RAVE」の頃の真島ヒロ先生ぽい。
そういった意味で懐かしくもある感覚。
外見と内面のギャップが激しいキヨシくん。
俺様キャラだったら好きになれなかったけれど、純粋でビビりで正義感が強いという内面は、好感度が高い。
いきなり魔王を連続で倒して、確かに爽快感はあったけれど、話の膨らませ方どうするんだろうと疑問があった。
キヨシが最初から強すぎて、バトル面での大きな展開は無理なんじゃないかなと危惧してたのだけれど、無理なく話が膨らんできて、しかも面白い。
持ってる力は物凄いけれど、コントロール(出力調整)が苦手で、まだまだ成長の余地があるという解釈は、王道ではあるけれど、その分納得感もある。
キヨシと同様にやりあえる魔王の登場もあって、シリアスなバトル面での期待も高まっています。
今後に期待しか持てない。
「ひまてん!」(2024年32号~)
第1話を繰り返し読み返した漫画、本当に久々だった。
特別絵が可愛いって訳ではないのさ。
世界観もキャラもこれといった特徴がある訳でもない。
ふつうのラブコメなんだけれど、そこが堪らなく良い。
「アオのハコ」ほど青春リアル路線ではないけれど、「萌え漫画」ってほど狙ってない。
そういう意味でのふつうが、今の僕の感性にとても合っている。
主人公もヒロインも嫌味が無くて、どこにでも良そうな素朴で良い子たち。
そんな彼らの物語だから、のほほんとした気持ちで読める。
エロなんかいらない。
この路線のままこれからも読み続けたい。
「魔男のイチ」(2024年41号~)
掛け値なしで面白い。
間違いなく「ジャンプ」の看板を背負っていく漫画になると思う。
それほど惚れ込んでいる。
作画の宇佐崎先生、こんなにもキャラの活き活きとした表情を描ける方だったのね。
「アクタージュ act-age」の頃は、魅力のない画だなぁと思ってて、ごめんなさい。
キャラの表情、バトルの迫力、世界観を彩る装飾。全てが良い。
なにより、「なんのシーンであるのか、パッと見で理解できる絵が描ける」のが強い。
「何をしている場面なのか、数秒見ないと判然としない。そもそも何か分からない絵。」の漫画って存外多い。
「漫画の上手さ」って、読者がすぐに理解できる絵で構成されていることだと思うのだ。
その点、宇佐崎先生の漫画はとっても上手い。
西先生の紡ぐ物語も文句なし。
ファンタジーなのに、非常に分かりやすい、とっつきやすい世界観というのは、もうそれだけで価値がある。
「魔法は生物であり、それぞれの魔法が課す試練をクリアすると、魔法を習得できる。」
「人類に友好的な魔法がいる一方、人類を敵対視する魔法も沢山いて、それらは魔女が狩っている。」
「魔法を使えるのは、魔力を持つ者のみで、魔力は女性にしか宿っていない。」
基本はこれだけ覚えていれば良い。
作中独自の用語とか一切無くて、誰しもが「知っている」知識で読み進められる。
だから読むのに抵抗が無い。
今一番「ジャンプ」で推せる漫画。
「しのびごと」(2024年42号~)
オペレーターが一番キャラが立ってるのが、唯一の欠点かもしれないw
まだまだキャラの魅力という点では「今後に期待」って感じではあるのだけれど、ポテンシャルは間違いなくあると思っている。
今作も最強主人公で、だけれど極度の人見知り・コミュ障という弱点を持ってるという意味では、キヨシくんと友達になれそうではある。
似た者主人公であるのだけれど、漫画としては、現時点では「キヨシくん」のが上手。
あっちは作画もキャラもこなれた感あるのだけれど、今作はどうにも硬い。
抽象的な表現になってしまうのだけれど、「硬い」って言葉が個人的にしっくりくるのだ。
キャラクター1つとっても、表面上の喜怒哀楽は見えるんだけれど、奥底の感情が見えないというか。
その点どのキャラもまだまだ秘めてて、見えてこない。
ヒバリがちらっとヨダカに魅せた恋心のような「任務とは関係のない素の感情」をもっと見せて欲しい。
そういった展開に早く入って欲しいのだ。
それでも先に書いたように、つまらない訳では無いんです。
むしろ楽しく読んでいる。
色々と慣れてきたら、更に面白さに磨きが掛かると思っています。
「シド・クラフトの最終推理」(2024年51号~)
「ぼく勉」の筒井先生帰還。
僕の大好きなミステリぽい作風だし、「ぼく勉」好きだったから、1話から読んでます。
が…評価はまだなんとも。
思っていた通りミステリとしては、本格的に目指している訳ではない。
(それでも当初想定していたよりかはしっかりとミステリしてる)
ラブコメ方面としても、まだまだ動きが少ない。
主人公のシド・クラフトも大きな魅力があるって訳でも無く、様子見の段階。
中途半端にミステリを噛むくらいなら、ちゃんとしたミステリのネタ出しを出来るスタッフを付けて、「コナン」ほどとは言わないまでもしっかりとミステリをやってくれた方が良い気がします。
このままなんちゃってミステリしてると見透かされて打ち切られちゃうんじゃなかろうか。
終わりに
正直なところ「ジャンプ」の購読をそろそろ止めようかしらとか考えてもいました。
「ONE PIECE」はコミックス派になってしまえば、他に未練ないし。
「ヒロアカ」と「呪術」だけ本誌で最後まで追って、2作品とも終わった時が潮目。
一時期はそのタイミングでバイバイジャンプするつもりだったのだけれどね。
いや~、新作が面白くて、そんな気無くなっちゃいました。
35年くらい読み続けてきて、この辞め時を喪った今、もう死ぬまで読み続けるのかもですね。