この記事は
「僕のヒーローアカデミア」の記事です。
ネタバレあります。
はじめに
5月30日に書き始めた記事。
気づいたら7月まで放置していました。
その間、「ジャンプ」連載ではデクの危機に爆豪が現れるという胸熱の展開を迎えてしまいました。
こうなる前に挙げたかったのですが…。
仕方ない。
記事書きます。
爆豪のチームプレイ
爆豪ほど「一般的なライバルキャラ」に迎合しないキャラも珍しく思います。
最初期から粗野粗暴。
短気で常に人を見下す、およそヒーローらしからぬ少年でした。
出久を蔑む言動は感化できるものではなく、個人的な好き嫌いで言えば嫌いなキャラなのです。
何故彼が主人公のライバルポジションに居座れるのか。
何故読者人気が高いのか。
未だに理解が出来ません。
敵連合に拉致られた際は、「あ~~やっぱりな」と思ったものです。
こうしてヴィランとなって、出久と対峙することになるんだろうなと。
でも違いました。
彼は、どこまでもヒーローを志し、誰よりも強くあろうとしました。
気づけば、出久の秘密を知り、オールマイト共に「出久の秘密を守る話し合い」に参加するようになっていました。
言動こそ変わらずですが、この頃には精神的な成長が見られていたことは事実。
爆豪の成長の中でも、個人的に最も注目したのがチームプレイをするようになった点。
A組とB組の合同戦闘訓練で、爆豪は仲間のピンチを救い、自分のピンチを仲間に託すという、今まで見せなかったスタイルを見せます。
爆豪の独断専行を逆手に作戦を立てていた取蔭率いるB組を圧倒。
隙の無い連携で完封勝ちを収めました。
元来天才型の爆豪。
個性の熟練度が高く、技のバリエーションも豊富。
圧倒的な攻撃力と天賦の運動神経、怖いものなしの性格もあって、実戦経験を積んでいくことで目指すNo.1の座も夢ではありません。
ただ、それでも彼がトップになることはありません。
爆豪は、どこまで行っても出久には敵わないからです。
出久が「最高のヒーロー」に近づいた
これは僕が最高のヒーローになるまでの物語だ
第1話の最終コマに於ける印象的なモノローグです。
アニメでも少しアレンジされて、毎回冒頭に入っていますね。
No.1ヒーローの個性を受け継いだ出久。
さらに歴代継承者の個性をも身に着けて、彼は対オール・フォー・ワンの急先鋒となりました。
この作品世界内に於いて、個性とはヒーローの力の源であり、ヴィランの暴力の象徴です。
強力な個性を持つことは、それだけで有利になります。
そこに加えて、個性を伸ばし、使いこなすことが出来れば、より高みへと至れる訳です。
個性による力のピラミッドは、しかし、たった1つ例外があります。
そう。
複数持ちの存在です。
オール・フォー・ワンが、絶対的な悪として君臨し続けられているのも、その個性故。
他者の個性を奪い、自らのモノと出来る。
複数の個性を自在に駆使する戦闘スタイルは、ただそれだけで脅威であり、捕らえられて尚恐れられてきたのも頷けます。
出久の持つワン・フォー・オールも同じ特性を持っていました。
歴代継承者の個性の強化・継承。
肉体強化を含め7つもの個性を身に着けた出久。
強いのも説得力ありすぎる設定です。
第1話のモノローグの状況に限りなく近づいたわけです。
こうなってくると、爆豪との差はかなり広まった感があります。
いくら爆豪が天才で実力があるとはいえ、たった1つの個性では出久には敵いません。
AFOの軍門に下り、個性を譲渡でもされない限りは、この差は覆らないのでしょう。
爆豪は、出久が居る限りNo,1にはなれない。
単独1位にはなれないと思うのです。
爆豪勝己がライバルである為に
単純な戦闘力で言えば、爆豪が出久に並ぶことは、もう無いと思われます。
それほど個性の数というのは、大きな要素なはずです。
けれど、どうだろうか。
大きすぎる力は、協調性や共闘という概念をも忘れさせやすいのです。
なんだって自分1人の力で解決出来ちゃうのです。
誰かに頼るという選択肢は、自然と消え失せ、独断専行に走ってしまう。
今の出久がまさにそんな感じですよね。
怒りに我を忘れて…という訳ではなく。
周りの声を拾える程度には冷静であり、しかし、その声に耳を傾けて歩を止めることはしない。
オールマイトの静止を振り切り、休息を取れと言う声を無視し、AFOの足跡を辿る。
敵を倒し、人々を救い、ボロボロになっても顧みない。
大きな力を持ったことの弊害。
これは爆豪しか止められないんだろうなぁとか思っていたら、本当に出てくるんだもの。
予想が当たったからというのもあるけれど、単純に嬉しかったよね。
これぞライバルって感じだったもの。
とはいえ、爆豪がどうやって出久を止めるのか。
説教するキャラじゃないし、真っ向からぶっ飛ばすことはもう出来ない。
じゃあ、もう1つしか無いじゃない。
出久に、自分と一緒に戦える仲間が来たと思わせれば良い。
かつて大きな力に自信過剰となり、1人で戦い続けた爆豪は、「それだけではダメな事」を身に着けたのです。
仲間を活かすことを覚え、仲間に頼ることを学んだ。
共闘。
例えば、エンデヴァーやホークス、ベストジーニストが一緒に駆け付けていたなら。
爆豪は彼らをサポートに付けてでも、単身ヴィランに向かっていくでしょう。
ヒーローたちの力を信じ、援護を当然として、戦いを挑む。
もちろんヒーローが危機に陥れば、助けに入ることも忘れない。
もしかしたら、それぞれの個性を活かした作戦を立てて臨んでくるかもしれない。
1人で敵わないなら、複数で挑む。
今の出久が採らない戦法で爆豪は、出久に匹敵する戦果を挙げるのではないでしょうか。
複数個性持ちの出久のライバルでいるために、爆豪は、他のヒーローを手足の如く「使う」。
そうやって個性の数の差を埋めて、出久の隣に並び立つ気がします。
終わりに
主人公とは逆行する爆豪のスタイル。
ヒーロー科の中でも抜きんでていたからこそ独断専行を主としていた彼。
やがて成長するにつれて、仲間との共闘というスタイルを身に着ける。
それは、個性の複数持ちとなる出久に対抗するためのたった1つの道だったのかもしれません。
いや、その為に爆豪の成長は決められたのだと思うのです。
果たして、彼らの関係はどうなっていくのか。
クライマックスを迎えている「ヒロアカ」。
特異な2人のライバル関係に着目して、読んでいきたいです。