鳥山明先生追悼 「鳥山明〇作劇場」収録自選TOP5

この記事は

「鳥山明〇作劇場」の感想です。
ネタバレあります。

僕にとっての神様

漫画の神様。
世間的には手塚治虫先生なのでしょうけれども、僕にとっては鳥山先生でした。

だからこの度の悲報は、本当に悲しかったし辛かった。
想像したことはあるんです。
「もし亡くなっちゃってしまわれたら」と。
絶対に落ち込むだろうなと。
けれど、実際は想像以上に落ち込みました。

もっともっと先の出来事だと思ってたんだけれどね。
急ではない死は無いかもだけれど、それにしても急過ぎました。

このまま嘆き続けることも出来ますけれど、それはノート等にでも書いておきます。
今回は、鳥山先生の短編集「鳥山明〇作劇場」から個人的に好きな作品5本をピックアップ。
(順位ではなく、五十音順で書きます)

ESCAPE

短編というよりショートショートとか掌編と呼べる漫画。
オールカラー5ページ。
vol.2に収録。初出は「少年ジャンプ1月増刊号」(1982年)…らしい。

やはり目を引くのは、内容以上に表紙なんですよ。
ネットにカラーの表紙が落ちてましたので、拾ってきました。

髪。マント。服。
疾走感、躍動感が溢れてくる素晴らしい一枚。
女の子の表情からは、何者かから必死に逃げる様が見て取れます。
「ESCAPE」というタイトルを十二分に表現した表紙イラスト。好き。

内容はというと、鳥山先生の真骨頂。
鳥山先生の作風最大の特徴は、なんと言っても「ギャップ」だと思うのです。
強そうに見えて実は弱い。
強面だけれどとっても優しい。
渋い顔なのに中身は幼稚。
見た目と中身のギャップを最大限に活かしたキャラクターを活き活きと動かす。

今作もそう。
表紙から想像する読者のイメージを逆手に取り、シリアスな展開からの…というオチが待っています。
表紙の力強さを活かした構成に脱帽。

SONCHOH

「週刊少年ジャンプ」昭和63年5号に初出。
鳥山先生のもう一つの特徴であるメカ。
今作は車ですけれど、ハチャメチャなカーレースが楽しめる短編。
「スケベでファンキーな爺さん村長が、空き缶を捨てたスパイを追跡する漫画」と一言で纏められるんだけれど、見どころはやっぱり迫力十分なレースシーン。

田舎の村の爺さんが持っていて良いような車じゃないだろというツッコミどころ満載のレースは、頭空っぽにして楽しむには最適です。

貯金戦士 CASHMAN 第2話

「Vジャンプ」の前進というと少し違うか。
不定期に刊行されていた「ブイジャンプ」で連載されていた作品。
全3話のうち、取り上げるのは第2話。

取り上げた理由は、他と少し違って「初めてリアルタイムで読んだ鳥山先生の読切」だから。

鳥山先生の好きなウルトラマンをモチーフにしたような設定のヒーロー漫画。
後のグレートサイヤマンの原型というと語弊があるでしょうか?

第2話はデート中にとっても悪い小学生2人組デビルキッズに遭遇するお話。
小学生なのに車に乗っている。
小学生なのに拳銃を持っている。
小学生なのに世界一狂暴で正解一強い。
そんなデビルキッズに心臓を撃ち抜かれたキャッシュマンの運命は…。

ちなみに中鶴勝祥さん(「DBZ」、「DBGT」、「DBダイマ」キャラデザの超上手いアニメーターさん)作画のリメイク「貯金戦士キャッシュマン」ですが、1巻未収録を含めた完全版の刊行はまだですか。
ずっと待ってるんですが。

PINK

実のところ、90年夏の「東映アニメフェア 鳥山明 THE WORLD」で上映されたアニメ版を先に見ていたりします。
当時は同時上映だった「DBZ 地球まるごと超決戦」目当てだったので、「剣之介さま」共にあまり記憶にない。

閑話休題。

気の強い鳥山ヒロインズの中でも、女の子らしい性格をした珍しい部類のヒロイン・ピンク。
彼女が憧れのブルー保安官と相合傘をすべく、水泥棒を企てるというストーリー。
恋愛ものが苦手だと公言する鳥山先生らしく「何故惚れたのか」は具体的に明かされていないけれども、それでも最も強く恋愛要素が出ている作品。
だからか、他作品とどこか雰囲気が異なり、ラブコメ好きには堪らないものとなっています。

可愛らしさの中にも「鳥山節」が覗くオチも秀逸。
じゃじゃ馬ヒロインばかりではなく、可愛らしいヒロインをもしっかりと描くことが出来る鳥山先生のいつもと違った一面を見られる漫画です。

POLA&ROID

「Dr.SLUMP」初期のテイストを取り入れたSF冒険漫画。
取り入れたもなにも、同時期に描かれているから雰囲気が似るのは当たり前なんですけどね。
千兵衛とみどりの新婚旅行風味も感じられて、「Dr.SLUMP」ファンはすんなりと楽しめると思います。

全編に亘って鳥山イズムであるギャップの面白さがふんだんに盛り込まれており、読んでいていちいち「これこれ~」ってなるんですよね。
鳥山ギャグ大好きには堪らないんですよ。

終わりに

コミックス未収録の読切漫画がまだまだあります。
「〇作劇場」4巻は当然として、5巻もいけるかな?
集英社様、どうにか続刊をよろしくお願いいたします。

 

 

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