「金田一37歳の事件簿」 殺人20面相(第12巻、第13巻)感想

この記事は

「金田一37歳の事件簿」第12巻、第13巻の感想です。
ネタバレあります。

あれ?

何故僕は12巻の感想を書かなかったんでしょう???
あれ~?

気を取り直して、第12巻、第13巻収録の「殺人20面相」編の感想です。

キレの無い事件

金田一君あるある。
「一番最後に現れた人物が犯人」(笑

結局トリック仕掛けるのに忙しいですからね。
必然最後になっちゃいますよね。
むしろ人目を避けてコソコソしないといけないことも多いから、どうしたって最後にならざるを得ないこともある。

ということで、よくよく最初の殺人時の様子を見てると、犯人さんがしっかりと最後尾になってることが描かれていてw
結構分かりやすい犯人だったんだなぁと。
とまぁ、今だから書けますけれど、読んでる時には怪しんですらいなかったw

というのも、第2の事件でこの法則のウラを掻かれたからですね。
全然最後に現れてないんですよ。第2の事件では。

むしろ犯人の直後の人物が怪しいセリフを吐いていて。
個人的には、こっちに注目しちゃったんですよね。
これもあるあるですけれど、失言パターンなのかなと。
犯人も別の場所で失言はしてましたけれど。
初読時は、この人物のこの時のセリフを怪しいと思ってしまいました。

だから、真相編で驚かされました。
トリックよりもこの「小さな違和感」の方が良く出来てたと思ったほど。

最初から「密室内に犯人が隠れていた」という直観通りの密室トリックだったので、トリック自体に驚きは無かったのですが、意外な方向からトリックを崩していく手順の方に鮮やかさを覚えました。

ただ、偉そうに書かせてもらえば、これだけでした。

昔に比べて、やはり「37歳」以降は特にトリックに面白味が欠けているというか。
捻りが足りないなと感じることが多いです。
今回も2つ大きなトリックがありましたが、赤い部屋も密室も「そこそこ」で終わりました。
往年のように一捻り、二捻り加えたような読み応えのある事件を作って欲しいなぁと感じた次第。

逃げた殺人犯、再び

二代目の傀儡師になる素養あるんじゃなかろうか。
今回の犯人・殺人20面相は、とんでもない食わせ物でした。
というか、「37歳」はこの手の「同情しにくい」殺人者多いね。

今回特に動機を読んでも、1ミリも心を揺さぶられなかった。
というのも、血筋や環境が関わってきてるからですね。
ハジメって血筋で探偵をやっているようでいて、その実彼個人の正義感から犯人を突き止めているところがあります。
今回にしたって、「たまたま巻き込まれた人間が虫けらのように殺されたことが度し難いから」という理由で、謎解きを決意しています。

つまるところ、ハジメは彼個人の純粋な「罪を憎む心」から素人探偵をやっているわけです。
この点は「少年」時代からブレていません。

対して、高遠や20面相は、自身の犯罪歴を血筋のせいにしてる節があります。
親が犯罪者だから、自分も犯罪者になるのは必然だ…的な考えですね。
「探偵学園Q」にも通じるテーマですけれど、この是非を「金田一」シリーズでも通っているのでしょう。

今回ハジメは犯罪に走るか否かは、個人の考え方1つだと言っています。
まりんの考えを否定しているわけですよ。

このハジメの考えが正しいのか。
はたまた20面相の方が正しいのか。

高遠ではついぞ描かれなかった決着ですが、今回20面相を通して改めてアプローチがなされるのかもしれませんね。

まぁ、高遠についても散々伏線を張っていたのですから、必ず回収した上で、ハジメとの決着戦を見たいのですけれども。
今の「30th」でやって欲しいくらいですよ。

終わりに

「37歳」はいつ連載再開するんでしょうね。
これは「30th」がいつまで連載続くのかということでもあるのですけれど。

20周年の時のように1年間連載するのかな?
ともあれ、ちょっとの小休止ですかね。

高遠以来史上2人目の逃走者となった殺人20面相。
彼が再登場することがあるのか否か。
そういった楽しみは増えましたね。

最新情報をチェックしよう!