「劇場版 名探偵コナン 紺青の拳」 京極はキッドを活かす最強の切り札!!

遂に!!

来年の劇場最新作のサブタイトルが発表されました。
「こんじょうのフィスト」です。

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©青山剛昌・名探偵コナン製作委員会

僕自身間違えましたが「ぐんじょうのフィスト」ではありません。
「紺青」と「根性」のダブルミーニングと思われます。
今回は、期待高まる最新映画について書いていきます。

5代目監督!!

驚いたのが、今年指揮を執った4代目・立川譲監督から永岡智佳さんへ交代すること。
1作限りで監督が交代するのは初めて。
これまで7作を区切りに交代してきた(諏訪P曰く7作というのは意図的では無く、偶々とのこと)こともあり、暫く立川監督で行くのかと思っていた為驚きも一入でした。

さて、その永岡監督ですが、初の女性監督です。
TVシリーズの歴代監督を含めても女性初。
これは良いです。
女性目線でのラブコメという新風を注いでくれると、良い意味でこれまでとは違う「コナン」が見られそうです。

演出としては、3代目・静野監督の下で4年連続で劇場版に参加。
特に前々作「から紅の恋歌」では、助監督として参加されていたので、非常に安心して見られるかと思います。

余談ですけれど、クオリティアップ名目で、劇場版のラインを2本作ることになってたとしたら面白いかな。
立川監督×脚本・櫻井さんコンビと永岡監督×脚本・大倉さんコンビで隔年毎に担当という形で。
キャラデザと音楽は変えられないので、須藤さんと大野克夫さんは毎年強制参加を強いることになっちゃいますが。

今はどうか知りませんが、かつては劇場版は公開の2年前から動き始めていたということなので、ライン2本が隔年で稼働すると面白そう。

脚本は大倉さん再登板!!

きたきたきた!!!!!
現役推理作家の大倉さんが、「コナン」に帰って来てくれた!!!

僕は「から紅の恋歌」が歴代でもトップクラスに好きなんですよ。
ミステリ、ラブコメ、アクション。
全てがバランスよく、かつ、1つ1つの要素が粒立っていた。
「劇場版コナン」のスタンダードとして推せる1作で、「コナン」らしさで言えば「時計じかけの摩天楼」と双璧を成すと思うのです。

氏が書いて下さった脚本は、本当に大好きでした。
だからこそ、「キッドの映画」で氏が登板して下さったことが何よりも嬉しいのです。

キッドの扱いは難しい

もうね、この一言に尽きますね。
キッドは難しいです。

原作の登場エピソードを見渡しても分かるように、彼が絡むと基本的にはキッドVSコナンという構図になるんです。
キッドが盗みの挑戦状を叩きつけ、コナンがトリックを見破る。
基本パターンが確立されていて、このパターンを崩すのが非常に難しいのです。

何故なら、キッドはコナンの対立軸に立つキャラだからです。
エピソードによっては協力体制を敷くこともあるコナンとキッドですが、片や名探偵、片や怪盗です。
馴れ合うことはやっぱり違うんですよね。
相反するポジションにいるから、コナンと同じ方向性でキッドを活躍させる事が出来にくいのです。

ただ、この「協力させにくい」体制で作られた作品もあって、それが「天空の難破船」
テロ組織「赤いシャムネコ」という共通の敵を設定する事で、コナンとキッドの協力体制を引き出していました。
バディの方向性としては、この映画は100点ですよね。
コナンが大活躍しつつ、キッドにも見せ場がある。
蘭を巡るラブコメも変装が得意なキッドならではの趣向が盛り込まれていた。
同じ路線では、絶対にダメという訳ではないけれど、二番煎じ的となって難しいですよね。

では、本来の対決軸に則った作品はというと、実はありません。
純粋にコナンVSキッドだけで作られた劇場版ってまだ無いんです。
恐らくですが、今後も無いと思われます。

コナンが犯人をやっつけるという見せ場が作れないからですね。

何年も前にコナンはヒーローであるという主旨の考察を書きました。
江戸川コナンを「ヒーロー」、犯罪者を「悪人」として、ある種勧善懲悪的な描き方を敢えてしていると。
故に、悪を倒すヒーローとして博士の作った数々の道具が活躍して、筆頭にキック力増強シューズが掲げられているんです。

コナンの必殺シュートで悪を倒して、スカッとさせる。
これもまた「劇場版コナン」の醍醐味の1つです。

それがキッド相手には出来なくなります。
当然ですね。
キッドを逮捕させるわけにはいかないので。
(逮捕のち脱獄ということも出来なくはないだろうけれど…)
キッドもまた「(別作品の)ヒーロー」なので、コナンが完全に勝利するという構図は取り辛い。
よって、痛み分けが落としどころになる訳です。
コナンはお宝を守って、キッドは目的を果たしつつも逃げおおせるという。
(キッドの目的は、ビッグジュエルを盗む事では無くて、ビッグジュエルを月に翳して狙っている宝石かどうか見極めること。見極めさえできれば、盗みが失敗しても目的は達成していることになります)

だからこそ、キッド以外に「コナンに倒される悪人」が必要になってきます。
コナンで悪人というと、殆どが殺人者なので、殺人事件を扱う事が基本路線となります。
それなのに、キッドと殺人事件の相性がまた悪いんですよ。

彼が殺人事件に絡んだ最初の事件が「奇術愛好家殺人事件」。
「土井塔克樹」(怪盗キッドのアナグラム)に扮したキッドは、熱で倒れたコナンの代わりに連続殺人事件の謎を…解かない。
キッドの頭脳ならば本気になりさえすれば事件の謎を解いて、犯人逮捕も出来るのでしょうけれど、彼はそれをしません。
何故なら、探偵では無いから。
殺人が起きると、どうしても「観客」になっちゃうんですよね。
黄昏の館の時も最後の最後まで出番が無くて、終始「観客」してました。

原作では過去2件しか無い「キッドの登場する殺人事件」。
蚊帳の外になりがちな殺人事件で、キッドを動かすのは至難の技なのです。

それを踏まえて劇場版を振り返ってみますと、「成功例」と「失敗例」に分けられます。

先ず失敗例から。
こちらの筆頭は「銀翼の奇術師」でしょうか。
そもそも殺人事件が取って付けたような全体の構成から浮いたものでした。
飛行機パニックを起こす為だけに殺人事件が描かれていて、殺人事件である必然性が無かったんです。
その上、キッドは殺人事件に絡んでこない。
「殺人事件」と「キッドの活躍」が交わらない構成で、キッドが居なくても成り立つ映画であったのは致命的でした。

続いて「業火の向日葵」
今作の脚本に関しては、すったもんだがあったようなので、なんとも言いづらい所ではあるのですが。
本来は青山先生が考えたトリックを用いた殺人事件があったようですけれど、監督判断でバッサリ。
出来上がった映画では、「銀翼」以上に取って付けた感満載な殺人事件がありました。
言うまでもなく…ですよね。
多分誰が見ても「殺人事件いらなかったよね」ってなると思う。
この映画は「まじっく快斗」の1エピソードとしては傑作としたいのですが、「名探偵コナン」としては評価できません。
殺人事件でのキッドの活躍は勿論皆無でしたので、やはり失敗例とします。

では、成功例はというと、キッド初登場となった「世紀末の魔術師」です。
殺人鬼スコーピオンにキッドが襲われる。
彼を被害者にする事で、無理なく殺人事件の渦中に放り込ませる事に成功しています。
流石のキッドも自分が被害者になれば、事件に関わらざるを得なくなりますからね。

捜査という点では活躍は無かったけれど、コナンがスコーピオンをやっつける場面では、影ながら支援。
しっかりと殺人事件でも活躍の場が与えられており、キッドを活かすという意味では問題無く成功例と言えます。

お祭り映画であり、キッドがメインでは無い「探偵たちの鎮魂歌」を除けば、殺人事件を扱った時のキッドの見せ方の難しさが分かるかと思います。
故に、キッドの登場が発表された時は「来年は殺人事件は無いな」と考えちゃいました。

殺人事件をメインプロットにしつつもキッドを活躍させる奥の手

青山先生が以前から温めていたプロットがありました。
京極真の映画出演です。

最初は公式ガイドブックのQ&Aでの読者の要望だったかな?
映画に京極を出してくださいっていう。
それに対して、出したいね的な解答をされていたような記憶があります。

ただ、出すタイミングが無かったのでしょうか。
全く出て来なかったです。
格闘タイプで蘭の上位互換。
アクションでこそ見せ場を作れるキャラだけに、京極は京極で色々と使い勝手が悪そうではあります。
基本蘭がいれば、対格闘戦はなんとかなっちゃいますからね。
(もし「絶海の探偵」に京極出してたら、Xは彼に出会った瞬間にフルボッコにされて事件解決しちゃってましたよねw)

そこで、ですよね。
原作82巻の「怪盗キッドVS京極真」。
コナンVSキッドという構造しか無かったキッド編に新風が吹きました。
当時は大絶賛だったと記憶しています。
映画でこの対決を見たいという意見も見かけた気がします。

だからこそ満を持して、そして、映画でキッドを活かす最強の切り札として京極が抜擢されたのでしょう。
京極がいれば、キッドを十二分に活かせるんですよ。
これまではコナンとの頭脳戦をメインに活躍の場が限られていたキッド。
アクション方面で存分に渡り合える相手として京極が使える。

今までの「コナンVSキッド」という図式を上手に「京極VSキッド」としてずらす。
これによって、コナンも殺人事件方面で活躍させられて、キッドもまた京極という新しいライバルを相手に活躍させられる。
「劇場版コナン」として、殺人事件をメインプロットにしつつもキッドを「観客」にさせずに済むんです。

この「新しいキッド映画」を大倉先生の筆で描かれるのがなによりも楽しみなのです。
ミステリ、ラブコメ、アクションとバランスの良さを魅せて下さった前作に引き続き、今回もまたバランスの良い作風が見れるのではないかという期待感です。

コナンでミステリを。
キッドでアクションを。
ラブコメのメインは京極で作れそうです。
それぞれの要素がしっかりと活きた素晴らしい映画になるんじゃないかとワクワクしています。

特報見たけどワクワクがヤバい

期待で一杯の脚本を同じく「から紅」で助監督されていた監督が活かしてくれる。
もうね、期待感がヤバいよね。

舞台もさ、シリーズ初の海外ですよ、海外。
シンガポール!!マーライオン!!マーライオン!!(←マーライオンしか知らない勢)
原作含めてもロンドンに次いで2回目。
新鮮!!

新一の登場も確定だし、キッド映画として新しい作風になることも多分確定。
京極も初登場。
監督も新しくなり、挑戦し続ける姿勢が出まくった次回作は、新しいキッド映画のスタンダードと呼べる一作になると予想しておきます。

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