「劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁」ネタバレ感想 史上最大スケールの事件に圧倒された

この記事は

「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

例年と違い、倍の製作期間を掛けて作られたという最新第25弾。
監督はアニメ「ハイキュー‼」シリーズの満仲監督。
過去と現在がしっかりと交錯した劇場版に相応しい作品でした。
感想です。

ミステリ面

容疑者は僅かに2名。
なので、whodunit、つまりは犯人当てとしての面白さは希薄であったものの、しっかりと謎解きが出来るようにはなっていました。
最大のヒントは「コナン達が巻き込まれた爆発事件の真の意図」を解くことにありましたが、解決篇でもあったように映像にしっかりと伏線が張られてましたからね。
右側に座っているパートナーの腕に付いたレシートを左腕で取ったというのは、あまりにも不自然。
右腕で取った方がより自然ですものね。

あからさまなレッドへリングに騙されなければ、自ずと犯人は分かるようになっていたのかなと。

こう書くとミステリとしては弱いと思われるかもです。
先にも書いたように犯人あてミステリとしては、例えば「瞳の中の暗殺者」等でも繰り返し使われてきた手法で、お馴染みのものとなってましたが、今回白眉だったのは動機ですよ。

何故、安室は狙われたのか。
コナン達が巻きこまれたのは偶然か。
渋谷全体が標的になっているのは何故か。

1つ1つの物事にしっかりとした犯人なりの犯行動機があって、それが全て繋がって謎解きからクライマックスの壮大なアクションに波及していくところが凄かった。
その中に、今回の警察学校組5人のメインキャラクターも意味ある絡ませ方がされていて、文句のつけようがなかったのです。

今回は本当に原作と密接にリンクしていたところもポイント高いよね。
「揺れる警視庁」の爆弾魔が再登場からのまさかの爆死。
この点にもしっかりと意味があったし、それに何と言っても松田が捜査一課にいた1週間の「空白の時間」を作り出しているところもミソ。

萩原の命日にはお墓参りに行けないから、前日に、しかも全員で集まってお墓参りをしていたというのは、原作で描かれていてもおかしくないエピソード。
その帰りに今回の一連の事件の発端に触れて、安室が恨まれ、また、謎の組織から松田が必要とされていたという流れも綺麗に落とし込まれていて。
複雑に絡み合ったプラーミャとロシアの謎の部隊(上述の謎の組織)の思惑が、ここを起点にしているから、謎解きされるとスッキリと出来る点も良かったです。

この過去の事件で唯一出番が無かった(既に亡くなっていたから当然なんだけれど)萩原も、松田が爆弾阻止のヒントとして、そして、クライマックスのコナンの知恵の元ネタとしてと、両方に関わっていたというネタバラしもあって、間接的に活躍させてたところも上手いよね。
むしろ萩原が今回最大のMVPだったのかもしれないというのは、過言じゃないはず!!

メインキャラの見せ方、活躍具合、それを事件にしっかりと落とし込む手管。
もう本当に完璧だった。

僕は犯行動機だって、ミステリを語る上では欠かせない重要なピースであると思っています。
全ての根幹にある「何故?」が詰まっていますからね。
今回はそこが本当に素晴らしくて、素晴らしくて。
故に、ミステリとして今回の映画は大満足でありました。

アクション面

渋谷がハロウィンでここ数年有名になっているのは、ニュースを見てれば誰しもが知っていること。
まぁ、あんまり良いニュースとは言えないんだけれども。
故にハロウィンを題材とした今回の舞台が渋谷になるといわれても、それ以上の意図を汲み取ろうとすらしませんでした。

今回のアクションの見どころは大きく分けて2つあったと思います。
1つは、過去の警察学校組vsプラーニャ。
息の合った連携を楽しみつつも、プラーニャの化け物じみた戦闘力の高さをしっかりと印象付けられたシーンでした。
肉弾戦でやりあうこのアクションは、本当に見ごたえがありました。

そして、もう1つが勿論クライマックスですね。
ここで、よもや渋谷の地形が深く関わってくるなんてね。
確かに渋谷って、駅前のスクランブル交差点を底にして、すり鉢状に坂が伸びています。
この地形を利用して、2つの化合物を混ぜあわせて渋谷全体を爆発させる計画とか、本当に狂気じみてます。
んでも、プラーニャならやりかねない狂気と技術をしっかりと印象付けられているから、この計画自体に不自然さを抱けない。

特報でもしっかりと映っていた赤と青のかぼちゃランタンが爆液入りというのも非常に大胆だな仕掛けだったし、今までにない最大級の規模を可能としていたなと。
恐らく「純黒の悪夢」の観覧車阻止がこれまでで最も大きな「被害の阻止」に当たると思うのです。
いや、前作の新幹線の方が予想被害規模は大きかったか?
なんにせよ、これまでの比ではないくらいの大災害を未然に塞がないといけなくなった。

コナンだけの力で解決させるには、いくら超人コナン君でも無理だろうと誰もが思った中で、ロシアの部隊を活かしてくる凄さときたら。
これまでに見られない形で、今までよりも遥かに大きなピンチを、コナンが中心となって一丸となって乗り越える。
全てが計算づくされたアクションシーンは、非常に面白かったです。

クスッと出来る芝居の数々

最後に、キャラクターの芝居について。
初期は割とギャグ的な芝居が多かった「コナン」も、シリアスさが全面に出てきて、どんどんと鳴りを潜めていました。
そこんところ、懐古厨としてはちょこっと不満だったりしたのですが、今回はそんな僕もニッコリ。

爆弾のあるビルから逃げるコナンが、探偵団に切れた時の表情。
最もシリアスさが要求されるクライマックスで、綱渡りに失敗して転落するコナン。
エトセトラエトセトラ。

シリアスなシーンにもクスッと笑える芝居が仕込まれていて、しかも、決してシリアスさを妨げない匙加減だったこともあって、見ていて楽しかったです。

芝居ってわけではないけれど、小五郎が「麻酔に耐性が出来てるのか」不審がられているシーンは流石に笑いましたw

あと、地下に閉じこもっていた安室ね。
声が一緒ということもあって、完全に「探偵たちの鎮魂歌」の謎の依頼人だったwww
探偵に謎解きを依頼する、しかも、爆弾で人質(厳密には違うけど)を取られてというシチュエーションもそっくりで、一人でウケてました。

終わりに

いや~今年も大満足でした。

次回26作目は組織ですか。
海(水)って興行成績的にも良い思い出がないので、是非ジンクスを覆した作品になると良いな。

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