「ノーゲーム・ノーライフ」第11巻感想

この記事は

「ノゲラ」第11巻の感想です。
ネタバレあります。

密かに読んでた

密かにって表現も「いちいち公表する意味が無い」という点に於いてバカバカしいですが、2年ほど前から少しずつ既刊を読み進めていました。
イラストレーターから自身のクリエイター業を始めて、漫画家となり、ラノベ作家に至っている。
多彩な作家さんだけれど、失礼ながら物書きとしての文章力は素人よりも…と思っています。

「だが」や「しかし」を乱用した文章は、お世辞にも読みやすいとは言えず、ともすれば、読むのを放棄したくなるほど。
然しながら、ここまで夢中で読み続けているのは、圧倒的なまでのストーリーテリングがあればこそ。
文章なんて気にならないくらい面白いんだわ。

ゲーム系のラノベは多数あれど、やはり未だに頭1つ抜きんでている印象が強い。
よくもまぁ、こんな途方もない展開を思いつくもんだと舌を巻いています。

そんなシリーズの3年半ぶりの新刊です。
リアタイで追っていたファンにとっては長く辛い時間だったと想像します。
僕は、3週間ぶりの「続き」なので、その辛さを共有できないのですけれど。
きったそれでもこれだけは分かり合えると思っています。

3年半待った甲斐があった…と。
感想です。

感想

初期のノリとはやや毛色を異とした最近の展開から一転。
久々と表現したくなるほど初期を彷彿とさせるノリに戻った今回。
いや~面白かった。

ラブコメというどちらかと言えば頭を空っぽにしてこそ楽しめるジャンルを全面に出しつつも、こうも頭脳系ゲームに落とし込む手腕は、流石の一言。
そこへ更にきちっと「今の世相」を反映しているのも、強みだよね。

ユーチューバーなんて言葉が出来て、それなりに時が経っているとはいえ、まだまだ新鮮な題材。
スパチャとか投げ銭と呼ばれるシステムは、更に新しいかな。
それらを取り入れて、一発逆転の「ゲーム攻略法」として採用する。
こうやって言葉だけでネタバレすると、大したことの無いように思えちゃうけれど、シナリオの構造が巧みだから「凄い驚きの一手」に見えるんですよね。

ゲームの真の意図を「カップルにならないと出られない」というSNSで一時流行ったシチュエーションを使ったラブコメで隠ぺいする。

何故そんな迂遠な手段を取らざるを得なかったのかという疑問についても、しっかりとした答えを用意して、一見すると不必要な状況を可能にしている。
こうやって「今回はラブコメに全振りなんだな」と読者の目を欺け、しかし、少しずつ「そうじゃないこと」を匂わせて、一気呵成に攻勢に出る。
「50億を稼ぐにはどうすればよいか」という命題を裸のまま曝け出してたら、ここまで空の奇策に驚けなかったと思うのです。
「何故こんな状況に置かれたのか」という前提から謎としつつ、ラブコメ路線で目晦まし(勿論ラブコメ自体が必要な展開として作中で「利用」されているのも面白さの理由となっている)をしているからこその驚きがありました。

もうさ、ラブコメと投げ銭の作中での使い方が上手すぎでしょ。
投げ銭だけで50億円稼がないといけないというリアルの人気配信者ですら無茶無謀な事でも、「この方法、設定ならなんとかなりそう」と思わせる説得力。
妖精種の設定をしっかりと序盤に説明してるからこそのフェアな手法。

さらに畳みかけるように「白の空への想い」に焦点を当てつつ、その想いすら「利用」してゴールまでの一手とする。

この作品で大切な要素と僕が勝手に考えている「ラブコメ」。「空と白の絆の物語」。「ゲーム」。
そして、「ディスボード制覇に向けての物語」。
全ての主題をぶっこみ、全ての主題を満遍なく語った。
だから、ラブコメとして本作を好きな読者を萌えさせ、兄妹の物語に首ったけの読者の胸を満たし、ゲーム性の高さに読者を圧倒させ、本筋の物語をクライマックスへと推し進めた。

だからこそ、僕は「3年半待った甲斐があったのでは」と冒頭に記しました。
全ての層の読者に確実に刺さる物語だったんじゃないかと。

シリーズの中でも上位に置きたいとんでもなく満足感の高い巻でした。

終わりに

1巻を読んだ時は、あまりにも壮大過ぎて「終われるんだろうか」と思ったものですが、予想よりもずっと早くクライマックスに入ってきましたね。
とはいえ、10年選手になろうとしてるようですが(汗

まぁ、ここまで濃密で素晴らしい物語を、たった10年で11巻(外伝含めれば12巻)も紡いでこられたのだから、やっぱり凄すぎる偉業なのだと思う。

次がいつになるかは不明ですが、いつになろうとも待ち続けようと固く誓いを立てて、短いですが感想を終わります。

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