「ONE PIECE FILM RED」ネタバレ感想 ミュージカル好きには刺さる…けれど…

この記事は

「ONE PIECE FILM RED」の感想です。
ネタバレだらけです。

はじめに

3年ぶりの映画「ONE PIECE」最新作を鑑賞してまいりました。
なんとも形容しがたい映画。
少なくとも一言では言い表せない映画でした。
感想です。

ミュージカルと言う新機軸

正直歌い手の事とか全然門外漢だし、上手い下手とかも語れる知識を持たないのですけれど。
そんな僕が聴いても確かにAdoさんの「表現力」は図抜けていたなと感じました。

今回のメインキャラクターとなったウタは、物語の進行とともに様々な表情を見せていきます。
それと共に感情を歌にしていくのですけれど、派手で陽気な歌から始まり、怒りに染まったおぞましい歌、狂気に飲まれた歌まで。
見事に歌声で「ウタの感情」を表現していて、普通に凄いなぁと思いました。
映画館の大音量かつ高音質の効果もあって、大迫力でした。

全編ウタの歌で物語の節目が訪れる作りになっていたため、今までにない「ONE PIECE」体験が出来ました。
これは間違いない。
アニメだからこそ活きるシナリオだったし、しっかりと歌が物語に落とし込まれており、そこに意味も生まれていた。
ただ単に登場人物が歌って踊るだけになってないミュージカル調のワンピは非常に新鮮でした。

けど、中盤までそれが絶望的に面白くない(汗

歌で進む物語と違和感の強い展開に入り込めなかった

これは僕個人の感覚。
そもそもミュージカル得意じゃないからというのもあるのですけれど…。
退屈だなぁ、今回外れだなぁと感じていました。
いくら迫力があって聴きごたえがあると思ってはいても、歌を中心に置いた物語は、動きが少ない分面白くは無い。
勿論、歌からウタの感情の変化をしっかりと感じ取り、彼女のドラマに目を向ければ退屈さなんて感じることは無いんですけれどね。

歌が多いからというのと、あと一つは、世界観の違和感にどうも話に入っていけなかった。
冒頭から喉に小骨が突き刺さったような小さな違和感を覚えていました。
どこか輪郭がボケたような映像がところどころで入ったり、セリフがおかしかったり。
最も象徴的だったのは、ウタの「大切なお知らせ」。
シャーロット・オーブン達を含めた海賊を謎の能力で追い払ったウタ。
盛り上がる観客に向けて「動画配信ではすぐに終わってたけれど、このライブはずっと続けていくよ」(意訳)って言うじゃないですか。
なんでもあるから大丈夫って。
怖気がしたよね。
あ~彼女が今回の敵か…と少し感じもした。
それなのにルフィ達も観客もネガティブな反応は一切無し。
むしろ酒や食い物が出てくることに喜んでしまっている。

流石にこの時点で、夢の中の話なんて気づきようも無かったし、現実と疑ってなかった。
けれど、妙な違和感は付いて回っていて、そこが気になって嫌~な感じがありました。
「不思議の国のアリス」とか「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」とか見てる感じ。
地に足のついてないような不気味さが苦手な作品群なのですけれど、同様の感想を持っちゃったのですよね。

これが僕の中盤までの本音です。

ウソップとヤソップの共同戦線に胸アツ

評価を難しくしたのは、「退屈だなぁ」で終わらなかったからです。
謎が解けた後は、いつもの「ワンピ」。
多くのキャラが組織や勢力に縛られずに協力するところは前作「STAMPEDE」を彷彿とさせる展開。
二番煎じというと言葉は悪いですが、これだけなら前半の評価を覆すまでは無かったと思う。

強大な敵に全員で挑むという展開そのものよりも、個人的に胸アツだったのは枝葉の部分。
「夢の中と外」という2つの「世界」を巧みにリンクさせていたところに、ウソップとヤソップを中心に置いてくれてたところ。
ここが熱すぎでした!!

ウソップが登場してから、24年くらいかな。
登場時から「ヤソップの息子」という事実が明かされ、リアタイで読み続けてきた僕としては以降ずっと親子の邂逅を待っていたんですよ。
それなのに一向に出会いそうもなくてさ。

村のオオカミ少年が、仲間を見つけて海へ出て、臆病ながらも様々な冒険を繰り返し。
一時は船を降りたりしつつも、少しずつ勇敢な海の戦士へと成長していって…。
「海賊」としては、全く釣り合ってなかった親子が、やっと肩を並べても良いかなってところまで来たところでの「再会」ですからね。

見分色の覇気を使ってリンクした2人の息の合った指揮は、こういったシチュエーションで無いと描けない構図。
まさか今回の映画で親子の邂逅が見られるとは想像だにしてなかった分、喜びも一入でした。

前回もウソップは良いところを持って行きましたけれど、今回も良かったなぁ。
純粋な戦闘員と比べればまだまだ弱いウソップだから、戦闘そのもので活躍させるよりも、こういったところで活躍させるシーンを作りやすいのでしょうね。

終わりに

ルフィの回想シーンでみんなでウタの歌を聴いていたのに、何故か眠っていた…とか。
変なキノコ(ネズキノコ)を避けるサンジ…とか。
万能すぎるウタの能力…とか。
伏線はところどころにあって、終盤に向けていっきに収束する展開も。
ウタと言うキャラクターのドラマを目一杯詰め込んで、彼女にしっかりと感情移入させる展開も。
原作の持つ魅力を最大限に含んでいました。

それでいて、原作では表現しきれないアニメならではの物語は、25年目にしての初体験を感じさせてくれます。

間違いなく傑作と言えるんですよね。

 

それでも、どこかそれを否定したい気持ちもあって…。

映画としては「STAMPEDE」の方が僕は好きだったなぁ。
最近の大作アニメ映画の「歌っておけば良いや」感が苦手になってきてるからという作品とは無関係なところで、身勝手に評価を下げてしまったのです。

こればっかりは一切共感頂けない感情と分かっているので、世間的には「面白かった映画をつまらない理由で腐した偏屈な感想」になってしまったかな。
ま、良いんですけれどね。

 

最後に、大きな違和感と言うかキャラ解釈の違いについて。
意地でも市民に手を挙げない赤髪海賊団が最高にカッコよくて、市民を殺してでもウタを止めようとする海軍との対比が際立っていましたが…。
僕の解釈ではイッショウも赤髪寄りの考えだと思っていたのですけれど…。
なんか普通に黄猿と同じように命令に従っていたので違和感凄かったです。

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