「変人のサラダボウル」第1巻感想

この記事は

平坂読先生最新シリーズ「変人のサラダボウル」第1巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

定期的に平坂先生のラノベ読まないと生きていけない病に罹ってる気がする。
約1年振りの新刊は、歓喜の2冊同月発売でした。

先ずは、「〆切前には百合が捗る」の第2巻。
ラストがやや駆け足に感じたものの、安定の日常描写で楽しく読ませて頂きました。
全2巻の想定で書かれていたらしく、一先ず完結ということらしいですけれど、そう言わずに続きを書いて欲しいです。
これからキャラをもっと好きになるってところで終わりは、結構辛い。
だが、編集は許さないw
可児那由多は、「かに」ですから!!「かじ」ってルビは間違いだからね!!!

続いては、新シリーズ。
ガガガ文庫、岩淺編集、カントク先生。
「妹さえ」の布陣そのままの新たな群青劇。
今回は、この「変人のサラダボウル」の感想です。

グルメ描写健在

言うて平坂先生の作品は「はがない」以降しか知らない僕。
ファン歴としてはとても浅い。
なので、あくまでも僕の所感ですけれど、「はがない」は、やたらと濃いキャラクターに支えられたラブコメでした。
ところが「妹さえ」では、キャラの濃さを抑え(抑えきれてないのも多数いたけどw)、無駄に細かい日常描写の積み重ねで「まるで実在しているかのような」生き生きとしたキャラクター描写を実現していました。

今回の作品もその手法を踏襲していたと感じました。
やはり、日常描写が無駄に細かい。
特に料理とビールの描写にはとんでもない熱量を感じます。
文章で飯テロされるって中々無いですよ。
北海道で飯食いたい。
このビール飲んでみたい。
沖縄も行きてぇぇぇぇ。
「妹さえ」はずっとそんな感じで、涎を垂らしながら読んでました。

今回グルメ描写はそこまでなかったですけれど、飛騨牛食べたくなりました。
昔高山に行った時に食べさせてもらった気がするんだけれど…くぁぁ、味を覚えてないのが悔しい。
そこまででは無いと言っても、描写は細かい。

惣助はキッチンの棚から一人用のホットプレートを取り出し、軽く洗ってテーブルの上に置いてスイッチを入れた。 プレートを温めている間に冷凍庫から白米を取り出して 解凍し、お椀に盛り付ける。
取り皿と焼き肉のタレ、発泡酒 とお茶も準備し、いよいよ肉を二切れ、そっとプレートに載せる。
じゅうぅぅ──という食欲をそそる音と、肉が焼ける香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。
「おふぉお……」
サラの口から期待のこもった声が漏れた。
ほどなく肉がいい感じに焼け、惣助は一切れをサラの取り 皿に、もう一切れを自分の皿に取った。
「では試してやろうかの、異世界の高級牛肉の味とやらを」
「おう、心して味わえ。……いただきます」
「いただきます」
惣助とサラは同時に肉を口に運んだ。
しつこくなりすぎない絶妙なレベルに乗った脂が甘辛いタレ と溶け合い、舌に乗せた瞬間から幸せが広がる。
柔らかな肉に歯を立てるたびに、肉汁とともに圧倒的な旨味 があふれ出し、口の中を満たしていく。
(あぁ~…… やっぱり超美味いな飛騨牛……!宇宙一美味い)

平坂読. 変人のサラダボウル (ガガガ文庫) (pp.52-53). 株式会社小学館. Kindle 版.

こういった文章を何度も読んでると、そりゃ食べたくなるし飲みたくもなる。
実在する料理に酒だから、圧倒的に現実味がある。
他には長良川の鮎くらいだったか。

主人公の惣助が真面な飯を食べられないほどの貧乏探偵なので、探偵業が軌道に乗るまではグルメ描写が少なそうですが、徐々に増えていくことを期待。

これからだ

先ずは顔見せ的に10人のキャラが出ましたが、あくまで「顔見せ」って感じでした。
今後色々なキャラが関わり合って世界観の広がりを見せていくほど、それぞれのキャラを好きになっていくんだろうな。

楽しみ。

終わりに

プロローグで魔王城とあったから、サラって悪い奴の末裔なのかと思ってしまったけれど、そっかそっか。
第六天魔王ね。自称してたよね。

今後この設定って活かされていくのかな?
《門》はまだ生きてるのだろうから、次々と異世界人が出てきてもおかしくない訳で。

今後、異世界の武将の末裔が出てくるのかもですね。

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