「アイの歌声を聴かせて」感想 2020年代最高のアニメ映画だった

この記事は

「アイの歌声を聴かせて」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

やっと見に行ってこれました。
「アイの歌声を聴かせて」!!
期待以上。
滅茶滅茶面白かった。

オリジナル劇場作品の比較なら、個人的には「君の名は。」に匹敵するくらいには感動した。
感想です。

音に驚く心理

人間そっくりのAI搭載ロボットのシオン。
「ロボットだとバレなければ合格」「バレたら不合格」という「試験」中、早々にサトミのクラスメイト4人にバレてしまう…という王道展開。
孤独な少女サトミがシオンの秘密を守る中で、秘密を共有する4人と仲を深めていくという、ここまでがテンプレ。

唐突にミュージカルを始めるシオンに戸惑いを覚えつつも、基本的には王道展開の物語に面白く見れていた一方で、「普通に面白い映画」という枠を飛び越えないもどかしさを覚えてもいました。

笑えて、ホロリとできて。
キャラクターも可愛いし、だけれど、もう一歩「あっと驚く」展開が欲しい…みたいな感じです。

そんな中で訪れた中盤の山場。
1つの大きな音が、僕をビクつかせたのです。
たまたま周囲の客席に人がいなかったので醜態を晒さずに済みましたが、笑える程全身がビクッとなりましたね。

単純に突然の大音量に心底驚いてしまったのですけれど、ここまで無防備に驚かされたのは、全く予期出来てなかったからです。
ある程度予測できていた物語が、たった1つの音でガラッと姿を変えたんですよ。

シオンの正体が小3の時にトウマが作ったAIであるというのは、序盤の匂わせだけで充分予測できて、実際その通りだったのだけれど、いやはや、まさか冒頭の「ネット空間?を動く光の映像」が伏線だったとは…。

トウマが小3の頃に作ったAIが、消去される寸前にネット空間へ退避して、8年間かけて少しずつ少しずつ自己成長を遂げた。
様々なAIに潜り込んで、サトミの成長を見守り、幸せを願ってきた。

ここまで完璧に読めなくても、これに近い真相に辿り着けた観客はどれだけいただろうか?

僕が予測したシオンの正体は、ほんの触り程度だったなんて。
きっとさ、観客が僕と同じ予想を立てることまでスタッフ側の計算通りだったんだよ。
読まれることを見越して、もう一段階上の「読まれにくい」秘密を出してくる。

先の展開の読みやすさと面白さに比例関係があるとは言わないけれど、きちんと伏線を仕込んでいた上に、「シオンがサトミを幸せにしたいのは何故か」、「彼女が突然ミュージカルする理由とは」という謎に納得いく真相があって、しかも自然と泣けるものだったこともあり、心から感動したんですよね。

 

特に「ミュージカルする理由」には、参った。
いやさ、ミュージカルに理由なんて普通無いじゃないですか。
そういうジャンルであって、そこに疑問を挟む方が野暮だし、嫌なら見るなって話で終わる。
今作は決してミュージカルでは無いけれど、ミュージカル映画のように「歌って踊って物語が進行する」ことが多々あって。
サトミらがその状況に戸惑いを見せることもあって、ならば、観客としても「何故」という目線を持ってしまう。

とはいえ、そこに答えを用意する必要もない中で、しかし、きっちりと納得いく理由が用意されていたのだから、本当に参りました。
「シオンがサトミの幸せを心から願っていた」ことの象徴として「ミュージカル」があった。
こんな素敵な理由を作られてきたら、感動するなってのが無理な相談ですよ。

鑑賞後の気持ちよさ、爽やかさも抜群。
青春群像劇としての笑い、恋愛、そして感動。
しっかりと詰まった極上のエンタメ映画。
ひっさびさにBDを買って、手元に置いておきたいと思える作品でした。

終わりに

大好きな作品に出会えて超ハッピー。
気持ちのいい週末を過ごせそうです。

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