「スパイ教室」第6巻感想

この記事は

「スパイ教室」第6巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

衝撃の引きとなった第5巻。
ライバルとなりうる筈だった「鳳」の全滅。
ウッソやろと愕然とした終わりでした。
これもまた読者を欺くトリックかと、そういう淡い期待を持っていたのですが…。

第6巻の感想です。

「必要な犠牲」

1人を除いて、普通に全滅してた。
これは辛い。
ただ、作劇上必要な犠牲だったのだとは理解した。
「必要な犠牲」なんて言葉使いたくはないんだけれども。

1巻の頃から、スパイと死については切っても切り離せない関係であることが明示されてきました。
「鳳」の全滅もそうだし、不可能任務の死亡率が9割だと言われていたり。
そうなれば、必ず仲間の死というのは描かれなければなりません。

だって、そうでしょう。
死をひたすら匂わせて、毎回全員無事に生還してます…じゃ、話が違うってなります。
緊張感だって薄れていくし、説得力も欠けます。

とはいえ、とはいえ、「灯」から死人が出ることは先ずあり得ない。
かつて家族とも言える仲間を失ったクラウスが、全力で今の家族を守っているからです。
世界最強たる彼がいて、しかも、同じ失策を彼がすると、それはそれで世界観が崩壊しかねます。
勿論絶対ではありませんし、展開によっては、そういった悲劇も起こるかもですが、まぁ無いでしょう。

今作はクラウスの成長譚ではなくて、あくまでも8人の少女達の成長譚だから。
「クラウスが再び仲間を失い、挫折をしてからの復活劇を描く!!!」な~んて彼が主人公でない限りは不要な展開です。

世界観維持のために仲間の死は必要。
だけれど、8人の少女達から死者は出せない。(出しにくい)
ならば、どうするか…。
読者に好きになってもらった新キャラに死んでもらおう…という。

今回の構成、かなりエグイよね。
現在のお話と「灯」と「鳳」の「蜜月の日々」が、殆ど交互に展開される。
こんな風に「悲劇の結末の今」と「騒がしくも楽しかった過去」を何層にも重ねられると、「なんで死んじゃったんだ…」と悲しくなってくる。
どうしたって「鳳」のメンバー1人1人に感情移入しちゃう。

必要な構成だって分かるんですよ。
「灯」のメンバーが「鳳」のメンバーから、それぞれどんなことを教えられていたのか。
それによって、どれだけの成長をしたのか。
そういった今回の大事な要素が僕ら読者の脳にしっかりと刻み込まれていくから。

分かるけれど、辛いものがあった。
必要な死?
まぁ、そうなのかもしれない。
けれど、死んでほしくなかったぁ。

終わりにあれこれ

前回は割とストレートな物語だったけれど、今回はやっぱり捻りを加えてきてましたね。
ランが出てきた時は「は????」って真顔になったよwww
ジビアが捕まったところから全て作戦でしたって分かった時は、「そうだったそうだった、こういう作品だった」と大笑い。
序盤の電球が点滅云々のところは、なんか変だなぁとは思ったんだけれどね、いや、マジで。
でもまさか、これも伏線だなんてさ。そこまでは読み切れなかったよね。
下手なミステリよりよっぽど爽快に騙してくれるから、本当この作品はやめられない。最高だね。

んでさ、第9のメンバー。
「炯眼」。
「慧眼」と同意らしいね。
洞察力に長けた少女なのかな。
もう出てきてるんでしょ、彼女。
一体誰かな?
ティアが篭絡した「20代半ばの気真面目そうな人物」かな?
それとも「蓮華人形」かな。

「蓮華人形」は凄く怪しいんだよね。
仮に彼女が「炯眼」なのだとしたら、それこそ今回のリリィは何もしてないことになっちゃうんだけれどもwww
そこはそれとしてリリィらしいということでw

ま、誰あれ、またあっと驚くストーリーテリングで唸らせてくれるんだろうな。
超期待。

 

ところで、モニカ。
あとがきで「裏切者の汚名を背負った少女」と書かれてますが、いいのかな?w
流石に誰も彼女が本当に裏切ったとは思ってないから良いのか…?
この展開は途中から予想出来てたし、それ含めて織り込み済みなのでしょうね。きっと。

なんにしても、待ちきれないので短編集の前に7巻を先に出して欲しいですw

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