「スパイ教室 短編集05 『焔』より愛をこめて」感想

この記事は

「スパイ教室 短編集」第5巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

短編集までシリアスだと…。
コメディ成分マシマシを期待してたので、「あれ?」となりました今回の短編集。
バッドエンドと称しても良いよね。
悪い結末が待っていると分かっている中での「焔」の物語は読んでいて中々に辛い。
クラウスが世界最高のスパイになるまでの「エピソードゼロ」としては面白かったんですけれどね。

感想です。

3つの「トロッコ問題」

5人を救うか。
1人を救うか。

超絶有名な答えのない問い。
作中でゲルデによって提示され、「3つの答え」が示されていたと思います。

1つ目は、ミュラー議員。
子供の権利を犠牲にしてまでも、多くの国民を救おうと画策。
このケースでは、「かつて切り捨てられた側」のグノーの復讐によって頓挫しました。
「トロッコ問題」の「先」が描かれたケース。
現実は「どちらかを犠牲にしました」で終わらない。
切り捨てた側の報復まで含めて決断することが出来るか。
「実娘であるグレーテを切り離した」ミュラー議員には自身の間違いを認める訳にはいかない理由がありましたが、覚悟はあったのかな?
ゲルデの言葉に即答できなかった時点で、覚悟の点では疑わしいかな。
「国の為に、自分自身が犠牲になる」ことは出来なかったんじゃないかな。
分かんないけどね。

2つ目は、クラウス。
(少なくともあの時点では)助かる見込みのない状態だったとはいえ、幼い兄妹を犠牲にする選択肢はキッツいなぁ。
ゲル婆に問いかけられた時は「分岐器をどうするか答えたくない」としていたクラウスですら「第三の道」を採れなかったというのも辛さに拍車をかけてる。
それだけギリギリの瀬戸際まで追い込まれてしまったというのもあるし、「銀蝉」の策略が悪辣すぎたというのもある。
後味は非常に悪いケースでした。

3つ目最後は、ギード。
《暁闇計画》の阻止する。
しかし、民間人から犠牲を出さずに。
その為には、「家族」ですら差し出す。
ギードにはギードなりの信念があり、正義があって、覚悟も伴っている。
ミュラー議員ともクラウスとも、「覚悟」という一点に於いて大きな隔たりがあります。
とはいえ、「他に無かったん?」としか思えん。
具体的な手段は思いつかないけれど、『焔』の命を差し出す以外の道があったんじゃないかな?

「灯」に期待する第三の選択肢

5人を救うか。1人を救うか。
それだけではない第三の選択肢。
全員を救う極上の方法を「灯」が見つけ出すことを期待したい。

読み終わって感じたことでした。

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