「劇場版 からかい上手の高木さん」感想

この記事は

「劇場版 からかい上手の高木さん」の感想です。
ネタバレあります。

アニメの完結編的な映画

テレビシリーズも3期まで作られ、3期目にはラストを示唆する宣伝文句が飾られていたので、驚きとかは無いのですけれど。
一先ずの区切りの着いた映画だったなというのが総括ですかね。

とはいえ、ラストだから、映画だからといって、特別な事は何も起こらない。
いつもの日常の延長線上。
しかし、確実に今までとほんの少しだけ違う日常を描き出した一作だったなと。

感想です。

3人娘の夏

中学3年生、たった1度だけの特別な夏。
確かに中学3年の夏って、人生で初めて感じる「特別感」はあるのかもしれない。
夏期講習が始まり、本格的に初めての受験を意識し、高校を思い描く時期。
ああ、小学校や中学受験を経験してなければの話ね。
高校になると義務教育が終わるから、進路がバラバラになるんよね。

それまでは同学区内であれば、一緒だったクラスメイトも、いっきにばらけていく。
そういった意味では、切なさを感じる夏と言えるのかもです。
や、自分のことは昔過ぎて記憶にないから、適当書いてますけれど。

んで、田舎を舞台としたら、地元に残るか都会に出るかという王道プロットがあるわけで、それを3人組が担ってくれてました。
この手の話は西片と高木さんでは出来ないですからね。
サブプロットではありましたが、中々良かったです。
特にミナが「(100個のやりたいことを)もうやめよう」って言い出すシーンね。

なんか分かるというか、似たような思いを抱いたこと過去にあるので感情移入出来たんですよね。
全て終わらせようと、終わらせまいと時間は過ぎていくのだから意味は無い。
そんなことは分かった上で、それでも終わらせちゃうと本当に終わっちゃう気がして、途中のままでストップしたくなる。
そういった子供ならではの理屈。
分かるわぁ。
そんなミナに終わらせようといいつつも、手を繋いで「終わらない」アピールするのがサナエっていうのが、本当にもう。
最もクールで、一見この関係に未練とか無さそうな彼女がするからこその良さが出てたよね。

オチについては賛否別れるのかもですけれど、変化なんぞ求めてないので、僕としてはこれで良しでした。

ドラマチックなんていらない

僕を含めて原作ファンは2人の将来は知っているわけです。
アニメのみのファンだって、3期でちーが出てきてるから、未来は分かっている。
だから、恋愛漫画のような甘酸っぱくもキュンキュンする告白シーンを求めてはいない…というのは少数派でしょうか。
僕はそうだったんですよね。
2人が結婚することも知ってるし、現在形でほぼほぼ両思いだってことも分かっている。
その中でドラマティックな告白は求めてなかったのです。

ただしかし、付き合う瞬間だけは知りたかった。

そんな我儘に100%応えてくれる告白だったな~。
セリフ自体は滅茶苦茶直球なんだけれど、「え、このタイミングで?」的なのが逆に良かった。
泣いてる高木さんと言う初めての出来事に動揺してる中で、ぶっこむ西片。
意表突かれたのもあるけれど、くさ過ぎず、されど、地味過ぎずで好きな塩梅でした。

ところで、物語を劇的過ぎなくした要素に、王道潰しがあったなと。
よくある「恋の伝説」系の逸話の件ですね。

物語の筋立てとしては、この手の逸話を主役カップルが体感して、めでたく結ばれるって流れが鉄板だけれどあっさりと回避。
蛍を見たらいつまでも一緒という逸話を出し、その為のデートを描きつつも、非常にあっさりと「見つからなかった」というオチを見せる。
これはビックリでした。

でも、ちゃんと拾ってはいるんですよね。
伝説に頼らなくても「いつまでも一緒」という証拠(親子3人で蛍を見る)を示していましたから。
それに、虫送りデートの下りで見せたかったのは、やっぱり「高木さんが西片に惚れた理由」ですからね。

エンディングの映像の一幕にもありましたけれど、高木さんが西片を意識した切っ掛けが「ハンカチを拾ってくれた西片の優しさ」ですから。
そこを改めて印象付けることで、この後のハナとの物語にも意味が生まれる訳で。

物語的に意味はあるのだけれど、お約束は破る。
このバランス感覚が「劇的すぎない地味過ぎない告白」を引き立てていたように感じました。

 

アニメとはいえ、山本先生監修なので、ほぼオフィシャルと思って良いのでしょう。
長いこと見続けてきた2人の馴れ初めを知れて満足でした。

終わりに

原作では多分描かれることの無かった「2人が付き合いだした瞬間」。
映画が無かったら見れなかった気がします。
それが見れただけで、この映画には十二分な価値があったと思います。

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