「ソード・オラトリア」 第11巻 感想 「英雄に見つけて貰えるのは一握り」を噛みしめた

この記事は

「ソード・オラトリア」第11巻の感想記事です。
ネタバレを含みます。

読んだ

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア」第11巻を読みました。
いよいよクライマックス。
最終章に向けて、凄惨な事件が描かれた巻でした。

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©大森藤ノ・はいむらきよたか

感想です。

最悪の上を行く最悪に凹む

予想は出来てました。
あからさまな死亡フラグを立ててましたから。
冒頭の口絵でそのシーンが抜き出されてるんですよ。
なんかあるなって誰でも考えちゃいます。

「最悪」は想定していました。
けれど、その想定が甘すぎでした。

同じ死ぬにしても、まだ救われる死とそうじゃない死があると思うんですよ。
勿論結果的には同じなので、辛いという点に於いては全く変わらないんですけれども。

7巻でもリーネ達7名の死が描かれました。
「初めての犠牲」でやはりショックでしたが、まだ幾分救われる描かれ方だったんですよね。
辱められることなく、遺体を埋葬出来たのだから。

だけれど、今回のフィルヴィスの死は違ってました。
首を折られ命を絶たれた後、怪物達に食い尽くされてしまうという悍ましくもあまりにも酷い最期。
緑肉の進行を見るに、遺体が無傷であったとしても、遺体を持ち帰るという選択肢は取れなかったかもしれない。
けれど、「遺体を持ち帰る」という選択肢すら取らせてもらえない状況はあんまりです。

誰がその場にいたとしても、救えない時はある。
それは間違いないんだけれど、もし、英雄が居たらって考えてしまう場面です。
少なくとも、アイズが居たら違ったはずなんですよ。
エアリアルで「滑空」出来る彼女ならば、フィルヴィスの命を救えなかったにしても、その遺体は持ち帰れたかもしれません。
タイミング的にはかなり際どく、難しい要求に思えるけれど、彼女の速さと機転ならば、熟してくれたと信じます。

けれど、英雄は縫いとめられてしまいました。

レヴイスと対峙したまま膠着状態を”続けさせられていた”。
作戦としては実を結んでいましたが、結果としてアイズを遊軍として使えなかったのは誤算でしたね。
彼女ならば救える命があったのに…。

本当にリヴェリアの台詞じゃないですが、英雄に見つけて貰えるのは一握りなんだな~と。
今回その「英雄」たるアイズが一切機能させてもらえなかったことで、甚大な被害が出てしまったのかな。
とはいえ、レヴイスを放置したらしたで、各個撃破されてもっと多くの犠牲を生んでいた可能性もあるので、十分に英雄の役目は果たしてはいたのですけれど。

こう書いちゃうとアイズの責任論みたいな感じになっちゃいますね。
彼女の責任なんて言うつもりは毛頭なくて、誤解させてしまっていたらごめんなさい。

本編のアリーゼ達の死も凄惨さを極めてましたし、闘いが激化する上では避けては通れない道なのかもですが。
そう割り切れるもんじゃないです。
創作物とはいえ、キャラクターの死はやっぱりいくつになってもキツイものですね。

レフィーヤが救われて欲しい

こうなってしまうと、敵を倒してはいお仕舞いという訳には行きませんよね。
主人公アイズの葛藤はしっかりと描き切りました。
振り切って、まさかのオッタルとの特訓という方法で”成長”した。

あとは、レフィーヤを救えるか否か。
大切な友人の死を目の前で見せられたのです。
あまりにも惨い最期を。
救えなかった後悔も計り知れないでしょう。
簡単に癒せる傷とは思えません。

個人的には、今回の件でファミリアを抜けて、故郷に帰るというのも一つの手だと思う訳です。
それがフィルヴィスと交わした最後の約束を果たす事と割り切って、立ち直れるのでしたら。
今後も似たような事件はきっと起こるでしょうしね。
「逃げる」という言葉はどこかマイナスなイメージも付き纏いますが、ただただ前向きな意味で逃げるのもアリでしょ。

アリだけれど、ただ、どこかバッドエンド気味なのは確か。
あとがきでも救いがあるような終わりだということが窺えたので、立ち直ったまま冒険者で居続けることで終わってくれると良いかな。

本編も外伝も、同じ憧憬を抱く弱者の物語なんですよね。
ベル君は強くなり、レフィーヤは弱いままで去って行く。
そういった差別化は、ひとつの結末としてはアリなんでしょうけれど、テーマを完遂するという意義でも、同じ結末を辿って欲しい。
これは単純な僕の希望ですね。

どうすれば彼女がこの地獄のような現実から立ち直れるのかは皆目見当もつきませんが、「フィルヴィスの為に」冒険者を続けて貰いたいかな。
彼女のような犠牲を1人でも減らす為(少なくとも自分の手が届く範囲の命は救うみたいな感じで)…という新しい目的を定めても良いですし。
ここに期待しつつ、最終巻を待ちます。

伏線について

ディオニュソスが黒幕だとエピローグ読むまでずっと信じちゃってました。
最期あたりそんな感じでしたからね。
自分が「死ぬ」ことで目的を果たすという壊れ狂った神ということだと解釈したのですが…。
違ったか!!

まさかの1巻に最大の伏線があったとは。
黒幕の名前で既刊を検索掛けてみると、成程。
9巻での邂逅での一幕は全く別の意味で捉える事が出来るんですね。

「冒険者の活躍を耳にしていた」訳では無くて、別の思惑から「知っていた」のかな?
何の意味があってアイズに固執しているのか。
それも最後に分かるかな。

さて、伏線と言えば今回回収されて無い”と思われる”伏線がありました。
エルフィが見たものはなんだったのでしょう???
ジャガー・ノート???
時期的には合致してそうですが、クノッソスに居るには不自然なので除外。
アステリオス?
深層に向かったということですが…。
居てもおかしくないけど、どうなんだろ?

なんだか分からないけれど、攻略の突破口になる存在になる気がする。
なんの根拠も無いんだけれど。

終わりに

途中までは笑ったり、快進撃に胸躍らせたりしてました。
アミッドのチートさも爽快でしたが、なによりアスフィの「作りました」が痛快すぎて最高でした。

言葉通り死んでも守っていたアイテムをあっさりと(実際は相応の苦労があったはずですが)敵に作られたのですから、「我々のやって来たことの意味って…」ってなりますよね。
アスフィが居る以上は、1個取られてた時点で詰んでたので、全てが無駄では無かったものの殆どが無駄だったので、非常に痛快でしたね。

このまんま「大勝利」で終わる筈はないよな~と読んでいて考えてはいましたが、まぁ、上にも書いたように最悪の上を行かれてしまって…。
最後は、この凹みを払拭してくれる爽快な勝利を見せて欲しいな。

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