「Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々」第1巻感想

この記事は

「Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

「金田一29歳の事件簿」第1巻の折り込みチラシに「金田一ファンにオススメ」とあったのが本作でした。
そこから興味を抱いて、ようやく第1巻を入手。
読了しましたので感想となります。
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ドSキャラの台詞は面白いよね

台詞の多い漫画にはセンスが必要です。
漫画は小説じゃありません。
絵で説明する・理解させるテクニックが必要なので、台詞ばかりに頼っているとそれだけで敬遠されちゃいます。
やはり会話自体を面白いと思わせないといけませんね。

今作は、ミステリ(?)漫画です。
いや、違うか。
ミステリ風味とした方が適当な気がします。
公式では、「人の感情を色で認識するワケアリ少年・玄(くろ)とバディを組んで嘘を暴いていく新感覚ミステリ」となってますが、広義的にはミステリなのかな。
読んだ感じでは、「金田一」のような本格派を目指しているという訳では無いと思います。
フリーの保険調査員・夜明が「保険犯罪か、はたまた、適正な保険対象事故か。」を調査する漫画です。
なんにせよ、ジャンルの特性上台詞が多くなっています。

状況説明台詞ばかりに終始してたら、つまらなくて、読むのがタルくなるんですけれど、今作はさ~っと読めちゃいました。
台詞が面白いです。
多分作者さんがBLを中心に描かれているからかな。

なんとなくですが、読んでいてBL感がとてもしたんです。
キャラクター造詣とか男キャラ同士の雰囲気(?)とか。
BL読んだ事無いですが、そんな僕でも感じ取れたのですから、BL好き女子には速攻でピンとくるんじゃないかな。
で、調べてみたら感覚通り。

んで、BL読んだ事無い僕が、憶測だけでBLのイメージを語ると「SとM」がカップル間で成立してるって感じなのです。
性格ドSの攻め側。
ドS攻撃に表面的には嫌がりながらも心の底では気持ちよがってる受け側。
偏見入ってることを認めた上で、勝手な憶測はこんな感じのカップルが主体になっているのかなと。

このような考えがあったからか、夜明(受け)と行政(真正ドSの攻め)がBLの関係に見えちゃったのかもしれません。
と、横道に逸れてきましたが、何が言いたいのかというと、ドSキャラの台詞は基本的に面白いのです。
辛辣なことを息をするように吐いてくるので、つい笑っちゃうんですよね。

とはいえ、この辺の感覚は人によるのでしょう。
純粋にイラッとすることもあれば、ただただ嫌いって人もいるはず。
僕は、悪口とは別物だという認識があるから、笑えるんですよね。
憎悪とか悪感情を込めているのが悪口だとすると、思ったことを言ってるだけで他意のないものがドS。
相手を貶めす為ではなくて、自分の性癖を満たす為というか。

あと、言われてる側の反応も関係してるのかもです。
夜明は何言われても軽く流してる。
そりゃ好きで会いたい人物では無いようですが、それでも無視せずに付き合ってるところからすると行政が自分を嫌ってる訳ではないと分かってるからなのでしょうね。
冷静にツッコんで、傷つかずに流せている。
こういうリアクションだから不快に感じないのかもです。

そんなドS行政を筆頭に、夜明の周りは、彼に対して限定のSばかり。
相棒(となると思う)の玄しかり。
同僚事務員の玉袋千秋さん(女性)しかり。
夜明は誰かしらドSキャラと一緒に居るので、ドツキ漫才を見てるような感覚が常に付き纏っています(笑

そんな訳で台詞量が多いですが、苦なく読めちゃいました。

夜明と玄の関係性

嘘を見破るミステリを狂言回しに、主軸となるドラマは、夜明と玄の関係性の構築にある気がします。
2人には、人生を狂わせるほど辛い過去があるようです。

玄は、尊属殺人の加害者。
親殺しを経験しているそうです。
人の感情が見えてしまうことが起因になっているのでしょうか。
極度の人間不信に陥ったのか、逆に親から気味悪がられたのか。
未だに彼の心を蝕む辛い経験があったことが窺えます。

夜明は、逆に自分の子供を亡くしています。
元刑事っぽい夜明。
家族毎犯罪に巻き込まれたと見るのが自然でしょうか。
子供(息子が濃厚?)を殺され、ショックで痛覚を失い、妻とも別れた…のか…。
やはり癒えない傷を負っているようです。

親を殺した子供と子供を亡くした親。
「失ったピース」を埋め合わせる事の出来る関係性。
夜明の子供が生きていたら、玄と同じ年齢だったという事実は、何れ夜明が玄を自分の息子とダブらせる日が来る事を暗示しています。
2人の関係がどう変化していくのか。
人間ドラマはどのように着地していくのか。

保険調査で事件を解決していく傍らで、彼らの物語がどのように紡がれるのかにも注目していきたいと思えました。

終わりに

暫く付き合っていこうと思います。

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