「幼馴染が絶対に負けないラブコメ」第10巻 感想 甲斐哲彦の目的を考察

この記事は

「幼馴染が絶対に負けないラブコメ」第10巻の感想です。
ネタバレあります。

3年生編開始。

久々の感想です。
ラノベって10巻前半台で終わることが多いですし、物語上も末晴達が3年生になったところ。
高校卒業後の進路に言及してきたこともあり、いよいよ物語もクライマックス突入かなと言う雰囲気です。

二丸先生も新作を2本始めたようですし、そういう意味でも畳に来ているのかもしれませんね。

だからという訳ではないでしょうけれど、最早作品を貫く謎とすら化している感のある哲彦の過去が大分明らかになりました。
サブキャラの過去が作品を縦断する謎になっているというのは、いささか言い過ぎかもしれませんけれど。
今回の感想は、哲彦の目的に焦点を絞ってみます。

哲彦の目的から推測するラブコメの勝者

先にも書いたように、結構細かいことまで分かりましたね。
前々から判明していたことと言うと、ハーディ・瞬との親子仲が険悪(冷めきっていて)で、玲菜とは腹違いの兄妹ということ。
その上で、瞬への復讐心を持っていること。

これに今回のことを合わせると、どうも群青同盟を使って、父親へ復讐することが大きな目的になりそうですね。
ハーディ・瞬の過去の醜聞を題材としたフィクションという体で動画(ドラマ)を撮影。
群青チャンネルで配信し、父親を社会的に抹殺する。

その為に部を作り、群青チャンネルを立ち上げ、メンバーの技量を磨いていると。
目的を遂行するためには、チャンネル自体の知名度と単純にドラマの質が求められますから。

ただ、あまりにも私的なことにだけ利用していると総スカンを食らってしまいます。
哲彦のキャラクター的にそれはそれであり得そうだし、そうしてもおかしくないけれど、作劇場は宜しくない。
今作はあくまでも末晴を中心としたラブコメであって、哲彦の復讐譚では無いからですね。

そういう意味で、哲彦に作品外から批判が集まらないような工夫が見られます。
早い話、各キャラにそれぞれメリットを与えている点ですね。

役者としての名声を末晴と真理愛にもたらす。
脚本を担当する白草も「代表作」として一皮むけるだろうし、確実に作家としてのステップアップにつながる。
「将来」を見据えても哲彦の企みが各々にもたらすメリットは計り知れません。

ただ、1人こうした恩恵に与りそうもないのが黒羽ですね。
芸能界に興味が無く、かといって、白草のような能力を持っているわけでもない。
「助演女優」以外にドラマに寄与しない黒羽がに齎されるメリットってなにも思いつきません。
故に、丸末晴という最愛の人を射止めることになるんじゃないでしょうか。

こういった考え方でラブコメのオチを予想してしまうのも可笑しな話ですけれど、哲彦の最終目的と自身の立ち位置、他ヒロインとの違いを明確に察した黒羽が、哲彦との交渉の末でそういった結末を作り出す展開は大いに有り得そうです。

 

さて、レギュラー部員の中で気になるのは、玲菜の処遇です。
哲彦は彼女をどうしたいのでしょう。

哲彦は玲菜をどうしたいのか

アニメでは玲菜は哲彦を兄と認識していましたけれど、原作ではどうなんでしょう。
一度「お兄ちゃん」呼びしてましたから、関係に気づいていそうではありますが、今のところ確証はありません。

いずれにせよ、この先も哲彦から玲菜に正体を明かすことは無いでしょう。
どうも彼の性格からして、それは無い気がするんよね。

それを踏まえて、では、哲彦は玲菜を何故そばに置いているのか。

復讐の手伝い?
それは無いでしょう。
その為には、自身の出自を説明せざるを得なくなり、「哲彦から玲菜に正体を明かすことは無い」という前提に外れてしまいますから。

では、そばで父の転落を見せるため?
玲菜自身が瞬に強い恨みを抱いているなら意味がありそうですが、そういった描写が無い以上は、これも違うかな。

そもそも論として、哲彦の目的は、瞬の破滅であって、父の座に代わりに着くことでは無いのでしょう。
瞬を嫌う哲彦が、父と同じ職、しかも「後継者」として事務所を継ぐとは思えません。
むしろ玲菜をその座に就かすつもりなんじゃないでしょうか。

玲菜を自身のそばに置き、薫陶(素人の哲彦の…と考えると大仰な言い回しになりますが)を授ける。
自分の方は、ハーディプロのエース格である雛菊に名前を売っておき、いざと言う時に「自分の教えを受け継いだ人物」として雛菊に玲菜を紹介する。
そうして、瞬の後釜に玲菜を据えて、彼自身は消えていく…。

これが哲彦の計画なのかなと思いましたが、何の裏付けもありません。

終わりに

末晴が役者の道を再度目指すことになって、ようやく末晴に主人公として好印象を抱けましたwww
これまではあんまり好きじゃなかったんですよねw
ほら、ハーレムラブコメの主人公ってどうしても妬ましいというか。
男が惚れる男であって欲しいのだけれど、全然そうじゃなかったので。

なんなら哲彦の方がよほど好感度高い位でしたから。
彼はゲスだけれど、しっかりと芯があるし、目的に向かって行動しているのが明らかでしたから。

今回の末晴は、ようやくというか、その目的がはっきりと出来ました。
女湯を覗きに行こうとしたりと変わらずのクズではあるのだけれど、やりたいことに本気になる姿がやっと見れて、そこは満足でした。

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