「Re:ゼロから始める異世界生活」 第23巻 感想 「Re:」に着目すべきだったんじゃないか?

この記事は

「Re:ゼロから始める異世界生活」第23巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

【悲報】遂にスバル自身を信じられなくなる。

長月先生は真正ドSだ、そうに違いない。
あれやこれやとスバルを苛め抜いてきた長月先生は、もうこれ以上は無いだろうという僕らの考えをあっさりと凌駕していく。
バトル漫画だと話が進むごとにどんどんと敵が強くなりますが、「リゼロ」は話が進むごとにスバルが以前よりも苛烈な酷い目にあっていくという仕様。

まぁ、だからこそ面白いという部分は否定できないので、やっぱり読者も共犯関係と言えるのかもしれないですが。
第23巻の感想です。

スバルが「記憶を無くした」意味って何だろう?

スバルが記憶を無くした意味

スバルは何故記憶喪失にならなければいけなかったのでしょうか。
物語上の意味は、今後明らかになるはずです。
流石にこのまま記憶が戻らない展開にはならないでしょうから、「何故記憶が奪われたのか」は判明する…はず。
多分。
言い切れないのは、長月先生がドSだから。
記憶喪失という「ハンデ」を今後も継続させるかもしれないという展開を拭い去れないんです。

最も可能性として高いのは、暴食の介入。
塔に紛れ込んでいた暴食が、スバルに権能を用いて記憶を奪った。
普通であればその瞬間にスバルは世界からいなかったことになるけれど、そうはなってないところがこの説を否定する材料になっている為、そこをクリアする必要はあるんですが。

もう1つの意味は、「スバルに酷い事をする為」でしょうね。
この理由は絶対ある。
基本的に「どうスバルを酷い目に合わせるか」が物語の醍醐味であり、そこに多くのパターンを付与することで、マンネリにならないように配慮されていると思っているのですが、これもその一環という解釈です。

事実、今までにない、かつ、今までよりも過酷な展開になっていました。
読者が主人公を疑いながら読みすすめなければならないって、相当辛い。
しかも、ただ誰かに操られているとか、実は偽物でしたという可能性を排除しきれない現実があるから、「最悪」しか思い描けないのが辛い。

先ず、偽物でしたという可能性はほぼ無い。
例えば、暴食が犯人とすると多くの謎が解消する訳ですよ。
暴食がスバルの記憶を奪って、本物を拉致・または何処かに「掩蔽(えんぺい)」し、スバルに変装して皆の前に現れたとします。
すると、スバルしか知らない・書くことが出来ない日本語を「本物のスバル」以外が書けた点も納得だし、スバル(暴食)が殺人を犯したというのも頷ける。
でも、死に戻りは流石に出来ないでしょう。
他に誰がスバルに化けようと、死に戻りが出来ないことには変わらず、故に別人説は排除するしかありません。

誰かに操られている説。
記憶を奪いつつ、殺人の瞬間だけスバルを気絶なりさせて操る…ってなるんですが、迂遠すぎませんか?
意図が全く見えないので、そもそも論じるに値しない説だと思っています。
少なくとも現状公開されている材料だけで、この説を筋道立てて推測することは出来ないのかなと。

という訳で、本人説が最も有力で、だとすると、スバルが殺人を犯したと考えるのが最もスマートなのが本当に辛い。
殺人衝動を持つまでの経緯は納得できるけれど、かといって、メィリィを殺した(と考える)点は擁護できない。
作中世界ではメィリィ殺害が「無かったこと」になったとしても、「主人公がメィリィを殺した」事実は読者にとっては無かったことにならない。
そんな最悪な事実は、ちょっと受け入れ難い。
よっぽどな理由があれば別ですけれど。

「殺人前後の記憶が欠落している」ことが唯一の光明であるので、「スバルがやったわけではない」可能性に一縷の望みを掛けたい。

と、長々と書いてきましたが、作中での意味はいくつか見当がつくのですが、作劇上の意図もあるんではないかと疑っています。
ここでスバルを再びゼロから始めさせる意図があったんじゃないかなと。

Re:

そういえば、全く考慮してこなかったのですけれど、タイトルの「Re:」って何だろうと。
頭のどこかで「死に戻り」のことを指して「繰り返し(Re)」してるという意味と解釈してたんですが、それだとちっとも「ゼロから」になってないんですよね。
スバルは記憶を持ったまま繰り返してるわけで、それはつまり、繰り返すたびにゼロよりも大きくなってるわけでして。
そう考えると、今回が初めての「リゼロ」となってるんですが…。
直近でスバルの記憶が戻るとなると、「一時的なリゼロ」になるんですよね。
今回の展開を当初から決めていて、だからタイトルに持ってきたのだとしても、そんな一時の状態をさして、作品自体のタイトルにするかな、普通?

もっともっと大きな意味があると考えた方が、断然納得できます。

例えば、アルがスバルと同一人物であるという考察があります。
僕自身は微塵も考えつかなかったことですが、ネット上で散見される考察ですね。
アルが「今のスバルよりも前の時間軸に異世界転生したスバル」だとしたら、フリューゲルも同じなのかもしれない。
もしかしたら、「異世界人」は全員スバルなのかもしれませんよね。ホーシン含めて。
(この場合、スバル以外の全員が本名を偽っている理由も必要になってきます。)

こう考えると、スバルが何度も何度もゼロから異世界転生を始めてるので、タイトル通り「Re:」になります。

この説が事実であり、これを示唆するために今回敢えて「リゼロ」展開を加えた…とか考えてみたり。

ゼロから エミリアの場合

3章の名シーンと言えば、色々あった中で個人的な最上位がレムの告白でしょう。
何度やり直してもレムを助けられないことにボロボロになったスバルを優しく抱き留めて、立ち直らせたレムの名演説。
一世一代の大告白と言い換えてもいいです。
スバルの中で、レムの立ち位置が確固たるものになったこのシーン。

今回のエミリアの告白は、見事にこのシーンを想起させるものでした。
というか、確信犯的に敢えてそうしてるのでしょうけれど。

なんだかこれで、漸く僕の中でエミリアがレムと「同格」になった気持ちです。
今までは一方的にスバルが好いてきただけなので、どうしてもレムよりヒロイン力が足りてないという認識でしたが、これで漸くレムと同じ高さにまで昇ってきたかな。

このシーンを見れただけで、個人的にはスバルが記憶喪失になった対価としては十分に感じました。
スバルがエミリアを好きじゃないからこそ、活きた告白だったよなと。

まだ6章は終わってませんが、6章の最大の見せ場だったと言いきっても良いんじゃないかな。

ママ

メィリィのママが色欲カペラ・エメラダ・ルグニカで確定でしょうか。
まさかの大罪司教でした。
もっと小物を想像していたので、意外でした。

ただこれで、メィリィがエミリア陣営に本格的に参入する大義名分が出来たのとして捉えて良いのかな。
カペラはメィリィを親愛ではなく恐怖で縛ってきたようなので、好かれては無さげですしね。

メィリィは貴重な幼女枠として重宝して欲しいので、仲間に加わって欲しいですね。

終わりに

読んでてかなりヘビィな巻でした。
次巻では大きく巻き返して欲しいな。

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