「スレイヤーズ 17 遥かなる帰路」感想

この記事は

「スレイヤーズ」第17巻の感想です。
ネタバレあります。

第3部本格始動!!!

異世界ファンタジーラノベの草分け的存在である、伝説のラノベがまさかの本格復活しました。
「1巻限定、好評なら続きがあるかもね」という前振れで刊行された16巻は、発売されるや話題になりました。
本屋のラノベコーナーにずらりと並べられた久々の長編新刊には、流石に感動を覚えました。
僕が学生時代の作品です。
それが時を経て、色褪せぬ存在感を放って、今なお愛されている。
やっぱり嬉しくなりますよね。

第3部の始動は、恐らく発売間もなくに決まったのでしょうね。
正式発表も早かったですし。
という訳で、第3部の幕が開けたわけですけれど。

やっぱり外が舞台になるのね。
感想です。

新しい敵に期待

あとがきでL様が仰ってますが、第3部って今までにもありました。
簡単にですが、振り返ってみます。

先ず原作長編は、冥王フィブリゾと戦った第1部(アニメでは1期と2期が相当)と赤眼の魔王シャブラニグドゥの一片との死闘を描いた第2部(未アニメ化)で構成されていました。
アニメ組がイメージする「スレイヤーズ」は1部のノリが比較的近いかな。
それでも、アニメ程明るいコメディ調ではなく、全体的にダークでシリアスな面が強かったかな。
2部は、本当に暗かった。
陽キャラのアメリアが全く出てこないというのも理由の1つではあるのですけれど、オチがねあまりにも残酷でさ。
流石のアニメも、この暗さを払拭できないのか、未だにアニメ化には至ってません。

にもかかわらず、アニメは第3期「TRY」で「実質第3部」に突入というややこしいことに。
ストーリーの詳細は殆ど覚えてないのですけれど、結界の外の世界での冒険で、ドラゴンが味方にも敵にもいたような気がします。

それから6年ほど経って、今度は漫画で「第3部」が始まりました。
これが「水竜王の騎士」です。
作画はトミイ大塚先生。
「すぺしゃる」、「ぷれみあむ」に続く先生の「スレイヤーズ」関連では3作目となる連載でした。
内容は完全オリジナルの長編で、やはり結界の外の世界を舞台としておりました。
全6巻で完結しているのですが、打ち切りのような感じで非常に残念でしたね。
多くの謎が放置されたままで、消化不良感が否めませんでした。

このどちらも、神坂先生公認で「パラレル的な第3部」と当時から言われていたのです。

で、今回の第3部。
流石にパラレルとは言いつつも、原作者がナンバリングを付けて、しっかりと始めているので、今回が本当の意味での第3部となるのでしょう。
ただ、舞台は合わせて来てるんですよね。
「TRY」、「水竜王の騎士」とは異なり、結界が無くなったという訳ではなく、結界がある上での「結界の外の世界での物語」というのが大きな違いでしょうか。
このこだわり様は何か理由があるんですかね。
結界の中では、敵がいなくなった?

これはありそう。
第1巻でシャブラニグドゥ斃しちゃって、まさかのシリーズ化となったので、魔王配下5人の腹心最強のフィブリゾをぶちのめす。
第2部になって、2人目のシャブラニグドゥを出したけれど、まぁ、完全覚醒しても人間を媒介にしてる以上は「弱点」は出来ちゃうよね。
3体目以降の魔王復活というのでは、流石に芸が無いと思ってやりたくないのか、魔王復活という手を除けば、中での「魔王レベルのラスボスに相応しい敵」は作れません。

もう1つ理由を想像するならば、外の世界で書ききれなかったネタがあるってことでしょうか。
「TRY」でも「水竜王の騎士」でも出来なかったことがもしあったのならば、3度目の正直という挑戦なのかもしれません。

パラレルワールドだからこそ、舞台を外に統一して、ドラゴンを出してきてるだけなのかもですが。
取り敢えずとしては、このまま敵がドラゴンとエルフだけでは終わらないでしょう、きっと。
これは予想とかではなく、僕の個人的な願望なのですけれど。

いくら第2部ラスボス戦より弱体化してるとはいえ、「ドラまた」リナ・インバースですよ。
ドラゴン相手では、ちと物足りません。
神族である水竜王ら四竜王を敵として出すわけにもいきませんしね。

なら、魔族がやっぱり噛んでいて欲しいけれど…。
中の魔族は、絡んでこないかな、流石に。
あそこまで情けない姿を見せておいて、実は黒幕でしたとかは格好つきませんもの。
じゃあ、外一択になるのかな。
筆頭は、「TRY」の”リメイク”として、デュグラディグドゥとの「再戦」でしょうか。
これならば、過去のやり残しという想像との辻褄もあいます。(僕の勝手な想像と辻褄を合わせても、何の意味も無いですが)
それとも、一足飛びでL様ことロード・オブ・ナイトメアが本編に遂に本格的に降臨とかとか?
…次元が違い過ぎて、戦いにならないか。

ぐだぐだと妄想を重ねましたが、結論としては、敵が気になりますね。
大きな旅になりそうな第3部。
改めて再開したなりの敵に刮目したいです。

新キャラについて

嗚呼、今回もアメリア出ないのかぁ。
いや、諦めるには早いかも。
始まったばかりですしね。
あのじゃじゃ馬姫ならば、結界の外であろうと正義の鉄拳を奮いに来てもおかしくない。
その時は、「第一王女」のとんでも理論で結界を破ってもらったとか理屈をこねれば…。
ワンチャンある…といいな。

真面目な話、アメリアとゼルガディスは、出て来て欲しいんですよね。
アニメの影響が強いとはいえ、アニメから入った僕にとっては、リナ、ガウリイと併せてこの4人でメインキャラ。
ゼルの身体についても、きちんとした結末を用意して欲しいし、アメリアは単純に僕が好きなのでもっと見たいというw

なんにしても、再登場を願うばかりですが…。
結界をどうにかせんことには…ね。
ただ疑問なのは、魔族は結界の内外を自由に行き来できるのだろうかというのが。

あれか、精神世界に潜ってれば、結界なんて無関係とか?
それとも、魔族には魔族の作った結界の影響は及ばないとか?
この辺、過去に描写があったかしら。
あったかもなぁ。神封じの結界なのだから、後者が正解かな…。
勉強が必要だなぁ。

閑話休題。
キャラに関しては、新キャラ・ランが登場。
あ、あやしい。
全然怪しくないところが、非常に怪しい。
自分で私が原因とか言ってしまうところも、回りまわって怪しく見えてしまう。
というか、第2部のルークの件があるので、誰も信じられないw

そもそも「スレイヤーズ」は、そういうところありますからね。
短編なんて顕著で、フーダニット(ミステリ用語で「誰がやったか」。犯人あて)要素バリバリですからね。
怪しくない人物が、逆に怪しい。
彼女が黒幕の可能性は捨てきれないなぁ。
まぁ、露骨に怪しすぎるからこそ違うのかもですけれど。

それはさておき、陽キャラは歓迎。
明るい子は、雰囲気も明るくしてくれるから好き。
17巻は、今までにないくらい明るかった気がする。
それこそ、前巻のノリを引っ張ってくれていて、個人的には非常に良かったです。
出てきたドラゴンが、脅威では無かったというのも大きいのでしょうけれど、シリアス度が低めで読みやすかったです。

出来れば、彼女はこのまま、これが素であって欲しいかな。
笑い方の基本が「えへへ」とか、彼女の出身地は最重要保護地域に指定すべき。

終わりに

異世界ファンタジーで(一種の)異世界転移をやるとは、斬新なのかも。
僕が知らないだけの可能性は高いけど。

ともあれ、始まった第3部。
読み味的には短編に近いものがあり、アニメのノリを逆輸入してる感がありました。
その点、長編のシリアスさを求めているファンには、ちと物足りなさを覚えるかもですけれど、僕としてはこのノリは歓迎。
ずっとシリアスじゃ疲れちゃうから、それは終盤まで取っておいて欲しいかな。

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