「スパイ教室」第7巻感想 誰もがモニカの虜となる

この記事は

「スパイ教室」第7巻の感想です。
ネタばれあります。

はじめに

祝‼テレビアニメ化!!!!!
めでたい!!!!!

ただ、誰しもが「どうすんだ⁉」と疑問に首を傾げたことでしょう。
第1巻の肝となるあの叙述トリックです。
販促まで巻き込んだ壮大なトリック。

ここはネタバレOKにしてるのであえて踏み込みますが、エルナの存在を読者にすら秘匿していた件です。
ギードを欺くために仕組まれた罠は、読者すら騙してくるという本格ミステリさながらの見事なまでの叙述トリックでした。
僕はあの展開があったからこそ、強く強くこのシリーズに惹かれたのです。
心を鷲掴みにされたあのトリックは、しかし映像化には不向き。
叙述トリック全般に言えることですけれど、「書き方1つで真実を悟らせない」技術ですからね。
映像化しちゃうと成立しないことが殆ど。

だからこそ、どうするのかと思っていたし、これは1巻を読んだことのある人なら誰しもが疑問に感じていたんじゃないかな。

あとがきで竹町先生自らこの点に突っ込んでおられましたね。
「原作を最大限に尊重しつつ、これしかないベストな方法」(意訳)。

なるほど。
となれば、エルナは初めから堂々と登場させるのでしょう。
けれど、スパイとしてでは無くて。
アニメ公式サイトには、原作同様「7人で協力して生活すること」というルールと「スパイは7人の少女」であることを明示しています。
アニメ化にあたって「エルナの正体」はリリィ達7人にも伏せていくのかもですね。

早い話、クラウスがエルナに事前に「メイドの振りをしていろ」なりなんなり伝えておいて、エルナもその役目に準じていればいい。
…いや、まぁ、流石にもう少し手の込んだ詐術を仕込んでくるのだろうけれど、エルナは堂々と登場させつつもスパイではないと思わせるような方向性に変更するのかなと。
叙述トリックでは無くなるので種明かし時の驚きはグッと低くなりそうだけれど、こんな感じにアレンジされるのではないかと考えたのですが、はてさて。

ともかくとして、放送が待ち遠しいです。

とまぁ、7巻のネタバレ対策はこのあたりとしまして、本編の感想に入ります。
いやはや、すっかりとモニカを好きになってしまいました。
流石の構成力です。

主観を変えることで見える世界も変わる

衝撃とともに、どこかしら「やっぱりな」という諦観の混じった感情が過った6巻の引き。
モニカの裏切り。
少女たちの中で唯一孤立・孤独を自らの立ち位置にしていたモニカだからこそ、裏切るのかもという予兆は前々から抱えていて。
ついに、本当に裏切ってしまったのかという感想を持っていました。

そんな中で語られる惨劇の一部始終。
少女たちの視点で語られたモニカの裏切り行為。
次々と仲間を傷つけ、倒し、ティアを拉致した。

裏切り以外の何物でもない行為。
ほんの小さな光明としては、「ごめん」という去り際の言葉。
「本心から裏切ったわけではない」と思わせる言葉。

けれど、惨状がその可能性を塗りつぶす。
アネットはろっ骨を折り重傷。
グレーテも右腕を折られ、この2人は手術を余儀なくされた。
エルナは頭から血を流し、そして、ティアは血の海に沈んでいた。

冷静に状況判断に努めたリリィをして、「助かる見込みの薄い、もしくは絶命していてもおかしくない」出血量。

やんごとなき理由があったして、ここまですれば無罪とはいかないのではないかと考えざるを得ない被害を作ったのです。

モニカの脱落。
死以外での理由による最初の脱落をこの時は信じてしまいました。

今となっては、マジでごめんなさいですよ。
この惨劇もモニカ視点で語られると、全く別の景色が現れるんですね。

真っ先に否定されて欲しかったティアの被害。
「血糊でした」には、やられた~。
使い古された手とはいえ、ここで使われるとは想像だにできませんでした。

グレーテは、そうかぁ。
最初クラウスが彼女も裏切り者だと言った時には、ティアもまた翠蝶に脅され裏切らされていたのかと考えてしまってました。
違ったのね。
ティアの能力を利用した「モニカからのSOS」。
あぁもう本当に凄いわ。
この展開の為に考えられたのかというくらいキャラクターの配置が絶妙。
密かにモニカに通じつつ、自ら腕を折らせたのか。

で、圧巻だったのはアネットを傷つけた真意。
モニカから見ると「純粋なる悪」なのね(汗
無邪気な悪魔的なところは垣間見えてたけど、もっと単純にやばい子だったのね…。
そんなアネットを教育するために、本気で敗北の味を与えたのね。
巻き込まれた形になったエルナはマジで「不幸」としか言えないけれど(^_^;)
この理由なら、翠蝶を欺けるわなぁ。
ガチで半殺しをしにいってたんだからね。
普通なら禍根が残りそうなものですが、そこはアネットだからで済みそうだしねw
「俺様気にしません」とか言いそうw

とまぁ、視点を変えると見え方も変わるものですけれど、見事なまでに反転した世界を見せてくれたところが、やっぱりこのシリーズらしいなあと。

百合好きとして

ここも「まさか」だった。
冒頭から異性愛が異端だとか記述が出てきたところで、察せはしたけれどさ。
相手がリリィだったとは…。

いや、分かる。
気持ちはわかる。
個人的には、サラかリリィかって感じ。
ポジティブ元気っ子(アホの子ドジっ子属性もプラス)って可愛いよね。

でも、そうかぁ。
好きな子を守るために、「灯」の為に、死をも覚悟できる熱い心の持ち主だったんだね。

正確には違うか。
冷めた心が、リリィに恋したことで変わったんだね。

熱いなぁ。
こういうの僕大好きだよ。
人知れず仲間のために己を犠牲にしてでもってところ。
(本当にそのまま死んじゃうような展開はごめんこうむるけど。)

名乗りの時なんか、目頭熱くなっちゃった。
「燃え華やぐ時間だ!」
今までとガラッと変わった名乗り。
表面はクールに、中身はホットに。
良いよね~、そういうキャラ。

捻くれ者ってあまり好きじゃないのでモニカに、そこまでの好感は持ててなかったけれど、掌返しです。
滅茶苦茶好きになったわ。

百合好きだし、是非彼女の恋は実ってもらいたいですね。

そしてサラへ

で、すげぇ気になるところで終わるっていうね。
ハラハラするけれど、ここで引くってことは逆に言えば大丈夫ってことでしょう。きっと。うん。
モニカは無事!!!と信じてる。

次回はサラが満を持して主役ですね。
楽しみだ~。

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