「マーベルズ」感想 ”MCUらしさ”満点の傑作

この記事は

MCU33作品目「マーベルズ」の感想です。
ネタバレあります。

予習不要の楽しさ

スーパーヒーロー映画疲れなんて言葉がアメリカを中心に囁かれているようだ。
ディズニー+でのドラマシリーズの配信もあって、フェーズ4以降のMCUを「作品数が多すぎて追えなくなってきた」ということらしい。

これは確かに。
ただでさえ作品数が多い中、その多くが「新ヒーロー」に纏わる作品ともなれば、「離れ時」を感じても不思議ではない。
シリーズ自身「アベンジャーズ/エンドゲーム」を大きな区切りとして物語的にもリスタートを切ったところ。
MCUを離れる契機としては、これ以上ないとも言えそうだ。

なので僕は、この言葉は受け止めている。
僕自身も頷けることもあるから。
けどね、「エンドゲーム」以降盛り上がらないとかつまらないとかって評価には「断じて、否」と言いたいのです。

比べること自体ナンセンスだと思いませんか。
フェーズ1の「アイアンマン」から21作品も積み重ねてきた壮大な物語の「最終回」だったわけですよ。「エンドゲーム」は。

それと、それ以降の個別の作品を比較して「盛り上がらない」なんて当たり前じゃんとしか。

正直微妙な作品だってあったさ。
けれどもメッチャ面白い作品も今まで通りあった。
中には「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」という「エンドゲーム」に肩を並べるくらい興奮もしたお化け映画もあった。

CGがしょぼすぎたけど「シー・ハルク:ザ・アトーニー」は本格的な法定ミステリとしての側面も見せてくれたし、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」という至高の別れも体験させてくれた。

「大好きだ」と胸を張って言える多くの作品がまだまだ生まれている。
MUCは決して死んでいない。
フェーズ6に待ち構えている「アベンジャーズ/カーン・ダイナスティ」と「アベンジャーズ/シークレットウォーズ」は、「エンドゲーム」を超える興奮を齎せてくれる可能性だってあるんですよ。

前置きが長くなりましたけれど、今作もフェーズ4以降の「疲れ」を吹っ飛ばしてくれる爽快な映画の1本。
予習無しでも楽しめます。
もちろん予習済みなら更にですが。
僕は勿論大興奮でした。

3人の「マーベル」

「ミズ・マーベル」でデビューしたカマラ・カーンが潤滑油として最高の存在感を発揮していました。

アベンジャーズでもトップクラスの戦闘能力を持つキャロル・ダンヴァース。
その圧倒的な強さ故か、作劇的には扱いにくいジョーカーのような立ち位置に置かざるを得ないキャラクターだった気がするのです。
もしも彼女が「エンドゲーム」で終始サノス戦に参加していたら、戦局はどうなっていたでしょうか。
ガモーラやナターシャは死なずにすんだのでしょうか。
2人の運命は変えられなくとも、トニーは生き残ったかもしれない。
そういった妄想すら出来るほど強い。
だからこそ、彼女を遠ざける理由として「クールな孤高の戦士」というキャラクター像が植え付けられたのではないでしょうか。
(原作コミックからして、そういう性格なのだとしたら見当違い甚だしいですが)

何が言いたいかというと、非常に近寄りがたい雰囲気を感じていたんですよ。
感情移入しにくいタイプのキャラクターだったんですよね。

そんな彼女を身近に感じさせてくれる映画だったなと。

今ではクールビューティーなキャロルだけれど、かつては違っていたことも「キャプテン・マーベル」や「ワンダヴィジョン」ではしっかりと描かれていました。
強情なところがあって、衝動的な一面も持ち、明るく人懐っこい。
喜怒哀楽をハッキリと見せる女性だったし、その当時のキャロルに懐いていたのがモニカ・ランボー。
指パッチンや今回の事件の発端等を理由に2人の心も離れていましたけれど、やはりキャロルをかつての人間味溢れた女性に「戻す」には、モニカが相応しかった。
いや、彼女以外にはいなかった。
とはいえ、モニカもモニカでキャロルに対してモヤモヤがあった。

時間をかけてじっくりとこの辺りのドラマを描くことも出来たのでしょうけれど、今回そういった手法は取っておりませんでした。
なんたって今作の上映時間は105分。
長尺傾向にあった近年のMCUでもとびっきりの短さです。
というか、シリーズ最短らしい。
この「短さ」は監督のこだわりらしく、インタビューでは以下のように答えていらっしゃってます。

「本当に、2時間以内に収めたかったんです。映画製作ではいつでも上映時間のことを考えています。必要でなければ、長くする必要はないと思っているので。1時間45分というのは、映画としてかなり平均的です。だからみんなすごく喜んでいるんですよ」

そう。この映画、徹底的に無駄が省かれています。
「時間をかけてじっくりことこと」なんて、当初から想定外だったのでしょう。
それでも違和感なく観客に2人の確執と和解までを見せなければならない。

そこでカマラの出番ですよ。

ヒーローに憧れ、特にキャロルに心酔しているカマラ。
持ち前の底抜けの明るさもあって、グイグイとくる。
それでいてしっかりと相手の気持ちを慮る優しさもあるから、最年少なのにお母さんのような慈愛で2人の仲を取り持ってしまう。

見ず知らずの緑色の人達(スクラル人)を1人でも多く救おうと、自身の危険も顧みない行為。
スクラル人の女の子をそっと励ます行為。
そういった献身的な姿をしっかりと描いた上での「抱擁和解シーン」。
自分が指パッチンで消えていた時も、キャロルは母マリアの傍にいてくれたということを知ったのも大きかったのでしょう。
けれどもそれ以上にカマラの愛に凝り固まっていた気持ちをほぐされたのだろうなと思えたシーンでした。

カマラがいなかったら、105分の時間に収まらなかったんじゃないかな。
それくらい2人の間の潤滑油として機能していたし、彼女抜きでは考えられないストーリーとなっていました。

 

そもそも序盤から3人の息の合ったところが見れましたよね。
「同時にパワーを使うと入れ替わってしまう。」
この入れ替わる理由はおろか、お互いの存在さえも知らなかったのに、次々と入れ替わりつつ、その場その場の戦闘に対応する3人。
スピード感とテンポの良さもあって映像として滅茶苦茶楽しかったし、順応力の高さにも笑えました。
「出会う」前から、息の合ったところがこのシーンに現れていたのかなと。

女性版アベンジャーズ

MCU恒例の「次回への前振り」その1。
数年前から噂されていた女性版のアベンジャーズ。
キャロルをリーダーにして、いよいよ本格的に動き始めたみたいですね。

スカウトに扮したカマラが向かったのは、ケイト・ビショップのところ。
事前情報なしだったし、再登場を待ちわびていたので、ここでの登場はくっそ嬉しかった。
キャシー・ラングの合流も示唆されていましたし、恐らくジェニファー・ウォルターズも声をかけるんじゃなかろうか。
(お願いだから声をかけて欲しいw)
宇宙からはソーに連れられてラブも地球に来て、メンバーに誘われるかもしれない。
当然、シュリにも声がかかるでしょう。

「帰ってきた」モニカ、キャロルの親友になりつつあるヴァルキリーも参戦かな。
出来ることなれば、エレーナ・ベロワもヒーローとして加わって欲しいところ。

いや~ワクワクしますね。
次回の「アベンジャーズ」に間違いなく1つのチームとして参加しますよ。

きたきたきたきた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

俺ちゃんことデッドプール。
3作目からMCUに合流が発表され、遂にはMUCの次回作として2024年7月に公開されますが、1つ大きな疑問がありました。

「これまでの2作品を無かったことにしない」という点です。

前2作は当然MCUとは関係が無く、世界線もMCU(いわゆる神聖時間軸=アース616)とは異なる。
どうやって合流させるのだろうかと疑問だったのですけれど…。

今回ラストで次元の穴を埋めて、アース616とは異なる宇宙に行ってしまったモニカ。
さよならは嫌だなと思ったら、そうきましたかと驚きとニヤニヤで僕の表情筋がヤヴァイことになりました。

彼女が飛ばされた世界線こそ「デッドプール」の世界なのでしょう。
デッドプールのいる、つまり、X-MENの存在する世界!!!!!
デップーのいるX-MENがアース616に来ることになるのか。
はたまた、モニカをアース616に戻すためだけにデップーが関わるのか。

この辺りはさっぱり分かりませんが、少なくとも「デッドプール3」に繋がったのは確か…だと思う。

最後の最後に特大の爆弾を落とされて、これだからMUCはやめられない。

終わりに

本当に一切の無駄のない映画。
アクションにハラハラして、大いに笑って、最後に驚かされて。
MUCの醍醐味を存分に味わえる一本でした。

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