「知らない人にも見て貰える工夫」が施された「劇場版 名探偵コナン」の真似をして欲しい!!

この記事は

シリーズもののアニメ映画についての記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

シリーズもののアニメ映画についての記事をサクサクッと。
今現在シリーズ継続中のタイトルを挙げてみますね。

タイトル配給第1作公開年(本数)
ドラえもん東宝1980〜(33)
クレヨンしんちゃん東宝1993〜(21)
名探偵コナン東宝1997〜(17)
ポケットモンスター東宝1998〜(16)
ONE PIECE東映2000〜(12)
NARUTO-ナルト-東宝2004〜(9)

※表中の本数は2013年現在の作品本数
※「ポケットモンスター」は全てのシリーズの通算
※「ONE PIECE」は東映アニメフェア、2011年の3DCG短編映画を含む
※「NARUTO-ナルト-」は「疾風伝」等含む
※「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は抜いてます

一番新しい「NARUTO-ナルト-」ですら、来年で開始から10年。
新しいシリーズものが定着しないんですよね。
この間例えばですけれど、「ケロロ軍曹」、「BLEACH-ブリーチ-」、「イナズマイレブン」等が公開されてきましたが、「ケロロ軍曹」の5作が最多でしょうか。
5作でも十分長いですけれど、長期間定着という訳には行ってないのが現状です。

では、どうしてこのような状況になっているのか…は分からないので、定着が難しい理由について考えてみます。

「知らない人にも見て貰える作品」が重要

定着できるかどうか一番の決め手になるのは、興行収入でしょうか。
いや、配給会社的には配給収入の方かも知れませんね。
((興行収入)-(映画館側の収益)=(配給収入))
(一般に公開されているのは1999年までは配給収入で2000年からは興行収入)

ただ、この数字を以て僕等素人がどうこう言える事って少ないんですよね。
一般に長編アニメの場合、(興収)20億を超すと大ヒットと聞いたことがありますけれど、どこまで稼げばOKなのかどうかは作品によって違ってくる事で、その部分は基本的には公開されない事なので分かりません。
同じ20億の興行収入でも、上映館数が100館と300館では、配給収入は全然違いますからね。
なので、ここら辺の数字については無視して。

定着が難しい理由。
数字以外ではTVシリーズを続けられるかどうかが大きいと考えます。
シリーズ映画はどれもこれも、TVシリーズありきです。
そのTVアニメも原作があれば、原作が続いていなければ、長続きできません。
ここら辺も視聴率という数字が出て来てしまうので、踏み込み辛い部分ではあるんですけれど…。
そこも敢えて目を瞑って、今長期間放送する事って難しいんですよね。
枠が無くなって来てるので。
長くても2クール程度の深夜枠が大半であって、ゴールデンや朝、夕方の枠は全体からすると少なくなっています。

で、ここからが本題です。
此処までに上げた課題を克服しているとした場合。
それでも尚シリーズとして定着できるかどうかの分かれ目があるとしたら、どこなのかなって。
それはきっと「知らない人にも見て貰える作品」だと思うんです。

予備知識を必要としない作品は強い

現在シリーズ継続中の作品を2つのグループに分けてみます。
「ドラえもん」、「クレヨンしんちゃん」、「NARUTO-ナルト-」を1つのグループとし、それ以外をもう1つのグループとします。
先ず前者のグループは、「殆どの人が予備知識なしで楽しめる事が出来る作品」。
「クレしん」はどこにでもいるような平凡な家族を中心にしたホームドラマだし、「ドラえもん」にしても似たようなモノ。
「NARUTO-ナルト-」はキャラ同士の背景とか世界観への理解が必要とも言えますが、基本的には忍者同士のバトルアニメ。
忍者ものは日本人には馴染深いものだから、作中での技の数々も「忍術」の一言で多くの人の理解を得られると思います。(実際ナルトらの使う技は忍術ですしね)
予備知識は然程必要としない。微妙なセンですが、こちらに入れます。
知らないと楽しめない・作品を理解できない様な難解な設定が無い作品だから、どの作品からでも見る事が出来るというのが最大の強みだと考えます。

シリーズものとして定着するには、やっぱりこういうのって大事ですよね。
シリーズものがシリーズものとしてたり得るのは、次々と新しい層への訴求が出来てるからではないでしょうか。
既存のファンというのは、どうしたって減っていくものです。
どんな人気作でも抗えない部分で、だからこそ、既存ファン向けに特化しちゃうと、シリーズを長く重ねるのは難しい気がするんですね。
ファンでは無い…作品の事を何も知らない人でも見る事が出来るっていうのは、だからこそ有効だと考えますし、こういうのも立派なシリーズとして定着させる一因だと考えてます。

対して、後者のグループは、ちょっと前知識が必要です。
「ONE PIECE」は悪魔の実について、「ポケモン」はそもそもポケモンとは何かという所から。
「コナン」はコナンと新一の関係でしょうか。
ただ、必ずしも知っていないとダメって訳でも無くて、知らなくても問題無い事が殆どなんですよね。
知っていればより良いと言う程度のものなのですけれど、それでも場合によっては前知識を必要とする事もあるんです。

「コナン」のコナンと新一の関係がまさにそれですね。
コナンの後ろに背後霊の如く現れる制服を来た謎の青年。
コナンと入れ替わりで現れる謎の青年。
冗談でも何でも無く、何も知らない人からすると意味不明だと思うんですよw

コナン君の背後霊は誰?ってなるのが普通です。
だって、高校生が小学生に若返るなんて事は現実には有り得ないから。
作品がファンタジーとかならばそういう発想に至れるかもしれませんが、ミステリですからね。
作品ジャンルからしても連想しにくいこと。

新一が出て来る「迷宮の十字路」や黒の組織との戦いを描いた「漆黒の追跡者」等はこの知識が特に必要になってきます。
「どの作品からでも見る事が出来る」という条件を少しだけ満たさない。

でもですね、「コナン」はこの辺の問題をクリアしてるから凄いんですよね。

ダイジェストの意義

作品の冒頭。
メインテーマに乗って毎回凝ったタイトルアニメーションが流れ、そこから毎回お馴染みのナレーションが流れます。
「俺の名前は工藤新一」云々。

この冒頭って、こういう風に考えてみた場合、メッチャ重要な意味を持ってきますよね。
高校生探偵の工藤新一が黒の組織に怪しげな薬を飲まされて小学生の江戸川コナンになってしまった事が語られるんですから。

また、この事は秘密にしてる事が語られ、秘密を知るキャラも紹介してくれる。
1作目から阿笠博士。5作目から灰原が追加され、平次や工藤夫妻が出てくる劇場版ならば彼らも知っているという事が語られる。
博士が作ってくれた探偵道具の解説もあるし、「漆黒の追跡者」等組織が重要な位置を占めれば、彼らの事についても必要最低限の事を教えてくれる。

その劇場版を見るにあたって必要な最低限の設定をぎゅっと凝縮して冒頭で提示してくれるんです。
これほど初心者に優しい作りは無いです。

「コナン」がシリーズ化に成功した理由の一つに、こういった「初心者をもターゲットに考えている点」が挙げられるんじゃないでしょうか。

まとめ

既存のファンからすれば、毎回ほぼ同じ内容で新鮮味の薄い・あまり意味の無い部分なんですけれどね。
新規の獲得にはとっても有効なのかもな〜と最近思い始めてきました。
すんげえ今更なんですけれどもw

こういうのって、どんどん真似して良い部分だと思うんです。
前知識が必要な作品でも、こうやって冒頭で説明出来ちゃえば問題無い訳ですから。
これって深夜アニメの映画にも言える事ですよね。
TVシリーズの続きの新作映画だとしたら尚更。

こういった工夫を一つするだけで、もっともっとアニメ映画が増えていく…と良いなw
出来れば、新しいシリーズ物が生まれて欲しい。
そんな単純な事では無いでしょうけれどね。

ところで、コナンと新一が同一人物だというのは、最大級のネタバレに相当するらしいですよw
ネタバレ喰らっちゃった方ごめんなさい(笑

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